賃貸管理の制度が施行され、賃貸市場では"賃貸新時代"が始まったといわれています。加えてコロナ禍によりニーズの多様化が進み、社会インフラとしても、より高品質な賃貸住宅が求められるようになってきました。最新の賃貸市場動向について解説します。
賃貸経営において、賃貸管理全般を業者に任せる一括借上げが主流の経営スタイルになる中、昨年6月、「賃貸住宅管理業適正化法」が全面施行されました。
主な内容は、「サブリース業者への規制」、「オーナーへの重要事項説明」、「管理業者の登録」、「賃貸不動産経営管理士等の専門家の設置」などが義務化されたことです。これにより賃貸管理業は、法制度に基づいたビジネスとして確立したことになります。これを契機に賃貸業界では"賃貸新時代"が始まると、業界紙「住宅新報」などで報じられ、賃貸市場の発展が期待されています。
賃貸経営は、何十年と続く長期事業です。建てたらゴールではなく、その後の管理が非常に重要です。専門家による賃貸管理が行われることで、品質の維持管理も向上し、賃貸住宅は"仮の住まい"という位置付けから、人生100年時代の"新しい終の住まい"へと発展していくことが期待されています。
賃貸管理の業務は多岐にわたります。国家資格となった賃貸不動産経営管理士が行う業務範囲は広く、オーナーと管理業務を受託する契約から始まり、入居者の契約終了まで様々な業務があります。とても素人ができるものではありません。
とはいえ、賃貸経営の経験のない人は賃貸経営ができないかといえば、そうではありません。一括借上げを活用すれば、初心者でもできるのが賃貸経営です。これも、賃貸管理のビジネス化が進んだことが大きな要因です。今や賃貸経営は、"所有と経営(管理)の分離"があたり前の時代なのです。
賃貸管理が専門化することで、賃貸住宅の品質も向上。賃貸経営は、"所有と経営(管理)の分離"がスタンダードに。
賃貸住宅では外壁や屋根の大規模修繕の費用負担が大きいため、修繕費用を計画的に積み立てることが重要です。しかし、積み立てた費用は修繕が行われるまで必要経費(損金)に算入することはできません。一方、投資用の分譲マンションで支払う毎月の修繕積立金は、必要経費への算入が認められています。
このことは、賃貸住宅業界としては長年のテーマだったのですが、昨年、ようやく国土交通省に認可され、全国賃貸住宅修繕共済協同組合による共済掛金制度として「賃貸住宅の大規模修繕積立金の損金算入制度」が創設されることになりました。
今のところ対象は「外壁」と「屋根」で、開始時期や掛金の上限など、詳細はまだ決まっていません。
これにより、資金不足で大規模修繕が先送りになることがないよう、計画的な備えを後押しすることになり、賃貸住宅の品質向上にもつながります。長期安定経営のためにも、計画的なメンテナンスは必要不可欠です。
「賃貸住宅の大規模修繕積立金の損金算入制度」創設も、賃貸新時代を象徴する出来事と言えるでしょう。
「外壁」「屋根」の大規模修繕への積立金を必要経費にできる制度が創設予定。計画的な大規模修繕計画が立てやすくなる。
コロナ禍での賃貸市場は、企業の転勤控え、大学のオンライン授業などで、単身者の需要が鈍化しました。一方で少し広めのカップル向け、ファミリー向けのニーズが高まり、家賃も上昇傾向にあります。特に郊外人気で、東京都下やその近郊の県でニーズが高まっています。
2021年の東京23区の分譲マンション平均価格は8,293万円で対前年比7.5%の上昇です。
(首都圏6,260万円、近畿圏4,562万円)
分譲マンション価格が依然上昇を続けていることにより、持ち家よりも賃貸住宅を志向するニーズが少しずつ高まっていることも想像に難くありません。
国の政策で住宅ローン控除など持ち家に対する支援策はありますが、賃貸住宅の家賃補助などの政策は一部の自治体にとどまっています。ただし、賃貸住宅は単に仮の住まいではなく、地域の活性化を促す社会インフラとしても重要な役割が期待されていて、今後は国としての政策の必要性もあるとの声も上がっています。
ファミリー向けニーズの高まりと共に、賃貸住宅も進化を遂げています。賃貸住宅に住むメリットの一つは、家族構成の変化や、今回のコロナ禍のように働き方の変化に合わせて、自由に住み替えられることです。ただし、子どものいる世帯にとっては、学区のこともあり、そう簡単に住み替える訳にはいきません。
そのようなニーズに合わせて、ヘーベルメゾン『free㎡(フリームス)』では、可動家具を使って、間取りを変えられる賃貸住宅を実現しました。ライフスタイルの変化に合わせて、部屋の間取りを変えて、長期に住み続けられるのです。オーナーにとっても、長期入居は安定経営につながります。
■可動家具を使って間取りを変えられる『free㎡(フリームス)』
間取りを自由に変えられる「ヘーベルメゾンfree㎡(フリームス)」なら、家族のライフスタイルの変化に対応でき、長く快適に暮らせる。オーナーにとっても長期入居は安定経営につながる。
賃貸市場ではファミリー物件の高品質化だけではなく、特定の入居者層をターゲットとしたコンセプト賃貸が人気です。
ペット共生型賃貸住宅『+わん+にゃん』は2006年に誕生し、5年ほど前から賃貸市場に浸透し始め、管理戸数は今も増え続けています。成功の秘訣は、設備・仕様面だけでなくペット専門の管理サポートを導入したことです。
入居の際には、ペット専門スタッフや提携ドッグトレーナーがペットの種類や年齢、日常のしつけなどを入念にヒアリング。審査を通った入居者とペットだけを受け入れる仕組みなので、しつけ意識の高い入居者が集まるのはもちろんのこと、他の住戸の入居者も厳しい審査を通った世帯だという安心感がさらなる価値向上を生んでいます。
ペット共生型賃貸住宅『+わん+にゃん』のサイトはコチラ
子育て支援に特化した『母力』では、お母さんたちが子育ての不安や悩み、楽しさや喜びを共感しあい、笑顔で子育てできる賃貸住宅のあり方を追究しました。快適に楽しみながら家事や育児ができる間取りや室内外の空間、コミュニティが自然に育まれ、入居者家族や地域が助け合って子育てできるサポートシステムを導入しています。
孤立してしまいがちなお母さんに、今まで賃貸住宅にはなかったコミュニティを形成し、空室待ちが出るほどの人気です。
■コミュニティを育む『母力』の空間設計
子育て共感賃貸住宅『母力BORIKI』のサイトはコチラ
人生100年時代では高齢者の住まいのあり方も社会的課題です。元気なシニア層が自由に暮らせ、かつ万が一の健康不安にも対応したのが『ヘーベルVillage』です。元気なシニア層の新しい住まいの選択肢として注目されています。
これらのコンセプトを成立させるには、入居者に合わせた間取り、空間設計、設備といったハード面と、専門スタッフによる管理サービスなどのソフト面が必要不可欠です。また、今まで賃貸住宅ではなかったコミュニティが形成されているのも特徴的です。ご紹介したコミュニティ賃貸は一過性のものではなく、今後も"賃貸新時代"に一定の市場を形成する社会インフラとして期待されます。
シニア向け安心賃貸住宅『ヘーベルVillage』のサイトはコチラ
特定の入居者層をターゲットとしたコミュニティ賃貸に人気が集まり、社会インフラとしても期待が集まる。
アパート経営・土地活用サイト。旭化成ホームズのヘーベルメゾン
旭化成グループでは、戸建て住宅のヘーベルハウスから、アパート経営・土地活用のヘーベルメゾン、分譲マンション、 分譲住宅、不動産流通事業、リフォーム、ファイナンス事業など、
多彩な視点で幅広い事業を展開しています。
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