図1.ボルクレイ・マット®の構造
ボルクレイ・マット®は、セトコ社(アメリカ合衆国)の登録商標です。
ボルクレイ・マット®は世界最大のベントナイト生産力を誇るセトコ社(アメリカ)が開発した土木用の防水材で、廃棄物最終処分場をはじめ、オイルタンクの災害防止や人工池など世界中で利用され、高い信頼性を得ています。
ボルクレイ・マット®は、粒状のNa型ベントナイトを織布・不織布で挟み、互いをニードルパンチにより固定した“補強型”のGCLです。ボルクレイ・マット®に用いられているベントナイトはアメリカ ワイオミング州産で高品質・高純度に定評があり、防水材のみならず幅広い分野でその特性を生かして利用されています。
敷設状況
調整池
ため池はがね土代替
遮水工+保護工(ファブリフォーム®)
ニードルパンチの繊維がベントナイトを固定し、偏りや流出を防ぎます。垂直面に貼り付けて使用することもできます。
15倍程度に膨潤する能力を持つベントナイトを約2倍の膨潤で抑えることにより、より緻密な粘土層を形成すると共に、自己修復機能を発揮させ易くしています。
上下の布を連結することにより内部剪断強度が高まり、急斜面での施工が可能となります。
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
幅 | 5 m | |
長さ | 20 m | |
厚さ | 6.4 mm | |
重量 | 織布 | 0.11 kg/m2 |
ベントナイト | 4.8 kg/m2 | |
不織布 | 0.20 kg/m2 | |
全体(実測値) | 5.1 kg/m2(約5.5 kg/m2) |
項目 | 試験法 | 数値 |
---|---|---|
モンモリロナイト含有率 | 様々な試験 | 90%以上 |
含水率 | ACC1009 | 12%以下 |
膨潤力 | JBAS-104-77 | 20ml/2g以上 |
脱水量 | 土質工学会ろ過試験 | 15ml以下 |
吸水率 | ASTM E 946 | 900%以上 |
粒度分布 | ASTM D 421 | 2mmメッシュパス100% 0.075mmメッシュパス1%以下 |
項 目 | 試 験 法 | 基 準 値 |
---|---|---|
透水係数 | ASTM D 5084 | 5×10-9cm/sec |
引張強度 | ASTM D 4632 | 400N |
剥離強度 | ASTM D 4632 | 65N |
湿潤状態での内部剪断強度 | ASTM D 5321 | 約24kPa |
ボルクレイ・マット®の継手は、底面部の場合は20cm以上(法面部の場合は30cm以上)重ね合せ、間に粒状ベントナイトを散布します(目安 400 g/m2)。織布の折目から膨潤したベントナイトがにじみ出し、最終的にはベントナイト同士が繋がった一つの防水層を形成するのですが、初期段階の継手の水密性を確保するために粒状ベントナイトを散布します。
ボルクレイ・マット®を使用する際、それを露出させたままの状態にはせずに必ず土、コンクリートなどで覆います。これを保護土、保護コンクリートと呼んでいます。これら保護材の役割として以下のことが挙げられます。
30cm以上の保護土を施工した上であれば、重機の通常走行によりマットを傷つけることはありません。
膨潤したベントナイトはマットの小口や織布面からにじみ出てきます。この出てきたベントナイトは水流により流出することが考えられるため、流れを遮断するように保護土などを施工します。
ボルクレイ・マット®の施工では、継手は接着などを行いません。基本的に、マット間に粒状ベントナイトを散布して重ねるだけです。マット同士が密着すれば水密性は確保されるのですが、実際の現場では下地の凹凸などによりマット敷設だけでは完全な密着を確保するのは困難であります。そのため何らかの補助が必要となり、これに保護材の荷重を利用しています。
ボルクレイ・マット®の保護材として以下の3種類がよく用いられます。
種類 | 推奨厚さ | 特徴 | 評価 |
---|---|---|---|
土 | 30 cm以上 (締固めた状態) |
|
法面 ○ 底面 ◎ |
現場打ち コンクリート |
10 cm以上 |
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法面 ○ 底面 △ |
布製型枠 コンクリート |
10 cm以上 |
|
法面 ◎ 底面 ○ |