心地よく健やかに住まうこととは?

心の豊かさを大切にくらすことは、省エネ生活につながる。

これからの「豊かに住まう」暮らしを考えるうえでは、地球環境への影響を無視するわけにはいきません。
「豊かさ」は「モノをふんだんに消費する」ことだという意識も高く、「モノの豊かさ」を大切にすることは地球環境への配慮とは相反するように感じられることもあります。しかし同時に人は「心の豊かさ」を大切にするために、「自然や緑とのつながり」や「家族とのかかわり」を求めます。私たちは「心の豊かさ」を大切にする住まい方が、心地よさを生むと同時に環境配慮につながる可能性があると考えました。

「環境と住まい方研究」では、「自然や緑とのつながり」や「家族とのかかわり」を通して、豊かな住まい方と地球環境への配慮の関係を見つめます。

「緑視率2割」は人が感じる緑量のベンチマーク

「敷地の緑が豊か」と感じるのは、周囲にどれくらいの緑がある場合だと思われますか? 緑がたくさん茂っている、あるいは山が見えるような光景を想像されましたか?
実は、リビングの窓から見て、窓の2割以上に緑が見えれば、7割以上の人は「緑豊か」と感じています。「2割以上」なら、ちょっとした低木や鉢植えでも実現できそうですね。

緑の豊かさを感じる意識とリビング緑視率の関係

※リビング緑視率
リビング窓から外を眺めた際、窓面積に対して認知された緑量の割合

省エネルギー積極的派は、リビングから見える緑も多い

具体的に敷地内で感じる緑の豊かさと省エネルギーへの取り組む意識による分類と、リビング緑視率の関係について見てみましょう。
リビング緑視率とは、リビング窓からの眺めにおいて、窓面積に占める緑の量の割合を聞いたものですが、省エネルギーに積極的な人は、自宅のリビング緑視率も多いという関係が見られました。
「自宅の緑が豊かだと感じない」人は、リビング緑視率が2割以上が33%ですが、一方で「緑が豊かだと感じる」人では72%、更に「緑が豊かでかつ省エネに積極的」な人は80%に上ります。
私たちは「自宅の緑が豊かに感じかつ省エネに積極的」な人たちを“グリーンリッチ&エコ派”と名付けました。

省エネルギー型ライフスタイルとリビング緑視率の関係

「グリーンリッチ&エコ派」は四季の移ろいを楽しむ

「省エネルギーに積極的」な人はリビング前の庭やベランダを眺めることも多いことがわかりました。庭やベランダを眺めることが「よくある」人の敷地には、樹木や草花が多く植えられ、生垣や菜園なども含めた多彩な庭づくりがされているようです。

緑の豊かさと庭やベランダを眺める頻度

庭やベランダの緑環境種類と庭やベランダを眺める頻度

省エネルギーに積極的な人は、日常のなかで虫の音や鳥のさえずり声に聞き入り、夕日や朝日、月明かりや月の姿を眺めて楽しむこともよくあります。
省エネに積極的な人は、自然を感じる行動が多く、屋外に向ける意識が高いと言えそうです。

緑豊か+省エネ積極的群の自然を感じる頻度

自然や緑を楽しむ暮らし: 生声(フリーアンサー)

明方 山茶花にメジロたちが来て チッチッチッと 虫を探している 動物たち声や鳥の飛ぶ姿は 辛いことがあっても それを忘れさせてくれる 固まった心を開放してくれる

居間等から明るい庭を眺め、小鳥のさえずりと、雑木林風に植えてある樹木から四季の微妙な変化を感じるとき。都会の中なのに、あたかも自然の中にいるようで、何かすがすがしい気持ちになれるから。

出窓からちょうど満月を見ることが出来た。ベランダから流星群を見る事ができた時感動した。部屋の中から偶然月が見えてきれいだった。

庭に鳥、リスなどの野生動物きて部屋から観察できる。子供に鳥の種類など教えてあげられる状況。基本的に静寂、安全であることが居心地を良くしていると思う

2階のベランダから星を眺めて楽しんだ。	ベランダに望遠鏡セットして楽しんだ、私は山男で山頂の星空を思浮かべた。

屋上でねそべって空を流れる雲を眺める。	普段あまり空を眺めることが無いが、屋上で横になりのんびりと空を眺めると気分がすっきりする。

居間でコーヒーを飲みながら、川面や野鳥を眺めるること。特に“かわせみ”が見られた。のんびりとした生活に満足感を感じる。

敷地の屋外空間をくらしに取り入れるグリーンリッチ&エコ派の人たち

「省エネルギーに積極的」な人たちは、身近な屋外環境である敷地内の庭、ベランダ、屋上をよく利用しています。
「草花・樹木の世話をする」「菜園の世話をする」「子ども・孫やペットと遊ぶ/世話をする」「のんびりする」など、家族と一緒や一人でを問わず、庭等の屋外空間を生活に上手に取り入れているようです。

敷地内の生活行動の頻度

敷地の広さに関わらず、緑は人を外へ誘う

緑豊かな敷地は広いから活用されやすいのでは?と思われるかもしれませんが、 実は、そうとは限りません。
「敷地内で緑の豊かさを感じることが多い」人は、敷地の広さに関わらず庭などをよく利用し、一方、「緑の豊かさを感じない(それ以外)」人は、単純に敷地が広いほど利用する傾向があることがわかりました。

つまり、敷地内の緑が豊かであることは、リビング前の敷地の余裕に関わらず、住む人を屋外で楽しむ行動に誘いやすいと考えられます。
屋外空間を楽しむのは広い庭だからというわけでなく、楽しむ人は狭い庭でもよく活用しているのです。リビングの窓に占める緑が2割ほどあれば「豊か」と感じるのですから、都市でも自然の豊かさを感じることができるわけです。

心の豊かさを感じるコツは植物1つからつかめます。小さな敷地、ベランダでも諦めずに、屋外空間を楽しんでみる価値はありそうです。

敷地の緑の豊かさ、リビング前から敷地境界までの距離と敷地内生活行動の頻度

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