血糖コントロール指標グリコアルブミン測定試薬の米国食品医薬品局(FDA)認可取得について

2017年10月20日
旭化成ファーマ株式会社

 旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:柴田 豊)は、グリコアルブミン1)測定試薬(以下「GA-L」)の米国向け仕様製品「Lucica Glycated Albumin-L」(日本向け仕様製品販売名:「ルシカ GA-L」)について、本年10月12日付で米国食品医薬品局(以下「FDA」)の認可(510(k)クリアランス2))を取得しましたのでお知らせします。

 当社は糖尿病の血糖コントロールに有用なマーカーとしてグリコアルブミンに着目し、当社オリジナルの酵素を用いて自動分析装置用測定試薬として開発し、各国への展開を進めてきました。「GA-L」は日本では2002年、中国では2005年に承認を取得し、その後、韓国(2013年)、インドネシア(2013年)、台湾(2015年)、欧州(2015年)で販売パートナーが承認を取得しております。米国においては、本年1月に申請を行いこのたびの認可取得となりました。

 近年、米国でも糖尿病は増え続けており、心疾患、がん、認知症の発症リスクを高めることが確認されています。米疾病対策予防センター(CDC)は、2015年時点で、米国の人口の9%(3,030万人)が糖尿病で、18歳以上の34%(8,410万人)が糖尿病予備群と報じており、その対策は急務です。

 糖尿病の治療においては、血糖値をより正常に近づけることが重要であり、糖尿病の血糖コントロール指標としてはヘモグロビンA1cやグリコアルブミン、1,5AGなど、いくつかの種類があります。現在は過去2-3ヶ月の血糖コントロール状態を反映するヘモグロビンA1cが最も多く使用されています。一方、グリコアルブミンは、ヘモグロビンA1cよりも短期間の過去2-3週間の血糖コントロール状態を反映する中期の血糖コントロール指標であり、特に糖尿病の治療開始時および治療変更時の短期的な治療効果の確認に有用とされています。また、ヘモグロビンA1cが血糖コントロール指標になりにくい妊婦や透析患者にもグリコアルブミンは有用とみられており、「GA-L」においても臨床的有用性に関するさまざまな報告※)があります。

 当社は今回のFDA認可取得を契機に米国での販売を開始するとともに、日本・中国を含むアジアおよび欧州において「GA-L」の展開を加速し、糖尿病の治療に寄与することによって、世界の人々の“いのち”と“くらし”に貢献してまいります。

※)臨床的有用性に関する報告

  1. グリコアルブミン値の上昇が次の障害の進展と関連があると報告されています。
    • 細小血管障害(網膜症、腎症)
    • 大血管障害(動脈硬化、心疾患等)
    • 糖尿病発症
    • 妊婦の母子合併症
  2. 透析患者でも正確な血糖コントロール状態を把握することができると報告されています。

<製品概要(510(k)サマリーより)>

製品名
「Lucica Glycated Albumin-L」
使用用途(Intended Use)
ヒトの血清中のグリコアルブミンを測定するものであり、グリコアルブミンの測定は、過去2-3週間の血糖コントロールをモニタリングする中期の血糖コントロール指標として有用である。

<用語解説>

  1. 1)グリコアルブミン

    アルブミンに糖が結合した物質をグリコアルブミンといいます。血糖値が低い状態が続けば低下し、高い状況が続けば上昇します。

  2. 2)510(k)クリアランス

    米国FDAはリスクの程度に応じて、医療機器・体外診断用医薬品をクラスⅠ~Ⅲに分類しています。そのクラスⅡおよび数種のクラスⅠに分類される製品を米国において販売するためには、510(k)として知られる市販前届をFDAに申請し、そのクリアランス(認可)を取得する必要があります。

以上