全身性エリテマトーデスの自己管理 日常生活における注意

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療中、日常生活を快適に過ごすことは病気と上手に付き合うためにも大切なことです。日頃から自分でもできる生活上の工夫を見つけて、小さなことからでも実践していきましょう。

安静・運動

適度な運動は、ストレスの解消、肥満や生活習慣病、骨粗鬆症の予防にもなり、SLE患者さんの健康によい影響があります。運動量の目安としては、翌日に疲れが残らない程度がよいでしょう。無理をせず、運動の後は十分に休養しましょう。

光線過敏症がある患者さんは、屋外で運動する際は紫外線対策を行い、また、長時間紫外線を浴びることがないよう気を付けましょう。

骨粗鬆症を合併している患者さんは、骨折のリスクがあるため激しい運動を避け、日常生活でも転ばないように気を付けましょう。

退院後に動くときには、自分の身の周りの用事から始めて、少しずつ動く量を増やしましょう。適度な運動はリハビリにもなりますので、散歩などの軽い運動から始めるとよいでしょう。

食事や飲酒、禁煙

栄養価が高く、消化の良いバランスのとれた食事を心がけましょう。基本的に食べる食材に制限はありませんが、腎臓の働きが低下していたり、高血圧、糖尿病、脂質異常症などを合併している患者さんは、食事療法が必要な場合があります。主治医や栄養士などの指示に従いましょう。

ステロイドの副作用で食欲が増進して、つい食べ過ぎてしまうこともあります。肥満は、新たな合併症を引き起こしやすいため、摂取カロリーと体重管理にも気をつけましょう。

飲酒は完全に禁止されるものではありませんが、飲みすぎや飲酒時の過食には注意しましょう。

タバコは、ニコチンによる血管収縮作用や光毒性により病状を悪化させる可能性があります。喫煙は控えるようにしましょう。

紫外線対策

SLE患者さんが紫外線を長時間浴びると、病状が悪化したり再燃をきたすことがあります。とくに光線過敏症がある患者さんは、紫外線を避けることが重要です。外出する場合は、つばの広い帽子や日傘を使い、長袖や長ズボンを着用するなど、肌はなるべく露出しないようにしましょう。また、肌に合った日焼け止め化粧品を塗り、屋外で長時間にわたり紫外線を浴びることは避けましょう。屋内でも窓越しにそそぐ紫外線に注意しましょう。

冷え対策

寒冷刺激や精神的ストレスがあると、末端の血液の流れが悪くなり手足の指先が蒼白から紫色になります(レイノー現象)。常に保温を心がけましょう。レイノー現象は血流が良くなると自然に回復することが多いですが、無理をすると血行の悪化が原因で潰瘍や壊疽※1が起きることがあります。家事をするときなどは手袋や靴下で保護し、冷水はできるだけ避けるようにしましょう。

※1 壊疽(えそ):血行不良や感染症などにより体の組織の一部が死んで黒く変色したり腐敗をきたしている状態

自分の症状を記録しましょう

SLEの症状は、患者さんによって異なるだけでなく、同じ患者さんでも現れ方が変化することがあります。少しずつ変化している場合も、毎日記録して見直してみると、大きな変化があると気づく場合もあります。

病院からもらった日誌などを利用し、定期的に自分の症状を記録してみるとよいでしょう。症状の変化を記録していると、症状の悪化があった場合の誘因に気付くこともできるかもしれません。また、日誌は主治医が患者さんの状態を把握するための貴重な情報となります。いつもと違う症状が現れてきた場合は、主治医に具体的に伝えるようにしましょう。