最高性能の断熱材「ネオマゼウス」の開発について
旭化成建材株式会社
旭化成建材株式会社(本社:東京都千代田区、社長:堺 正光)は、従来販売してきた断熱材「ネオマフォーム」の断熱性能をさらに高めた製品の開発にこのたび成功し、製品名「ネオマゼウス」として、建築法規上の認定等を整備の後、2018年1月を目処に販売を開始することに決定しましたのでお知らせいたします。
1.経緯
当社は、2000年10月に業界初となるノンフロンによる断熱材「ネオマフォーム」を上市しました。「ネオマフォーム」は、フェノール樹脂を主原料とする発泡プラスチック系断熱材です。その特長は、1)断熱性能の良さを表す熱伝導率※1の値が、λ(ラムダ)=0.020W/(m・K)という最高レベルで、2)断熱性能を長期にわたって維持でき、3)フェノール樹脂の熱硬化性を活かし優れた耐燃焼性を備えるというもので、戸建住宅や一般建築、産業用途などさまざまな分野で幅広く採用されてきました。
世の中の建築物の断熱性能向上に伴い、省エネルギー性能への関心はZEH(ゼロエネルギーハウス)などの普及とともに日々高まっています。加えて、断熱化による温熱環境の向上はヒートショックの抑止効果のみならず、さまざまな疾病の改善効果も認められ、居住者の健康にも大きく寄与するということが分かってまいりました。
また、政策による省エネルギー基準義務化も、2017年4月より2,000m2以上の非住宅の建築物がまず対象となり、2020年には全ての新築建築物に適用される計画で、高断熱化への要求はさまざまな方面においてますます高まってくるものと予想されます。
そのような背景のもと、当社としては、より高性能な断熱材の開発への取り組みを進め、「ネオマゼウス」の開発に成功いたしました。
2.製品の特長
「ネオマゼウス」は、従来の「ネオマフォーム」と同様、フェノール樹脂を発泡させた発泡プラスチック系断熱材で、その「ネオマフォーム」の特長を活かしつつ断熱性および環境性能を向上させた製品です。
1)断熱性能
○熱伝導率(断熱性能を表す値) λ=0.018W/(m・K)
- 「ネオマフォーム」の熱伝導率(λ=0.020W/(m・K))を1割向上させた製品です。
- 熱伝導率λ=0.018W/(m・K)という値は、JIS A 9521:2014(建築用断熱材)の中で最高の性能値となり、今後「ネオマゼウス」は、このJIS A 9521の「フェノールフォーム断熱材1種2号EⅡ」を取得する予定です。
2)環境性能
「ネオマゼウス」は、従来の「ネオマフォーム」で使用している炭化水素系ガスに、地球温暖化係数の値がより小さいHFO(ハイドロフルオロオレフィン)※2を加えることで、発泡ガスの環境性能を向上させた製品です。
当社で販売している断熱材「ネオマフォーム」「ジュピー」と主な特性を比較すると以下のようになります。
「ネオマゼウス」 | 「ネオマフォーム」 | 「ジュピー」 | |
密度(kg/m3) | 30 | 27 | 24 |
熱伝導率(W/(m・K)) | 0.018 | 0.020 | 0.020 |
発泡ガス | HFO、炭化水素(混合) | 炭化水素 | 炭化水素 |
主な用途 | 屋根、壁 | 屋根、壁 | 床充填専用 |
<製品イメージ>
3.開発の特長
当社では、長年にわたる発泡プラスチック系断熱材の性能向上についての研究の結果、断熱性能の向上には、1)気泡構造を最適化し、2)気泡内の発泡ガスの断熱性能をより良いものにすることが効果的であるとの結論に至り、開発を進めてまいりました。
今回の「ネオマゼウス」の開発は、発泡ガスとして断熱性能の優れたHFOを加えた上、樹脂合成を自社で行う独自の製造プロセスによって発泡の最適化を図ることで成功しました。
4.開発の目的
2020年に予定される省エネルギー基準の義務化をうけ、すでにHEAT20※3などの団体から、ZEHの水準を上回る、より高性能な温熱性能グレードが提示されています。「ネオマゼウス」は、それらの高性能グレードを断熱材の厚みを大幅に増すことなく容易に実現したいというニーズに対応すべく開発された製品です。
5.今後の展開
「ネオマゼウス」の開発を機に、当社の断熱材事業のブランド戦略のリニューアルを図ります。高性能断熱材「」ブランドを当社の断熱材製品の総称ブランドとし、「ネオマゼウス」、「ネオマフォーム」および「ネオマジュピー」(「ジュピー」から改称)の3つの製品ブランド間で統一した新ロゴデザイン(下記参照)を2017年度から採用してまいります。