アパート経営の基礎知識:募集・管理編
募集・管理の方法や不動産会社選びのポイントなどを解説します
- ・どう募集・管理するのか? 管理委託と一括借上げ
- ・安定経営のためには一括借上げが有利
- ・一括借上げと家賃保証の違い
- ・不動産会社選びのポイント
どう募集・管理するのか? 管理委託と一括借上げ
建物が竣工すると、いよいよ長期にわたるアパート経営が始まります。アパート経営は、管理の良し悪しがその後の安定経営を決めると言っても過言ではありません。アパートの管理業務には、主に次のようなものがあります。
■アパート管理業務の一例
- 入居者斡旋
- 入居者募集、入居者の選定、賃貸借契約の締結
- 家賃回収
- 家賃回収、滞納者への督促
- 契約更新・退室
- 契約更新、退室手続き、敷金精算、原状回復、室内クリーニング
- トラブル対応
- 入居者間トラブル対応、近隣トラブル対応、設備機器の故障対応
- 建物メンテナンス
- 定期清掃、法定点検、設備修繕、大規模修繕
これらの業務は、オーナー自身が管理するケース(自主管理)もありますが、多くの方が仲介不動産会社や不動産管理会社に管理委託します。どこからどこまでを管理委託するのかは、契約内容によります。管理会社によっては、内容によって管理費を変えているところもあります。
もう一つの管理方法が、一括借上げです。これは、オーナーが管理会社と賃貸借契約を結び、入居者は管理会社と賃貸借契約を結ぶ方法です。つまり、入居者にとってのオーナーは管理会社となり、煩わしい管理・運営の一切を管理会社が行うため、オーナーには負担がかかりません。サブリースとも呼ばれ、最近では、この一括借上げを選ぶ方が増えています。
安定経営のためには一括借上げが有利
一括借上げを多くのオーナーが選ぶ大きな理由は、空室のリスク、家賃滞納のリスクがないことです。入居者との賃貸借契約は管理会社が結びますので、空室が続いても、家賃滞納があっても、それは管理会社と入居者の問題。つまり、空室が出ても家賃の滞納があっても、オーナーには一定額の家賃が保証されるのです。
ただし注意点として、2年毎に賃料の見直しがあり、借地借家法第32条の規定により、賃料が減額されることがあること、また、一括借上げ契約期間中においても、運営会社から解約することができること、があります。オーナーから解約をする場合には、借地借家法第28条の規定により、正当な事由があると認められる場合でなければ解約すことができません。
また、前の項目で説明したような煩わしい管理業務に悩まされることはありません。一括借上げをすれば、空室リスクがなく、家賃収入が安定しているため、ローンの返済計画も立てやすくなるというメリットもあります。
しかし、その分、管理手数料は管理委託よりも高くなり、家賃に関しても一定期間ごとに見直しがあります。
それでも、アパート経営にとって、最大のリスクともいえる空室リスクが解消されるのは、大きな魅力です。
一方、管理委託の場合、賃貸借契約はオーナーと入居者で結ぶため、管理会社はあくまでサポートという立場です。
例えば、家賃の滞納があった場合、入居者との交渉は管理会社が行いますが、滞納による収入減のリスクはオーナーが負います。また、トラブルがこじれた場合もオーナーが交渉の場に出て行かざるを得ない場合があります。
■管理会社の管理委託と一括借上げの違い
- 管理委託
- 一括借上げ
- 空室リスク
- あり
- なし
- 家賃滞納リスク
- あり
- なし
- 家賃下落リスク
- あり
- あり
- 管理料
- 管理内容による。家賃の3~5%
- 管理委託よりは高い。家賃の10~15%
一括借上げと家賃保証の違い
一括借上げと間違いやすいものに「家賃保証」というサービスがあります。これは、家賃保証専門の会社やクレジットカード会社が行うサービスです。
このサービスは、正確にいうと「家賃滞納保証」のことで、文字通り家賃を滞納された場合の保証ですから、一括借上げのように空室の家賃を保証する仕組みとはまったく違います。
表記が家賃保証となっていることもあって混同しやすいので、間違えないように注意が必要です。
不動産会社選びのポイント
アパートの募集・管理をどこの不動産会社に依頼するかも大きなポイントとなります。
次のポイントに気をつけて不動産会社選びをするとよいでしょう。
(1)不動産会社の業務内容をよく確認すること
入居者募集が専門の会社もあれば、管理が専門の会社もあります。また、全ての業務を行っている会社もあります。
全てを行っている会社に依頼する場合は、窓口を一本化することができます。
募集と管理を別会社に依頼する場合は、複数の会社が窓口となるため、業務の範囲やトラブル対応についてあいまいな取り決めをしていると、責任問題に発展する場合もありますので注意しましよう。
(2)客付け能力を見極めて募集会社を決める
入居者の募集においては、最近の物件探しはインターネットが主流になっていますので、各会社のホームページなどを見て、物件の豊富さ、情報の更新頻度、分かりやすさなどをご自身でチェックしてみるのも良いでしょう。
また、地元で長く営業している不動産会社は、エリアのニーズを熟知しているケースもあります。
(3)管理の内容をよく確認する
管理の内容は多岐に渡りますので、いつ(頻度)、誰が、どんな管理を行うのかをしっかり確認することが大切です。また、一括借上げを選択する場合は、20年、30年という長い期間、管理・運営をしてもらうことになるので、管理内容をしっかり確認し、信頼できる不動産会社を選ぶべきでしょう。
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