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暮らしのコツ

サンパウロの「朝のひかり」

ブラジルの朝は早いのです。

 ブラジルでは、朝7時ぐらいには学校が始まるので、子どもたちは6時には起きなければならず、皆とても早起きです。なぜなら、教室数が生徒数に間に合わないため、午前と午後で、高学年と低学年を入れ替えて、授業が行われるからです。午前中の生徒は、午前7時からぶっ続けに授業が行われ、お昼頃に終了。生徒を入れ替えて、教室を二毛作のように有効活用しているのです。
 子どもを早く学校へ出すぐらいですから、大人だって早起きです。ビジネスマンは午前8時~9時には仕事が始まります。特にサンパウロはどんどん都会化が進み、オフィスのある市内まで、多くの人がバスやメトロを乗り継いで、1時間も2時間もかけて通勤してくるのです。そのため、メトロのラッシュアワーは朝の6時ぐらいから。東京の人もびっくりするぐらいの、ものすごい混雑です。
 学校から家に帰ると、昼寝をする子どももたくさんいます。でも、都会では午後に英語の塾やスイミングスクールなどへ通ったりして忙しい子どもが増えています。また、ゲームで遊んだりして、夜更かしするのも問題となりつつあります。ただ、田舎では逆に弟や妹の世話をしたり、働かされたりして、満足に学校へ行けない子どももいるぐらいです。そうした田舎では塾やゲームなどは考えられないものです。ブラジルはとても広く、貧富の差も激しいので、一概には言えないんですね。
 赤道に近い熱帯地方では大人にも昼寝の習慣があります。午後は気温が40度以上になるため、日中はあまりの暑さのために誰も外を歩いていません。早朝と、夜、太陽が沈んでから、子どもも大人も街を動き出すのです。

朝食は王様のように食べ、昼食は王子様のように食べる。

朝食は王様のように食べ、昼食は王子様のように食べる。

 朝早く家を出る子どもや主人を見送る主婦ももちろん早起き。ただし、朝食はパンや果物なので、特に料理をする必要はありません(中流クラス以上の家にはお手伝いさんがいます)。朝食のコーヒーも、男性が淹れるのが一般的。ブラジルは果物が豊富で、朝食にはバナナやオレンジ、すいかやマンゴーなどのフルーツをたくさん摂る人が多いようです。それにコーヒーとパン、チーズやハムなどをしっかりと食べます。昼食はもっとしっかり食べ、夕食はなるべく控えるようにするのが健康に良いとされています。ブラジルの諺……というほどではありませんが、人々の間では「朝食は王様のように食べ、昼食は王子様のように食べ、夕食は乞食のように食べる」のが良いと言われています。
 ブラジルでは朝10時頃までの太陽が身体に良く、その後のカンカン照りになると、健康には良くないとされています。というのも、ブラジルの癌で一番多いのが皮膚癌で、強い直射日光はその原因と言われているからです。ですから、陽の光を浴びるのは早朝もしくは夕方4時以降が良いと考えられています。また、年中、夏のような気候なので、寒い国の人ほど太陽を欲し、陽光に感動するということがないかもしれませんね。

お昼寝の習慣はありますか?

赤道に近い熱帯地方では昼寝の習慣があります。こうした地域では、気温が40度を超え、日中はあまりの暑さのために誰も歩いていません。早朝と、夜、太陽が沈んでから、子どもも大人も街に繰り出すのです。

ブラジル人の入浴は?

入浴はほとんどがシャワーです。日に2~3回(朝起きて、帰宅して、夜寝る前などに)浴びる人も多いようです。ブラジル人は清潔好きですし、それだけ暑いのでしょうね。

ブラジル連邦共和国

人口

約1億9,100万人(2010年国勢調査)

面積

851.2万「3(日本の22.5倍)

首都

ブラジリア

宗教

キリスト教(カトリック約74%、
プロテスタント約15%)

時間帯

BRT=UTC "3:00
(日本との時差は "12:00)

首都はサンパウロから1,190キロ離れた計画都市ブラジリアですが、商業・文化・ビジネスの中心地は実質サンパウロです。かつての首都で、風光明媚な観光都市リオデジャネイロと並び、商業・文化・人口・経済でブラジルを牽引する都市です。日本で例えるなら、リオが京都・大阪といった歴史のある産業都市なら、サンパウロは東京という感じでしょうか。サンパウロは人口1,100万人、サンパウロ市近郊を含む都市圏人口では2,039万人で、世界第8位、南半球では第1位の大都会です。域内総生産(GRP)も3,880億ドルで、世界第10位、南米では第1位です。

プロフィール

大久保純子●茨城県生まれ。1997年よりサンパウロ在住。東京で専門紙の記者を経て、ブラジル邦字紙に2年間勤務。現在はフリー。移民を取材に来ていたが、気づくと自身も移民になっていた。2005年には母も呼び寄せてシルバー移住にも成功。ライフワークとして、移民の諸先輩方の話を記録するインターネットラジオ「ブラジル日和」(http://www.100nen.com.br/ja/radio/)を不定期放送。「婦人公論」などへの執筆。著書に「女たちのブラジル移住史」(共著、毎日新聞社刊)。http://ameblo.jp/brako/

松本浩治●大阪生まれ。1994年からブラジルに在住。日伯毎日新聞社を経て、現在はサンパウロ新聞社会記者として活躍。ブラジル各地域の日系人移住地などの取材活動を行っている。http://www.100nen.com.br/ja/matsumoto/

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