全身性エリテマトーデス(SLE)の患者さんは、感染症にかかりやすく、また悪化しやすい状態にあります。感染症は命にかかわることもあるため、日頃から感染症に対する予防策を講じることが重要です。
健康な人ではあまり影響のない弱い病原体による感染症から、風邪やインフルエンザなどの一般的な感染症まで、あらゆる感染症にかかる可能性があります。結核やB型肝炎などの深刻な感染症については、細菌やウイルスを持っていないか検査が行われ、必要に応じて予防薬が処方されます。肺炎、帯状疱疹、膀胱炎などの感染症を繰り返し発症することもあります。
風邪やインフルエンザなどの一般的な感染症に対する予防法は、SLE患者さんにとっても有用です。インフルエンザの流行時はなるべく人混みを避け、外出から帰宅後はうがい、手洗いを忘れないようにしましょう。
インフルエンザ、肺炎球菌の予防接種を受けましょう。インフルエンザは流行が予測されるウイルスのタイプによって毎年ワクチンが変わるため、毎年接種を受けるようにしましょう。ただし、SLE患者さんは生ワクチンの接種はできないため注意しましょう(麻疹・風疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、結核のBCGワクチンなど)。
病状によっては予防接種を受けられない場合もあるので、前もって主治医に確認しておくとよいでしょう。
SLE患者さんは弱い病原体でも感染症を起こす可能性があるため、歯磨きをきちんと行い、口腔内の衛生を保つことも大切です。
ストレスや体の疲れは、病状悪化の引き金となるだけでなく、免疫力を弱らせることで、感染症にかかるきっかけとなることもあります。無理をせず、疲れを感じたら、十分な安静を心がけるようにしましょう。
発熱や咳など感染症の疑いがある症状が現れた場合は、すみやかに受診するようにしましょう。感染症が重症化しやすいため、ただの風邪だと思っても放置せず、医師の診察を受けるようにしましょう。