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暮らしのコツ

yellow 楽園写真家が語る「楽園のあかり」写真家:三好和義

リゾートホテルでは心身ともにリラックスできて、ぐっすりと眠ることができる。
それは、リゾートホテルの「夜のあかり」と関係があるのかもしれません。
世界のリゾートを写真に収めてきた「楽園写真家」の三好和義さんに、
これまで撮影してきた「楽園」の印象深い「夜のあかり」を語っていただきます。
美しい写真と三好さんの言葉から、快適な暮らしの照明のヒントを見つけてください。
第4回目は沖縄「ザ・ブセナテラス」のクラブコテージ。

ザ・ブセナテラス

南国の海に面した「楽園」でプライベートな光を楽しむ

つながる自然の光と室内の灯り

沖縄・名護の「ザ・ブセナテラス」はG8サミットの会場となったことでも知られています。国際会議場を備えたメインの建物から少し離れ、沖縄の海に面した高台に、よりプライベート性の高い16棟の「クラブコテージ」がつくられたのは、サミット開催の2000年のことでした。プライベートプールに面した大開口は開け放すことができて、自然と室内が一体化するダイナミックな空間を体験を味わえる、日本屈指のマリンリゾートだと思います。巨大なガラス窓で室内外の境界をなくして、視覚的に外とつながるデザインは近年、多くのリゾートで採用されていますが、「ザ・ブセナテラス」ほど贅沢な空間はなかなかないでしょう。海風を素肌に感じて眠り、目覚めることができるのですから。

光をコントロールする

日本人には古来より月の光を愛でる文化があります。かの桂離宮も観月のための設いを中心に造られたと言われています。都会で月光を感じること難しくても、海辺のリゾートは月の光を楽しむ絶好の場所と言えます。撮影の有無に関わらず、私は普段から常に月齢をチェックしています。撮影の時は、室内の灯りを月光の強さに合わせて調光し、スタンド照明をの位置を調整しながら、最適な「光」をつくりだして、夜景の写真に臨みます。自分が求める光をどうつくりだすか。「ザ・ブセナテラス」では、一つのスイッチで照明を点消灯するのではなく、室内に設置された照明を自由自在にコントロールできるよう工夫されています。夜、海面に映る月光に合わせて調光したり、キャンドルをプールサイドに持ち出して、揺れる炎に海風を感じたり、自然と調和する灯りを楽しむことができるのです。その折々の自然環境や自分の気分に合わせて、空間の雰囲気をつくりかえる。それを実現するのが「光のコントロール」です。家の中にいても、身の回りの光に注意を払い、灯りの質に意識的になることで、日々のナイトライフはもっと豊かになるはずです。「楽園のあかり」が、みなさんの暮らしの灯りを考え直すきっかけになりますように。

▶ 調光器で、生活シーンに応じて光をコントロール

「楽園のあかり」を暮らしに

私はずいぶん以前から調光器を使っていて、枕元の照明も明暗の調節ができるようにしています。もともと撮影機材に光をコントロールする変圧器がありましたから、中学生の頃から調光を意識していたこともあり、事務所も住まいでも当たり前のように調光器を使ってきました。みなさんも日常的に調光器を使うことで、自分がどんな光を求めているのかに気づくはず。それを自分でつくりだすことで、暮らしの快適性も高まります。

Kazuyoshi Miyoshi
Kazuyoshi Miyoshi

三好和義

みよし・かずよし ● 1958年徳島生まれ。85年初めての写真集「RAKUEN」で木村伊兵衛賞を受賞。以降「楽園」をテーマにタヒチ、モルディブ、ハワイをはじめ世界各地で撮影。その後も南国だけでなくサハラ、ヒマラヤ、チベットなどにも「楽園」を求めて撮影。その多くは写真集として発表。近年は伊勢神宮、屋久島、仏像など日本での撮影も多い。近著は「京都の御所と離宮」(朝日新聞出版)。日本の世界遺産を撮った作品は国際交流基金により世界中を巡回中。

ご紹介頂いた宿 : ザ・ブセナテラス

沖縄県名護市喜瀬1808 tel.0980-51-1333 http://www.terrace.co.jp/busena/

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