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暮らしのコツ

KATHMANDU / NEPAL

夕食後から就寝まで。

日没の時間になると、神聖な場所にオイルランプやろうそくを灯します。朝と同様に家の隅々で鐘を鳴らして場を浄化します。ネパールは水力発電に依存しており、乾季になると発電量が少なくなり、長時間の計画停電が実施されます。停電時には、蓄電機器や充電式または灯油やガスの電灯のわずかな明かりで過ごしています。最近ではろうそくのほかLEDライトも利用しています。
省電力で寿命の長いコンパクト蛍光灯(値段が高い)の購入には政府の補助金も出され、普及しつつあります。蓄電装置、ガソリンや灯油で稼動するジェネレーターも使われています。農村部は灯油やバイオガス(牛糞から取り出す)で灯りを灯しています。
夕食の時間は比較的遅く、午後8時ごろが一般的で、すぐに就寝時間になります。早寝早起きが習慣づいています。平均的な睡眠時間は7時間程度でしょうか。

近年は24時間ケーブルテレビのチャンネルが増え、バーや酒屋も遅くまで営業していますので、夜更かしすることもあるようですが、住宅街は午後9時を回ると明かりもまばらになりすっかり静まりかえります。
一方で、カトマンドゥの子どもたちは宿題がたくさんあったり、テレビやゲームをしたりして、夜更かしの傾向が出始めているようです。

夕食後から就寝まで。

光の祭「ティハール」

毎年秋にはヒンドゥー教の祭り「ティハール*」を盛大に祝います。5日間の祭りでは、家を清掃し、素焼きの小皿にオイルと芯を入れて火を灯す灯明「ディヨ」や電飾、花輪を飾り、玄関先に吉祥文様を描いて、日没に灯明を灯します。それを目印に降りてきた富と豊穣を司るラクシュミ神を家に招き入れます。ネパール中が花の香りと灯明の揺らめきで輝き幻想的な雰囲気に包まれます。
*ティハール:10月半ば~11月半ばの新月の2日前から始まり、通常は5日間続きます。

ネパールではお昼寝の習慣はありますか?

生鮮食品を扱う八百屋、肉魚屋は、お昼から夕方まではシャッターを閉じて店を閉めます。その間は午後の休息、おやつの時間になっています。スペインあたりのシエスタの習慣に似ています。

眠りに関する言い伝えや諺はありますか?

枕向き、寝る時の方角を気にします。夢見が良くないと寝る向きを変えたりします。縁起をかついだり、迷信、俗信を信じる人が多いですね。

ネパール民主連邦共和国

人口

26,620,809人(2011年国勢調査結果)

面積

147,181㎢

宗教

ヒンドゥー教、仏教、イスラム教など

時間帯

NPT=UTC+5:45(日本との時差は−3:15)

ヒマラヤ南麓に位置し、ヒマラヤ山脈からタライ平原まで豊かな自然環境と多様な生態系を保有する。主な産業は農業と観光。首都カトマンドゥ市は「カンティプール」=「栄光の都」という別名を持つ。多民族のさまざまな文化が共存し、四季折々、伝統的な祭や宗教行事が現在も形を変えることなく続いている一方、急速な近代化の波が押し寄せ、都市化が進み、人々の暮らしも変化しつつある。あらゆる面で都市部と農村部の格差が著しい。

プロフィール

うえのともこ●岡山県倉敷市生まれ。1999年にふと思い立ってチベットへ旅に出た途中、ネパールに数カ月滞在。2000年、トリブバン大学ビシュバーサキャンパス ネパール語学科に留学。現地で旅行会社の設立と経営に携わる。2002年に一時帰国して子育てに専念。2005年に再び家族でネパールへ。現在、カトマンドゥ在住。マガジンALC、ソトコト、JAちゃぐりん、Japan Times Jr.、日経BP社「エコマム」などに寄稿。http://shantiweb.com/

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