漏油検知とは

漏油検知器は、油の漏れや流出を検知するための装置です。主に工業用途に使用され、検知器が油を検出すると警報を発します。静電容量、レーザー光など様々なセンサー技術を利用しています。これらのセンサーは油の存在を感知し警報や自動停止などの措置を取り、漏油の早期発見と迅速な対策が可能となり、安全管理や環境保護に役立ちます。

1. 漏油検知の役割

安全性の確保

工場で油漏れが発生すると、火災や爆発のリスクが高まります。漏油検知器で早期に異常を検知することで、事故を未然に防ぎます。

環境保護

油漏れが自然環境に及ぼす影響は深刻です。漏油検知器を設置することで、油の流出を迅速に検知し環境汚染を防ぎます。

法規制の遵守

多くの国と地域では、一定の安全基準や環境基準を満たすために漏油検知器の設置が義務付けられています。これにより、法規制を遵守し罰則を回避することができます。

コスト削減

油漏れや流出は修復費用が高額になります。早期に問題を発見し対処することで、大規模な修理や清掃のコストを削減できます。

リスク管理

油漏れ事故が発生すると、企業は大きな損害を被る可能性があります。漏油検知器の設置はリスク管理の一環として事故を未然に防ぐ手段となり、経済的な損失を防ぎます。

ブランド認知の向上

環境保護や安全対策を積極的に行う企業は、社会的責任を果たしていると評価されます。このような企業は消費者や投資家から信頼され、ブランドイメージが向上します。

競争優位性の確保

市場での競争において安全対策や環境保護に取り組む企業は、他社と差別化を図ることができます。これにより、企業の競争力が強化されます。

2.漏油検知の種類と特徴

漏油検知器の種類と特徴について、代表的な4つの検出方式を相対的に比較したものです。

静電容量方式 レーザー方式 UV蛍光方式 光ファイバー方式
感度 *1
応答性
設置性
耐環境性
接触/非接触 接触 非接触 非接触 接触
清掃
メンテナンス *2
コスト

*1 測定対象や環境によって異なる場合があります。
*2 内部に可動部があるため、定期的な点検が必要です。

■静電容量方式

油の存在によりセンサーの静電容量が変化する性質を利用した方式です。油がセンサーに触れると静電容量が変わり、その変化を検出して油の存在を確認します。

既設の排水桝への設置。メンテナンスと校正が不要。ミリ単位で油層を検知するタイプで微量の油膜は検知できません。

■レーザー方式

レーザー光を油膜に照射し、光が反射・散乱される性質を利用した方式です。反射光の強度や角度を検知して油膜の存在を確認します。

高精度な油膜検知が可能。応答速度が速くリアルタイムでの油膜の有無を検知可。導入費用が高くなる場合があります。

■UV蛍光方式

紫外線 (UV) を油膜に照射すると、油が紫外線を吸収し蛍光を放出する性質を利用した方式です。油から放出される蛍光を検知して油の存在を確認します。

迅速な応答が可能。環境光や汚れにより感度が低下するため、定期的なメンテナンスと校正が必要。導入コストが高くなる場合があります。

■光ファイバー方式

光ファイバーケーブルが油に触れると、光量が変化する性質を利用した方式です。ファイバー内の光の反射や屈折特性の変化を検出して油の存在を確認します。

厳しい環境条件下でも安定動作し、温度や湿度の影響を受け難い。油検知後の清掃か取替えが必要。導入や維持にコストがかかることがあります。

3. 採用事例

漏油検知器は工業施設、エネルギー施設、環境監視など、様々な分野で安全と環境保護のために使用されています。

■石油関連施設

油の漏れを早期に検知するために設置されます。

■化学工場

化学薬品の製造や取り扱いにおいて、油の漏れを防ぐために使用されます。

■製紙工場

紙の製造プロセスにおいて、使用される油の漏れを防ぐために設置されます。

■食品・飲料工場

食品・飲料品の製造プロセスにおいて、使用される油の漏れを防ぐために設置されます。

■製鉄・鉄鋼工場

鉄鋼製品の製造や取り扱いにおいて、油の漏れを防ぐために使用されます。

■自動車工場

潤滑油やその他油を使用する箇所での漏れを検知するために設置されています。

■半導体工場

半導体製品の製造や取り扱いにおいて、油の漏れを防ぐために使用されます。

■エネルギー関連施設

発電所やガスタービン施設・変電所などでの潤滑油・絶縁油の漏れを検知するために設置されます。

■少量危険物施設

ある一定量の危険物を保管している施設での漏油を検知するために設置されます。

■高層オフィスビル、病院(大学、総合)、データセンター、大型商業施設

非常用発電機の燃料タンクがある施設において、 油の漏れを防ぐために使用されます。