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暮らしのコツ

ホノルルの「夜のひかり」

ナイトライフもナチュラル

 ハワイ諸島は世界有数の天文観測地として知られていますが、ホノルルでは他の島のように規制もなく、満天の夜空を眺めることはできません。陽が暮れると灯光が灯り始め、レストランやショッピングセンターは毎晩遅くまで開いていますし、クリスマス、年末年始のホリデーシーズンにはたくさんのイルミネーションが飾り付けられます。タワーもある都会なので深夜でも漆黒の闇にはならないのです。照明はオフィスも家庭も日本よりやや暗めの設定ですが、これは日中の外の日差しが眩しいことが関係しているようです。電気は本土からの輸送ではなく、オアフ島内にある発電所から供給されています(原子力発電所はない)。一般家庭の照明機器はまだ白熱灯が主流ですが、「ECO BULB」など省エネ型電球も流通しています。
 ハワイアンは身体を動かすのが大好きなので、仕事が終わったあとのナイトライフもスポーツを楽しむ人が多いです。ジョギング、ヨガ、ゴルフ、月明かりの下でのナイトサーフィンなど……。ハワイには「ルナ・カレンダー」という月の暦があり、カロ(タロイモ)畑も月の暦で耕します。とくに満月の月明かりは明るいため、昼間と間違えて魚が集まってくるらしく、夜釣りも人気です。

ダイアモンドヘッドルックアウトから見た満月 / 有名な、ホノルル市庁舎前のクリスマスイルミネーション

カウカウ モイモイ

 夕飯は多くの家庭が家族一緒にとります。フラもロミロミもそうであるように、ハワイでは何ごとも親から子へ、family to familyでの伝承が大事にされています。家族が集まるのはすごく当然なことで、さらには親戚や近所の人と、輪は広がり、大勢で一緒にBBQやポットラックパーティーをするのもハワイアンらしい食事の風景です。日中、太陽の光をたっぷり浴びて身体を動かした子どもたちは眠りに落ちるのが早く、子どもの孤食や睡眠不足はあまり聞いたことがありません。
 ハワイには「カウカウ モイモイ」という言葉があります。簡単に訳すと「食べたら寝る」。何時に食べて、何時に寝なくてはならないと時間どおりに定めたスケジュールに身体を従わせるのではなく、お腹が空いたら食べて、お腹が満たされ眠くなったら眠る、自然の摂理に合わせて動きましょうということ。
 太陽が昇ったら目覚めて、朝日を浴び、太陽が沈んで眠くなったら眠る。自然のリズムで毎日を暮らすことが今もホノルルではごく普通であり、自然体で生きていれば、慌てることもなく、考えすぎることもない。これがハワイアンにとって健康的に暮らす一番の秘訣なのです。

1.アラモアビーチの日没。太陽が沈んだら眠りの準備に入る。 2.一皿にいろいろ盛るハワイのご飯。玄米&カルアピック、チキンロングライス、ポテトサラダ&グリーンサラダ、紫芋にチキンルアウ。 3.「カウカウ モイモイ」で眠くなったら静かに眠りにつく。
DATA
アメリカ合衆国  United States of America

人口

3億139万人
(世界3位、2010年、米国国勢局)

面積

約962.8万㎢(日本の約25倍)

首都

ワシントンD.C.

言語

主に英語(法律上の定めはない)

宗教

主にキリスト教
(信教の自由を憲法で保障)

時間帯〈ハワイ州〉

UTC-10(日本との時差-19時間)

大小の島々からなるハワイ諸島は1959年、アメリカ合衆国50番目の州となった。ハワイ王国の首都だったオアフ島ホノルル(注:1810~1845年の首都はマウイ島ラハイナ)が立州後も州都として政治やビジネス、交通の中心を担っている。一年を通して温暖な気候で、第一次産業と観光が経済の基盤。ホノルル市の人口は約95万人(2013年)。19世紀以降、海外からの移民を多く受け入れたこともあり、ネイティブ・ハワイアン、ポリネシア系、アジア系、白人など多数の人種で人口が構成される。ちなみにバラック・オバマ第44代アメリカ合衆国大統領はホノルル出身で、名門プナホウ・スクールを卒業している。

プロフィール

あおき・ともこ ● ハワイアンカルチャー・コーディネイター。東京都世田谷区出身。サーフカルチャーに魅了され、高校卒業後、ハワイ大学に留学。1997年より本格的に移住。テレビ、広告、雑誌等のコーディネイトを手がけるほか、フラのインストラクターとして国内外へハワイアンカルチャーを発信している。http://www.myhkl.com

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