
孤島の暗闇を楽しむ
太陽が沈むと自然と眠くなり、朝日とともに目を覚ます。太陽の光とともに自然の時を過ごす「アマンワナ」では、夜は必要最小限の小さなあかりをテント内に点在させて、暗闇の時間を楽しみます。ロウソクや電球の小さな光は、天井の白いテント地に反射して部屋全体を覆い、控えめで柔らかな光の中で就寝までのひとときを送るのです。夜は布に反射した光に包まれる優しさを感じ、朝は薄手のカーテン越しに差し込む朝日の爽やかさとともに目覚めの時を迎える。一枚の布は外の自然の気配を伝えるとともに、光をまとい心地良い雰囲気をつくりだして、自然と私たちをつなぐ媒介として使われていました。
布を反射光に利用
私たちの暮らしを見回すと、ファンションからインテリアファブリックスまで、住まいの中にはたくさんの布が使われていることに気づきます。カーテンは夜の部屋の視界の中で大きな面積を占めているのではないでしょうか。このカーテンに照明を当てると、光が布のテクスチュアやドレープを立体的に浮かび上がらせて、柔らかな反射光と相まって、昼間とは違うインテリアの表情を描き出してくれるはずです。柔らかな布を使った間接照明は、都市生活にテントリゾートのあかりの雰囲気を醸し出す工夫になるかもしれません。
「楽園のあかり」が、みなさんの暮らしの灯りを考え直すきっかけになりますように。


三好和義
みよし・かずよし ● 1958年徳島生まれ。85年初めての写真集「RAKUEN」で木村伊兵衛賞を受賞。以降「楽園」をテーマにタヒチ、モルディブ、ハワイをはじめ世界各地で撮影。その後も南国だけでなくサハラ、ヒマラヤ、チベットなどにも「楽園」を求めて撮影。その多くは写真集として発表。近年は伊勢神宮、屋久島、仏像など日本での撮影も多い。近著は『死ぬまでに絶対行きたい楽園リゾート』(PHP)。日本の世界遺産を撮った作品は国際交流基金により世界中を巡回中。
ご紹介頂いた宿 : アマンワナ
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