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家賃は下げない!! 空室対策のポイント

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2019年2月26日

家賃は下げない!! 空室対策のポイント

いよいよ、賃貸市場は繁忙期の追い込み時期となります。この時期は、最も入居者の入退室が多い時期ですが、4月を過ぎると途端に客足は途絶えてしまうこともあるだけに、3月末を過ぎて空室が出てしまうと、その後の空室が長引いてしまう可能性が高くなります。そのためにも、この時期の空室対策は欠かせません。最も簡単な空室対策は家賃を下げることですが、それでは賃貸経営そのものが不安定になってしまいます。家賃を下げず、長期の視点で安定経営を促すための空室対策を考えてみます。

空室の現状は高水準でほぼ横ばい

まず、現在の空室状況はどうなっているのか、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)が半期に一度発表している最新の「日管協短観」2018年度上期データ(2018年4月〜9月)を見てみます。この調査は、日管協の会員である首都圏・関西圏を中心とした賃貸住宅管理会社へのアンケート調査に基づいたものです。回答は、管理会社による管理戸数ベースになります。

賃貸市場は年々厳しくなっているとも言われていますが、入居率は高水準をキープしています。日管協短観では、入居率の推移を管理方法の違い、「委託管理」か「サブリース(一括借上げ)」かで調査しています。
「委託管理」では、入居率はどのエリアも若干下がっているもののほぼ横ばいです。「サブリース」では、どのエリアも若干上がっています。特に関西圏は94.6%から96.3%に伸び、首都圏とほぼ同水準になりました。首都圏の2018年上期の入居率は96.4%、逆算すると空室率は3.6%とかなり高い水準になっています。

この調査は日管協会員の積極的な管理会社、つまりしっかりと管理の行き届いた物件が中心であるという見方もでき、その結果、入居率も高い数値になったと思われます。メンテナンスや空室対策を怠ると、空室になってしまうことも肝に銘じておく必要があるでしょう。

空室率については、一部かなり高い数字が報じられることもありますが、空室の計算方法の違いやデータの見方の違いによって差が出てきます。空室率データの見方については、バックナンバー「空室率データの正しい見方」を参考にしてください。

■入居率の推移

日管協短観ではサブリースの入居率は上昇しているが、メンテナンスや空室対策を怠ると空室のリスクは高まる。

「家賃が上がっても欲しい設備」で競争力アップ

空室対策で考えたいのは、まずは設備面で競争力をアップすることです。新築の賃貸住宅を不動産ポータルサイトなどで検索してみると分かりますが、設備は分譲マンションに近いものを備えています。
不動産ポータルサイトで賃貸住宅を探すとき、設備は細かく検索条件として加えることができます。セキュリティひとつとっても、オートロック、管理人、TVモニター付きインターフォン、防犯カメラ、ホームセキュリティなどと条件を加えることができるのです。
言い換えると、設備ひとつで検索から漏れ、比較検討さえされないという状況なのです。
最近の設備は、オートロックのような大きな設備を除けば、意外と安価で手軽に設置できるものもありますので、ぜひ検討したいところです。

では、どんな設備がよいのか? リクルート住まいカンパニーの「賃貸契約者動向調査」の「家賃が上がっても欲しい設備と許容額」から、いくつかピックアップしてみます。
「家賃が上がってもよい」という割合の多い順にランキングされています。10位までピックアップしてみましたが、もちろん新築の物件はどれも完備している設備です。

割合が最も多かったのは「追い焚き機能付きの風呂」で70.2%。特に2人入居以上の部屋には必須となってきました。家賃上昇許容額が高かったのは「エアコン」の平均1,800円です。エアコン完備も、今は当たり前です。「追い焚き機能付きの風呂」や「浴室乾燥機」は、築年数が15年、20年と古い場合は思い切って取り替えると、見違えるようになります。特に水廻りは古さが目立つので、ぜひ検討したいところです。

セキュリティ設備も「TVモニター付きインターフォン」「ディンプルキー」が入っています。また「スマートキー(指紋認証、暗証番号入力、ICカード)」も49.8%と高く、家賃上昇許容額はエアコンの次に高い1,600円でした。これらの設備は、メーカーもいろいろあり簡単に設置できます。
この他「無料インターネット完備」「温水洗浄便座」「宅配ボックス」なども検索条件に加えられる設備です。

■家賃が上がっても欲しい設備と許容額

新築物件に負けない設備をいかに設置するか。意外と安価で簡単にできる設備もある。ニーズの高い設備からそろえたい。

リフォーム、リノベーションで家賃アップも

入居者の入れ替えの際には、最低限の室内クリーニング、クロスの張り替えは必要です。最近のクロスは種類も豊富で、壁の一面だけ別の色にするアクセントクロスなどが人気です。
そして、さらに競争力を上げるためにはリフォーム、リノベーションがあります。
リフォームとしては、和室から洋室にしたり、水廻りの設備を交換したりするケースがあります。特に水廻りは築20年くらいになると、設備の古さが目立ってきますので、内見時にどうしても見劣りしてしまいます。システムキッチンやお風呂のリフォーム、3点ユニットの場合はバス・トイレ別にするなどの検討が必要でしょう。
また、収納も豊富にあると喜ばれます。シューズクロークの設置やキッチンや洗濯機置き場に棚を設けるだけでも印象が変わります。最近人気の収納はウォークインクローゼットです。しかも2人入居を想定している場合は、ダブルのウォークインクローゼットに人気があります。和室を洋室にする際には、収納もダブル・ウォークインクローゼットにするのがおすすめです。

■豊富な収納設備とダブルクローゼット

リノベーションは、2DKを人気の1LDKに間取りを変更したり、設備も最新のものを導入したりする、大規模な改修です。築30年ほどの物件になると、ローン返済も終わり、場合によっては建て替えも視野に入れる方もいらっしゃると思いますが、リノベーションで室内は新築同様にすることも可能です。そうなると、競争力もアップし家賃のアップも期待できます。
建て替えた場合、リノベーションした場合、簡易なリフォームにとどめた場合の採算性をシミュレーションすることも大切です。

リフォーム、リノベーションは採算シミュレーションをした上で検討する。家賃アップの可能性もある。

空室対策としては一括借上げが最も有効

賃貸経営において、最も大きなリスクが空室です。だからといって、むやみに家賃を下げても長期の視点で見ると安定経営にはつながりません。入居者は、あくまでコストパフォーマンスで選択をします。「家賃が上がっても欲しい設備と許容額」のランキングを見ても、そのことが伺えるでしょう。まずは、設備投資で空室対策を考えたいものです。

もう一方で、根本的な空室対策として挙げられるのが「一括借上げ」です。空室が出ても、家賃滞納があっても一定の賃料収入が毎月あるというのは、特にこの時期、空室リスクに気をもむことなく、安心して賃貸経営ができます。

一括借上げの場合は、管理料として家賃の10%前後の費用がかかるものの、空室が2カ月、3カ月、場合によっては半年など長期化したことを考えると費用対効果は十分にありますし、一括借上げは管理・運営の一切を任せられるというのも大きなメリットです。24時間対応の管理業務からは解放されますので、管理費用でもあるのです。一般の管理委託でも家賃の3〜5%の費用はかかります。いずれにせよ、空室や滞納に関係なく、毎月一定の収入があるというのは、安定的な収支計画につながることになります。

また、一括借上げでも、一定期間の更新時で家賃の見直しがありますが、一括借上げでなくても、家賃の下落リスクは同様にあります。
一括借上げでは、一定期間賃料固定型のタイプもありますので、それが活用できれば、より安定した賃貸経営が可能となります。それでも、賃料固定期間後を見越して競争力アップのための対策は必要かもしれません。オーナーとして、常に競争力を維持するための対策については意識しておく必要があるでしょう。

一括借上げのメリット・デメリットについてはバックナンバー「一括借上げのメリット・デメリットを再確認!」を参考にしてください。

■管理会社の管理委託と一括借上げの違い

空室対策としては、一括借上げが最も有効。ただし、オーナーとして競争力維持の意識は必要不可欠。

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