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暮らしのコツ

ルツェルンの「夜のあかり」

テーブルにキャンドルがあるのは当たり前です 

 スイスの家庭の照明は日本と比べると暗めです。以前は白熱灯の黄色みを帯びた光を好む人が多かったのですが、地球温暖化ガスの問題と省エネ促進の影響で、今はスーパーマーケットの売り場でも、店頭に並ぶ電球は蛍光灯かLEDライトに置き換わりました(スイスの名門百貨店「マノール」では2010年にいち早く、店内の照明をLED化するプロジェクトに乗り出しています)。
日本と違うのは一年中キャンドルの炎と暮らしていることでしょう。キャンドルはダイニングテーブルの上に常にあって、人が居るときは必ず火を灯しています。炎が揺れていると落ち着くというか、キャンドルのある暮らしは完全に習慣化していて、ないと何かが足りない気分になるくらいです。手作りのキャンドルを誕生日やクリスマスに贈り合うことなども頻繁に行われています。

街でナイトライフを楽しむ(ベルン)。 キャンドル専門店の春のキャンドルのディスプレイ スイス政府観光局 www.myswiss.jp

午後11時には大人も就寝します

 スイスでは乳幼児の頃から子どもに部屋が与えられるので、子どもが親の部屋で寝ることはほとんどありません。アルプスを越えた南側のイタリアやスペインなど、ラテンの国々と比べると、スイスは夜更かしをしない国だと思います。大人でも午後10~11時に寝る人は多いようです(もちろん個人差がありますが)。心地良い眠りを得るために人々が心がけていることは、カフェインの入った飲み物を夕方以降飲まないこと。また、神経を高ぶらせる映画や読書は控えると言ったところでしょうか。
 スイスの家庭で観ることができるテレビは、近隣諸国の番組を含めチャンネル数は30くらい。6カ国語以上の番組を観ることができます。しかし家族でテレビを観る習慣は少なく、わが家の子どもたちは高校生以上の年齢なので、みんなテレビコンテンツも含めて動画を好きな時間にパソコンで観ているようです。

スイスの眠り

ウォルト・ディズニーが「眠れる森の美女 プラチナ・エディション」の発売を機に、2008年に世界17カ国で実施した睡眠に関する調査によると、就寝時間が最も早い国はメキシコで22時57分。次がスイスの23時11分でした。また、現在の睡眠で満たされているかを聞いた「睡眠満足度」は、17か国平均では52%の人が「満足」と答えている中、スイスは61%ともっとも高かく、日本は50%という結果が出ています。調査は8月20日~9月1日にフランス、英国、ドイツ、イタリア、スペイン、ベネルクス3国、スカンジナビア諸国、スイス、日本、オーストラリア、アルゼンチン、メキシコ、ブラジルを対象に、それぞれ18~64歳の男女500人にアンケートを実施したものです。

スイス連邦

人口

787万人(2010年、スイス連邦統計庁)

面積

41,290万㎢(九州本島よりやや大きいくらい)

時間帯

UTC +1(DST=サマータイム: +2)

言語

ドイツ語64%、フランス語20%、
イタリア語6%、レート・ロマンシュ語1%
(2000年、スイス連邦統計庁)

1815年に欧州列強がウィーン会議で永世中立を承認、現在も永世中立国として知られている。26の州(カントン)により構成される連邦共和国。山本さんが暮らすエビコンはルツェルン州にある人口約1.2万人の町。チューリヒと連邦首都ベルンの中間に位置する、ドイツ語圏の町だ。WHO世界保健機関、国際オリンピック委員会、国連欧州本部など、国内にはさまざまな国際機関の本部が置かれている。在スイス日本人は約9100人(2011年10月時)

プロフィール

山本まさと●東京生まれ。ヨーロッパの家庭用品メーカーbodumで13年デザイナーを務め、キッチン用品を数多く手がける。各国のデザイン賞受賞多数。2007年に独立し、現在はstudio in the air/空中工房を主宰。フリーランスデザイナーとして活動している。「ちなみにデザイナーの前は1年半ほど主夫をしていました。本人はいつまでも浮ついてますが、生活にちゃんと着地して根をはれる『暮らしの道具』を作りたいと常に目論んでいます」。http://studio.intheair.ch/

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