アパート経営・土地活用の知恵袋
知っておきたい基礎知識 土地活用・アパート経営の基礎知識

アパート経営の基礎知識:経営編

経営開始後のメンテンナンスや法定点検、入っておくべき保険について解説します

  • ・開業にあたって
  • ・メンテナンス計画のポイント
  • ・アパートの法定点検
  • ・万が一に備える火災保険、地震保険
開業にあたって

さて、ここまでアパート経営を始めるためのノウハウを解説してきました。いよいよアパート経営の開業となるわけですが、その前に税務に関する届け出が必要になります。

まず開業届として、建物が竣工して入居者募集を始める事業開始1カ月以内に、納税者の住所地を所轄する税務署へ「個人事業の開廃業等届出書」を提出します。
アパート経営を始めるにあたって、必要な公的な書面はこれだけで、特別な資格や許認可を必要としません。

その他、アパート経営上の節税メリットを受けるために、青色申告などに関する申請書・届出書もあわせて提出することをお勧めします。

提出期限はそれぞれ分かれていますが、全て所轄の税務署への提出ですので一度に提出するほうがよいでしょう。詳しくは、確定申告の基礎知識(実務編)をご覧ください。

メンテナンス計画のポイント

アパート経営では、建物のメンテナンスも重要なことです。メンテナンスを怠れば、汚損や設備の故障などに気付けず、そのことが原因で入居者から敬遠されてしまうことになりかねません。
長期安定経営のためにも、いかにメンテナンスを行うかが大切になってくるのです。

メンテナンスを行う部分は、専用部分と共用部分に分けられます。そして、将来の大規模修繕にも備える必要があります。

■専用部分

専用部分は入居者の入れ替え時に行う場合がほとんどです。室内のクリーニングとクロスの張り替えは最低限行う必要があるでしょう。
あとは、設備の償却の終わる15年を目途に状況に応じて設備の取り替えなどの大規模なメンテナンスを行っていきます。

■共用部分

共用部分では、エントランス、外廊下・階段、ゴミ置き場、駐輪場(駐車場)などの日常の清掃があります。

■大規模修繕

経営当初から計画しておきたいのが大規模修繕。外壁の塗り替えや屋根の吹き替えなどです。仕様によって周期は違いますが、約10~15年を目途に考えたいものです。
また、大規模修繕には多くの費用がかかります。

収支計画に組み込んでいき、毎月、修繕積み立てをするなどの計画も必要です。
(ヘーベルメゾンのメンテナンスプログラム(ロングライフプログラム)についてはこちら)

アパートの法定点検

アパートなどの共同住宅では、消防法や建築基準法等により定期的に法定点検を行うことが義務付けられています。

■消防設備点検(機器点検は年2回 総合点検は年1回)

消防用設備は、消火設備、警報装置、避難設備、消防防水、消火活動上必要な設備に大きく分類することができます。
いざという時その機能が発揮できるよう消防法では年2回、建物の規模に関わらず有資格者による消防設備機器の点検を行うように定めています。
さらに年1回、実際に作動させる総合的なテストを実施し、その結果は、消防署へ届け出ることを義務付けています(消防法第17条の3の3)。

■エレベーター保守点検(年1回)

エレベーターは年に1回、法定点検を行うことが義務付けられています。また法定点検以外にも、エレベーターは、未然の事故防止のために、通常1カ月~3カ月に1回の割合で点検を行います。

この他、「階数が5階以上、かつ、共同住宅部分の延床面積の合計が1,000平米を超える」中規模以上の建物には、「建築設備点検」「特殊建物定期検査」が義務付けられています。

万が一に備える火災保険、地震保険

アパート経営では、災害や不慮の事故から守るために保険に加入することが重要です。保険は、オーナーと入居者双方が入る必要があります。
「保険は入居者だけが入るものではないか?」と勘違いされるオーナーもいますが、災害の状況で補償の対象は変わってきますので、それぞれが保険に加入する必要があります。

保険の対象となる目的物は、「建物」と「家財」とに分けられます。「建物」を補償する保険はオーナーが、「家財」を補償する保険は入居者が加入します。
また、賃貸併用住宅の場合の自宅部分の家財については、オーナーが加入します。

保険の種類として必要なのは、「火災保険」「地震保険」「施設賠償保険」です。各保険会社からは、さまざまな保険を組み合わせたり、特約が付いている商品が出ていますので、補償内容をよく確認して加入するようにしましょう。

<オーナーのための保険>

●「火災保険」

例えば共用部分から出火した場合や隣家の建物からの類焼(もらい火)で建物が損傷した場合などは、オーナーが加入している火災保険で対応します。
また、火災以外にも台風や水害、落雷などさまざまな災害に対応している商品がほとんどです。

POINT1 家賃補償特約を付ける

火災の場合は復旧までの間、家賃収入が絶たれることになります。「家賃補償特約」は、得られたはずの家賃相当額が支払われる特約です。火災という条件に限定しているため、単に入居者がいないだけの状況は対象になりません。

POINT2 保険金額は新価(再調達価格)で

保険の金額には、「時価」と「新価(再調達価格)」があります。「時価」は建築当初の価値から経年劣化分の価値を差し引いた保険金額、「新価(再調達価格)」は再建築や修繕に必要な保険金額を受け取れます。
もちろん保険料は時価に比べて新価の方が高くなりますが、アパート経営を継続していきたいなら「新価(再調達価格)」で設定するのがよいでしょう。

●「地震保険」

大地震の発生が懸念される昨今、保険においても地震対策が重要です。地震で起きた損害はもちろん、地震で起きた火災の被害については、火災保険では補償されません。火災保険とあわせて必ず加入しましょう。
また、地震保険の補償範囲は、火災保険金額の30%~50%、または建物:5,000万円、家財:1,000万円が上限となっています。

●「施設賠償責任保険」

防災の観点だけでなく、不慮の事故にもオーナーは備える必要があります。
例えば、所有するアパートを囲う塀が倒れ、通りがかりの人や入居者にケガを負わせた場合、オーナーの管理責任が問われ、賠償責任が発生することがあります。
そのような場合に役立つのが「施設賠償責任保険」です。火災保険の特約として検討しましょう。

<入居者のための保険>

入居者のための保険は、入居者が借りている住戸を火災や水もれ事故などで損害を与え、オーナーに対して法律上の損害賠償責任が生じた場合の「借家人賠償責任」、被害を与えた相手に賠償する「個人賠償」、自分の家財を守る「家財保険」の3つに「地震保険」がセットになっているものがベストです。
不動産管理会社が提携している保険商品の内容を確認しておきましょう。

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