「家の構造にはどんな種類があるの?」
「住みやすい家にするためには、どの構造がいい?」
はじめての家づくりで、どの構造を選べばよいか悩む方は多いでしょう。家のつくりを決める際には、各構造のメリット・デメリットをきちんと理解しておくことが大切です。
本記事では、注文住宅の構造の種類や工法を解説します。それぞれのメリット・デメリットや選び方も紹介するため、家づくりがはじめての方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
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もくじ
家の構造には、全部で以下の6種類があります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを確認しましょう。
木造は、柱や梁などの住宅の主要部に木材を使った構造を指します。日本で古くから採用されている構造で、総務省統計局の調査によれば、2018年時点で全国の一戸建て住宅の92.5%が木造です。
総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 結果の概要」
木造は、他の構造と比べて建材が安価で軽いため、全体的に建築コストを抑えられるメリットがあります。通気性、調湿効果が高く、カビや結露が発生しにくいこともよい点です。
ただし、建材単体で見ると強度が低いため、柱や梁の数を増やすなど、強度を補う工事が必要です。結果として、間取りの制限が出たり、リフォームがしにくくなったりする可能性があります。
また、シロアリなどの害虫被害を受けやすいことから、定期的な点検が必須です。
軽量鉄骨造は、厚さ6mm未満の鉄骨で柱や梁を組み立てる構造です。2階建ての戸建て住宅や小規模のアパート・店舗で採用されています。
軽量鉄骨造は、建材を工場で大量生産するため、品質が安定しています。木造よりも耐震性や耐久性に優れている点もメリットです。
一方で、木造と比べて初期コストが高い傾向にあります。
鉄骨造の中でも、厚さ6mm以上の鉄骨を使った構造を、重量鉄骨造と呼びます。軽量鉄骨よりも強度があり、高層マンションや大規模建築物、3階建て以上の戸建て住宅に利用されることが一般的です。
しかし最近では、2階建てでもガレージや大空間のLDKを確保する際に、重量鉄骨を検討するケースが増えています。
耐震性・耐久性が高い反面、厚みが増すほど材料費や建築コストが高くなることに注意が必要です。
鉄筋コンクリート造は、鉄筋で組んだ型枠にコンクリートを充填した建材を使用した構造です。引張力に強い鉄筋と、耐火性や圧縮に対する抵抗性が高いコンクリートにより、両方の弱点を補うことで高い耐久性を実現します。
耐震性に加え、耐久性や気密性に優れており、柱を減らしたり梁を長くとったりなど、間取りの自由度が高い点が特徴です。
ただし、気密性が高く、結露やカビが発生しやすいデメリットがあります。重量が大きく、地盤を強化する工事が必要なため、建築コストが高く、工期も長引く可能性があるでしょう。
アルミ造は、柱や梁、筋交いなどにアルミニウムを使った構造で、主にデザイナーズハウスで採用されています。軽量で加工しやすく、工期の短縮が可能です。
また、アルミがリサイクルできる素材であることから、環境に優しい建築としても注目されています。耐腐食性・防錆性に長けており、シロアリ被害の心配が無いこともメリットです。
断熱性には劣るため、建材を断熱材で包んだり、2重構造にしたりなどの工夫をする必要があります。建材コストは鉄筋コンクリート造と同等です。
コンクリートブロック造とは、コンクリートで形成したブロックを積み上げた構造のことです。昭和初期に普及した構造で、コンクリートならではの風合いをいかしたデザイン性の高い住宅を建築できます。
鉄筋コンクリート造同様に、耐久性や耐震性の面で優れるものの、結露やカビの発生に注意が必要です。使う鉄筋自体が少ないため、鉄筋コンクリート造よりは低コストで建築できるしょう。
コンクリートブロックを使った建築には、さまざまな規制が設けられているため、改築が困難である点にも注意してください。
家の代表的な工法は、以下の5つです。
それぞれの詳細、特徴を確認しましょう。
木造軸組工法とは、木材の柱と梁、斜めの筋交いを軸として、現場で一から建材を組む工法です。在来工法とも称される日本伝統の工法で、現在でも多くの木造住宅に採用されています。
木造軸組工法では、縦横の軸と斜めの軸で、地震や風などの横からの力に対する抵抗力を確保します。設計や間取りの自由度が高いため、狭小地や変形した土地での建築に向いているでしょう。
ただし、柱と筋交いは、一度組むと変更が難しいため、リフォームできる範囲に制限があります。また、現場で職人が組み立てるため、仕上がりが職人の力量に左右されやすいこともデメリットです。
鉄骨で軸を組む場合は、鉄骨軸組工法またはブレース工法と呼びます。
2×4工法は、北米由来の工法で、2インチ(38mm)×4インチ(89mm)の規格化された木材を使用することが特徴です。柱や梁、筋交いに代わり、壁や床、天井などで力を分散させて建物を支えることから、木造壁式工法とも呼称します。
木材や釘の寸法が統一されているため、職人の力量に左右されず、短い工期で高品質の建築が可能です。木造軸組工法よりも横からの力に強く、耐震性、耐火性、気密性、断熱性に優れています。
一方、ベースが長方形型であるため、開口部を広くとることが難しく、間取りの自由度は木造軸組工法と比べて低いといえるでしょう。
2インチ(38mm)×6(140mm)インチの木材を使った、2×6(ツーバイシックス)と呼ばれる工法も存在します。
ラーメン構造とは、柱と梁の結合部を溶接して、剛接合する工法です。主に、鉄骨造や鉄筋コンクリート造、アルミ造で検討されています。
ラーメン構造であれば、結合部が完全に固定されるため、高い強度と耐震性を確保できます。基本的に柱と梁のみで躯体が形成されるため、デザイン・間取りの自由度が高いことも特徴です。
比較的設計が簡単で加工もしやすいことから、工期を短縮化したい場合に適した方法といえるでしょう。
ラーメン構造を木造建築に取り入れたものを、「木造ラーメン工法」または「SE工法」といいます。
プレハブ工法とは、工場で加工済みの壁や床、天井、屋根などのパネル部材を現場で組み合わせる工法のことです。釘やボルトで固定するだけで住宅が完成するため、品質が安定している他、工期の短縮化、建築コストの削減が期待できます。
プレハブ工法は、使用する建材によって以下の種類にわかれます。
工法の種類 | 特徴 |
---|---|
木質系プレハブ工法 | ・建材に木材を使用 |
・加工時点で木材パネルに断熱材を入れたり、防腐やシロアリ防止処理を施したりできるため、合理的かつ短期間での建築が可能 | |
鉄骨系プレハブ工法 | ・建材に軽量鉄骨を使用するケースが多い |
・加工時点でほとんどの溶接を行うため、工期を短縮できる | |
・工場で防錆処理ができるため、鉄骨のデメリットが補える | |
コンクリート系プレハブ工法 | ・建材に鉄筋コンクリートを使用 |
・現場でコンクリートを流し込む必要が無いため、工期の短縮化や安定した品質の確保、建築コストの削減が可能 | |
・コンクリートが重いため、地盤の弱い土地では補強工事が必要 | |
・他の2つと比べて間取り・デザインに制限がある |
プレハブ工法では、パネルを搬入するための道路や経路を確保する必要があることから、狭小地や路地が狭い場所には向きません。とくに鉄筋コンクリートは、材質上建築の自由が制限され、プレハブ工法にすることでデメリットが大きくなる点に注意しましょう。
工場で事前に柱や梁、壁などを組んだ箱型のユニットをつくり、現場で合わせることをユニット工法と呼びます。家づくりの大半の工程が工場で完結するため、大幅な工期の短縮、コストの削減が可能です。
また、キッチンや電気配線、配管などの設置も加工時点で済むため、製品や部材のばらつきが少なく、品質が安定しています。
ただし、ユニットを運び入れるための広い道路やクレーンが入れるだけの敷地が必要なため、狭小地や旗竿地には不向きです。
家の構造・工法を選ぶ際のポイントは、以下の3つです。
それぞれの詳細、特徴を確認しましょう。
理想の家づくりを叶えるには、希望する間取りやデザインを実現できる構造・工法を選ぶことが重要なポイントです。ぞれぞれの構造・工法で、できる間取り・デザインが限られるため、設計の柔軟性、カスタマイズのしやすさに注目してみてください。
たとえば、間取り・デザインにこだわるなら、鉄骨造や鉄筋コンクリート造、軸組工法、ラーメン構造が向いているでしょう。他の家には無い、独特なデザインを創出できる点では、アルミ造やコンクリートブロック造が人気を集めています。
家の構造・工法を選ぶ際は、敷地や地盤との相性も考慮しましょう。
家を建てる際は、建材や部材の運び入れに広い道路や土地が必要になることもあるため、敷地との相性は非常に重要です。狭小地や旗竿地、特殊な地形の敷地であれば、木造軸組工法や2×4工法、ラーメン構造が適しているでしょう。
運搬車両やクレーンが入るために十分な敷地と搬入路が確保できる場合は、プレハブ工法、ユニット工法でも問題ありません。
鉄筋コンクリート造やコンクリートブロック造では、コンクリートの重さに耐えられる、十分な強さの地盤が必要になります。場合によっては地盤補強の工事を行うことも視野に入れて、工法を検討しましょう。
改築やリフォームをする可能性を考慮して、構造・工法を検討することも大切です。建築後、老後も生活する場合や二世帯住宅にする予定がある場合は、間取りやデザインを変更しやすい構造・工法を選びましょう。
改築やリフォーム向けの構造・工法としては、木造、鉄骨造、軸組工法、ラーメン構造が挙げられます。コンクリートブロック造は、建築基準法でさまざまな規制が設けられているため、改築やリフォームには向きません。
なかでもおすすめは、鉄骨造です。鉄骨なら躯体が丈夫であるため、劣化しにくく、将来的に改築やリフォームをする場合も安心でしょう。
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今回解説した家の構造は、以下の6種類です。
構造の種類 | 特徴 |
---|---|
木造(W造) | 柱や梁などの建物の主要部に木材を使った構造 |
軽量鉄骨造(S造) | 厚さ6mm未満の鉄骨で柱や梁を組み立てる構造 |
重量鉄骨造(S造) | 厚さ6mm以上の鉄骨で柱や梁を組み立てる構造 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 鉄筋とコンクリートを合わせた建材を使用した構造 |
アルミ造(AL造) | 柱や梁、筋交いなどにアルミニウムを使った構造 |
コンクリートブロック造(CB造) | コンクリートのブロックを積み上げる構造 |
理想の家づくりを叶えるには、それぞれの構造のメリット・デメリットを理解して選ぶことが大切です。
また、家づくりにおいては、家の構造だけでなく、工法も慎重に選ぶ必要があります。希望の間取りや土地状況によって適した構造・工法は異なるため、設計の柔軟性にも注目して、最適な組み合わせを検討しましょう。
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専門家コメント
2×4工法と2×6工法は、必要な強度、耐震性に応じて使い分けがされています。2×6工法のほうが2×4工法よりも木材に厚みがあるため、より強固な地盤対策が必要な土地向きです。また、断熱性が高く、室内の冷暖房効率が上がることから、ZEH(ゼッチ)住宅などの省エネ住宅に採用されています。