1956年竣工・築61年、日本での民間分譲マンション第1号
「四谷コーポラス」建替えについて
~民間分譲マンションとして初めての管理運営や割賦販売の歴史も~
~区分所有者の9割が再建マンションを再取得予定~

2017年5月30日
旭化成ホームズ株式会社
旭化成不動産レジデンス株式会社

 日本初の民間分譲マンションとされる「四谷コーポラス(新宿区)」では、管理組合による建替え決議が本年3月25日に成立、5月に全員合意となり、9月に解体工事に着手することとなりましたのでお知らせします。旭化成不動産レジデンス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:池谷 義明)は事業協力者として参画し、2019年(平成31年)の再建マンション完成を目指します。

 「四谷コーポラス」は、1956年(昭和31年)竣工の築61年を迎える集合住宅で、「日本で初めて民間企業が販売した分譲マンション」とされる建物です。1962年の区分所有法施行以前の建物で、所有形態の位置づけや共用部の管理責任などが明確ではなかった時代に初めて民間企業による運営管理がなされ、また、住宅ローンが現在のように一般的でない中で割賦販売が導入されるなど、その後広く行われているマンション販売の先駆けとなった建物です。

 当該建物の再生計画については、長きにわたるしっかりとした管理組合活動のもと、建替え・大規模修繕等の検討会が2006年にスタートしました。その後東日本大震災をきっかけに耐震性能への不安が顕著化し、建物の高経年化に伴う給排水管の老朽化などの理由から建替えを中心に検討することとなり、決議が成立しました。

 今回の建替えの特徴は、敷地規模の限られた小規模マンションの建替えであり、床面積が大きく増えるケースでないにも関わらず、至便な立地の暮らし勝手の良さや住まいへの愛着から、区分所有者の大半が再建後のマンションを再取得することを前提に計画されることです。そのため、従後の建物計画では、住宅メーカーが創るマンションという強みを活かし、再取得住戸については権利者それぞれの想いや要望に丁寧に応えるオーダーメイドの住戸プランニングを予定しています。

 今回の事業では、日本のマンションの黎明期の記念碑的な建物の建替えに携わることとなりますが、「四谷コーポラス」の歴史や思い出を活かしたマンションを再建することで、所有者・居住者の皆さんに再び長く愛されるものとなるよう努めてまいります。

日本初の民間分譲マンションとされる「四谷コーポラス」(1956年竣工)
日本初の民間分譲マンションとされる「四谷コーポラス」(1956年竣工)

Ⅰ.集合住宅の歴史:「四谷コーポラス」の位置づけ

 日本の集合住宅は、関東大震災後の復興のために世界から寄せられた義援金をもとに設立された財団法人「同潤会」が大正末期から昭和初期にかけ東京・横浜各所に建設した賃貸集合住宅「同潤会アパート」に始まります。

 一方、戦後に建設され現在の分譲マンションの先駆けとなった建物が、「宮益坂ビルディング」や「四谷コーポラス」です。東京都が販売した「宮益坂ビルディング」が渋谷駅前という立地で下層階に店舗などが入る商業ビルとしての要素も備えるマンションで、かつ販売は現金一括払いだったのに対し、「四谷コーポラス」は初めて民間企業がファミリー向けに割賦販売したマンションとされます。割賦販売が民間分譲マンションに適用されたのはこれが初めての事例とされ、高額なマンションが庶民に普及するきっかけになったと考えられます。その後、1962年に区分所有法が施行され、資産としての位置づけが明確となったことで担保対象として銀行の融資も受けられるようになるなど、第一次マンションブームに繋がっていきました。

■日本のマンション黎明期(当社調べ)

日本のマンション黎明期(当社調べ)

Ⅱ.初の民間分譲マンション「四谷コーポラス」建物概要

1)建物の特徴

 現在再開発が盛んに行われている四谷駅徒歩5分に位置し、外堀公園を見下ろす鉄筋コンクリート5階建て28戸のマンションです。当時珍しかった1つの住戸が上・下階に渡って配置される「メゾネットタイプ」の間取りが取り入れられ、1階から入って1・2階を使う住戸や、4階から入って3・4階を使う住戸などがあり、結果的に2階・3階には玄関が無いことが特徴です。そうすることで、間口が狭く南北に長い敷地でありながら、共有部をコンパクトにし住戸内に豊かな空間を創出するなどの工夫がされています。

敷地南の庭からの外観
敷地南の庭からの外観
管理人室
管理人室

2)住戸・くらしの特徴

 A型と名付けて販売された「メゾネット」の住戸は、上階をメインルームとして和室が3室(6畳・4.5畳・4.5畳)と浴室・トイレ、下階をサブルームとして玄関とLDKが配置される間取りです。設備・仕様には、フローリング敷きやまだ珍しかった浴室が各戸に設置され、また、管理人による洗濯クリーニングの取り次ぎなど、現在のサービス付きアパートメントのようなサービスの提供が民間によって初めて試みられました。このメゾネットタイプの住戸で販売価格は1戸233万円とされていますが、大卒の初任給が1万円程度だった当時では、時代の最先端をいく高級住宅でした。

共用部廊下
共用部廊下
メゾネットタイプの間取り(当時の販売パンフレットより)
メゾネットタイプの間取り(当時の販売パンフレットより)

Ⅲ.共用部廊下

 「四谷コーポラス」は、分譲当時の購入者が長く所有し、その後転売することなく相続されてきたケースが半数以上あり、昔から繋がる住民同士の関係も健在で活発な管理組合活動が維持されてきたため、比較的短期間での建替え決議が可能となりました。立地が良くゆったりとした住戸(メゾネットタイプは70m2以上)は時代を経ても暮らし勝手がよかったと想像され、これからもこの四ツ谷の地に住み続けたいと希望される方が多く、区分所有者の9割が再建後のマンションを再取得予定であることも特徴です。再建後の分譲マンションは、それぞれの家族の想いや要望に応えるオーダーメイド設計を採用し、これからも長く住み続けたいと思っていただける住まいを計画していく予定です。

建替え事業手法
等価交換方式
建替え決議等
区分所有法第62条に基づく建替え決議
建替え経緯と今後の予定
2006年~
検討スタート
2016年11月
事業協力者に旭化成不動産レジデンスを選定
2017年3月25日
建替え決議が成立
2017年5月
全員合意が成立
2017年9月
解体工事着手(予定)
2019年7月
竣工(予定)
モデルプラン

<今後の情報公開とお願い>

  1. 8月末まで住民の皆さんがお住まいです。
    現地の撮影や敷地内の立ち入りなどはご遠慮くださいますよう、よろしくお願いいたします。
  2. 9月の解体前に、マスコミ向けの建替え事業説明会・現地撮影会を予定しています。
    マスコミ各社には、別途改めてご案内申し上げます。
  3. 建築研究のため、一般の方向けの現地公開も検討しています。
    詳しくはお問い合わせください。
お問い合わせ先
以上