- 背景
- (石川県:80歳女性)白内障を患って視力が低下し、足元がおぼつかない状態です。骨粗鬆症のため骨ももろくなっていると思い、骨折を心配して外出を控えています。家の中に手すりや滑り止めをつけようかと主人と相談しているのですが、骨折予防のためには、他にどんなことに注意すれば良いでしょうか。
高齢になって骨折すると、歩く力が低下して要介護状態にもなりかねません。骨を強くし、転ばない方法を工夫しましょう。骨密度の検査を受け、骨が弱くなっているようなら、活性型ビタミンD3、ビタミンK、ビスホスホネート剤、選択的エストロゲン受容体修飾薬(SERM)などを内服して骨を強くします。また、強い骨を作る作用を持つテリパラチドや、骨が溶けるのを抑える抗RANKL抗体、抗スクレロスチン抗体といった注射薬もあります。薬に加え、運動や食事、日光浴などの生活習慣を見直すことも大切です。
薬について
本格的な運動が無理なようですので、杖を使ったり、ご主人に手を引いてもらうなどして、少しずつ外に出て歩くようにしましょう。痛みがある場合は、痛みを和らげる注射や鎮痛剤の坐薬や貼り薬をしてもらうと楽になるでしょう。なお、他に服用している薬が転倒の原因になっている場合がありますので、その可能性があるか否かを医師に相談してみてください。
転倒を防ぐためには、手すりや滑り止め以外に、家の中を明るくする、つまづきやすい段差をスロープにする、整理整頓をして障害物をなくす、部屋による温度差を作らない、などが大切です。
骨粗鬆症と骨折の予防
また、転んでも骨折しにくいヒップ・プロテクターも効果的でしょう。最近は白内障の手術も進んでいますので、視力回復のために受けてみてはいかがでしょうか。転倒を恐れ、外出を控えて消極的に生活するよりも、いろいろなアイディアで転ばない工夫をして、積極的に人生を楽しみましょう。