心地よく健やかに住まうこととは?

ぐっすり眠る照明計画。目にとって悪いのは、意外にも暗さではなく眩しさです。

朝すっきり目覚め、夜ぐっすり眠るためには、規則正しい生活をすることが条件ですが、住まいの工夫でそれをサポートすることもできます。
サーカディアンリズムを整えるには、朝太陽の光をたっぷり浴び、体内時計をリセットすることがポイント。そのためには建物の配置、窓からの十分な採光、吹抜けなどの計画がきちんとなされることが大切です。
また、朝外に出て過ごすことで、短い時間でも朝日を浴びられるように、庭や菜園、ベランダなどの外部空間の計画も大事です。
ここでは簡単に目覚めるための住まいの工夫を紹介します。

夜ぐっすり眠れる照明計画(1) ~「暗さ」は眠りを誘うスイッチ~ 

強い光は目覚めを誘い、弱い光は眠りを誘います。くつろぎ、眠りの前には、適度な暗さが有効です。睡眠を誘発するメラトニンは照度が高いほど分泌が抑制され、目覚めやすくなります。逆に低い照度ではメラトニンの分泌抑制は小さく、眠りやすくなります。また、青白い照明の方がメラトニン分泌が抑制されて目覚めやすくなり、逆に赤みの強い光ではメラトニンの分泌抑制が小さく眠りやすくなることもわかっています。

夜間光の照度とメラトニン分泌量の関係色温度とメラトニン分泌量の関係

夜ぐっすり眠れる照明計画(2) 〜天井シーリングより間接照明がくつろげる〜

くつろぎ感を得られる適度な暗さ、その感じ方は照明の種類により差があります。
適度な暗さを演出するために、天井シーリングと間接照明で照度を落として比較してみると、天井シーリング100ルクスの時と間接照明30ルクスの時で、ほぼ同じ明るさを得られることがわかりました。
また、生活行為における適性感を比較調査したところ、同じ明るさ感であるにも関わらず、天井シーリングでは陰うつ感を覚えてしまい、くつろげないことがわかりました。
それは陰影の差がないためと考えます。
暗くても明るく感じる間接照明は、人間の視覚特性に関係しています。
人間の視覚特性には、見ているものに光が当たっていると明るく感じる、陰影があると明るく感じる(対比の効果)、目が慣れてくると明るく感じる(順応の効果)などがあります。

目にとって悪いのは、暗さでなく「眩しさ」

「光を少なくして部屋を暗くすると目が悪くなる」と思われがちですが、暗いところで本を読むと目が悪くなるというデータは実は存在しません。暗いところで本を読むことと、視力低下には因果関係はないと、多くの眼科医が言っています。
それよりも目にダメージを与える大きな原因の一つは、眩しさです。眩しいものを見ると、自然に目を細めたり、瞳孔が開いた状態になってしまい、水晶のコントロールが低下、近視の原因になると言われています。
慣れてしまって気づいていませんが、たとえば照明器具(ダウンライトの多用)やテレビなど、現代の住宅は眩しい部分が多くなっています。

例えば照明器具例えばテレビ

昼夜のリズムに合わせて暮らそう

健康的な生活を送るには、朝から夜の自然のリズムに同調した明るさを演出する(選択・変化させる)ことがポイントになります。
まずは朝の光で体内時計をリセットできる採光計画・外部空間設計をすること。
ダイニング・寝室・洗面所に自然光を取り入れやすい採光計画とします。
また、朝日を浴びる機会を生み出すような外部空間設計とします。
体内時計のリズムに沿った照明計画も大事です。
間接照明で眩しさを抑え、ひとの視覚特性に合わせた適度な暗さ(陰影)をつくりだします。
さらに、時間や行為に合わせて陰影(変化・刺激)を選択・演出できるようにします。

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