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どうする!? 確定申告と帳簿の電子化

税務・確定申告

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2022年1月25日

どうする!? 確定申告と帳簿の電子化

賃貸経営の経理業務においてもデジタル化は避けて通れない時代になってきました。慣れてしまえば仕事の効率化、ペーパーレス化につながります。この数年で、帳簿や書類のデータ化に関する様々な制度が創設されていますが、個人事業主からは、内容がよく分からないといった声も聞かれます。あらためて、確定申告や帳簿のデジタル化に関する制度を整理し、賃貸オーナーの場合は、どのように対応すればよいのか考えてみます。

マイナンバーカードでの電子申告e-Taxがより簡単に!

まずは電子申告e-Taxから解説します。毎年、確定申告の時期になると、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」のサイトが公開されますので、そこで確定申告書・青色申告決算書のデータを作成し、そのサイトからデータを送信すれば完了です。利用の仕方は、動画を含めサイトに詳しく載っています。

電子申告は、大きく分けて「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」がありますが、今回のe-Taxから「マイナンバーカード方式」に「2次元バーコード方式」が新たに追加されました。これまで、「マイナンバーカード方式」の場合は、マイナンバーカードを読み取るICカードリーダライタが必要だったのですが、マイナンバーカード読取対応のスマートフォンがあれば、ICカードリーダライタは不要になります。「マイナンバーカード読取対応のスマートフォン」とは、おサイフケータイなどのNFC機能のあるスマートフォンです。対応機種もサイトに載っていますので、確認してみてください。

「ID・パスワード方式」はマイナンバーカードが普及するまでの暫定措置です。また、電子申告は、後述する青色申告特別控除65万円の適用要件の一つでもあります。マイナンバーを取得して、電子申告することをお勧めします。

国税庁「確定申告書等作成コーナー」の画面

マイナンバーカード方式に2次元バーコード方式が新設。マイナンバーカード方式で2次元バーコードを利用すれば、ICカードリーダライタは不要になります。

帳簿は会計ソフトが便利

賃貸経営の帳簿作成は、一般の事業と違って、毎月決まった家賃の入金と不動産会社への管理料がある程度で、さほど煩雑なものではありません。入力項目も少ないので、手書きの簡易な帳簿でも入出金の管理はできると思います。しかし、青色申告特別控除の要件である複式簿記での帳簿作成などは、経験者でないと難しいでしょう。

そこで、便利なのが会計ソフトです。経理の知識がなくても、入金と出金を記録すれば、必要な帳簿に自動でまとめてくれます。複式簿記の帳簿「総勘定元帳」も自動で作ってくれます。個人事業主向けのものであれば1万円前後で購入できますので、利用を検討してみても良いでしょう。

確定申告も会計ソフトの申告ツールを使えば、確定申告書・決算書の作成から送信まで、通してできます。マイナンバーカード方式の2次元バーコードの対応については、まだ会計ソフトによってまちまちですが、いずれは大手メーカーのものであれば対応できると思いますし、2次元バーコード利用ができる国税庁のe-Taxソフト(WEB版)で送信する方法もあります。

■主な電子申告の方法

会計ソフトを利用すれば、経理の知識がなくても複式簿記に対応可能。今後も帳簿や書類のデジタル化は様々な点で要求が強くなる傾向に。会計ソフトでデジタル化に慣れておくことも大切。

電子帳簿保存法とは?

デジタル化で混乱を招いているのが「電子帳簿保存法」です。ほとんどが法人ベースの話なので、個人事業主にとっては戸惑うことが多く、税制の改正も何度か行われています。

電子帳簿保存法とは、帳簿や決算書、請求書、領収書をデータで保存できる要件を定めた法律です。間違いやすいのですが、会計ソフトで帳簿を作成していても、帳簿や書類は原則、紙に出力して保存することが義務づけられています。
ただし、電子帳簿保存法の要件を満たしていれば、帳簿や書類はデータでの保存が可能になるのです。

どのような帳簿や書類をデータ保存できるのか?
電子帳簿保存法では、保存方法を次の3つに大別しています。

電子帳簿保存法

① 電子帳簿等(データ)保存

 会計ソフトなどを使って、作成した帳簿、決算書類をデータのまま保存できる制度です。
電子帳簿保存を採用するには、利用する会計ソフトの機能に細かな要件が定められ、これまでは、事前承認が必要でした。しかし、2022年1月1日からは、事前承認が不要となります。大手会計ソフトのものであれば、電子帳簿保存法に対応していると思いますので、そのままデータで保存することができます。ただし、注意したいのは、青色申告特別控除65万円を適用させるには、事前承認が必要だということです。
会計ソフトが対応しているかどうかの一つの判断に、「公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による要件適合性の認証」があります。国税庁のサイトにJIIMA認証情報リストがあります(コチラから)ので、参考にしてください。必ずしも、このリストに掲載されていなければならないというわけではありません。会計ソフト各社、随時対応していますので、最新の情報は各会計ソフトで確認してください。

② スキャナ保存

 請求書や領収書をスキャナやスマートフォンで読み取り、データとして保存できる制度。
 データにタイムスタンプ(電子データの存在を証明する時刻証明書)の付与が必要で、その期限が最長2カ月と7営業日と大幅に延長されています。つまり、2カ月分はまとめて作業ができるということになります。このタイムスタンプも大手会計ソフトでは対応しています。
 また、修正や削除などの編集を行った場合、その履歴が残るようなシステムを利用していればタイムスタンプの付与そのものも不要です。今のところ、それに対応している会計ソフトは法人向けのものが多いのですが、そのうち個人事業主向けの会計ソフトでも対応できるようになるかもしれません。これも先ほどのJIIMA認証情報リストにあります。
 スキャンした領収書などの原本は廃棄してもかまいません。少しでもペーパーレス化を目指すのであれば、利用するとよいでしょう。

③ 電子取引のデータ保存

 電子取引した場合の領収書や請求書は、紙ではなくデータで保存しなければならない制度。
 ネットショッピングを利用した場合の領収書や、メールに添付されている請求書等については、これまでは紙に出力して保存していたと思いますが、データでの保存が2024年1月1日から義務づけられます。本来は、今年からの予定でしたが、延期になりました。
データは検索しやすいように、ファィル名に取引年月日、金額、取引先等をつけ、「取引先」や「各月」ごとのフォルダに保存するようにします。義務化まで猶予ができましたが、今から慣れておいたほうがよいでしょう。

少なくとも会計ソフトを導入し、電子帳簿のデータ保存はしたほうがよい。電子取引のデータ保存は、2024年からの義務化を見据えて慣れておく。ペーパーレス化を目指すならスキャナ保存にもチャレンジ。

間違いやすい青色申告特別控除65万円の要件

2020年度分から青色申告特別控除65万円の適用要件に、従来の要件に加え「e-Taxによる電子申告、または、電子帳簿保存を適用している場合」が加わりました。
先ほども取り上げたように、電子帳簿保存法の改正で、電子帳簿自体を採用する場合は、事前承認が不要になりましたが、青色申告特別控除65万円を受けるには事前承認が必要です。この事前承認の申請はいささか煩雑です。個人事業主の場合は、もう一つの要件、「電子申告」のほうがスムーズで、お勧めです。
新しい要件、「電子申告か電子帳簿か」については、65万円の青色申告特別控除を受けるためのチャートが、国税庁から出ていますので、下に掲載します。参考にしてください。

■青色申告特別控除の要件と控除額

■65万円控除を受けるためには・・・

青色申告特別控除65万円を受けるには、e-Tax(電子申告)がお勧め。

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