基本的な考え方
私たちは、お客様に安全・安心で高品質な住まいをお届けするため、製品開発の場や工場、施工現場だけでなく、サプライチェーン全体においても品質管理に努めています。また、入居後の安全・安心が長く続くよう、アフターサービスの強化に努めており、さらなる品質向上を目指して取り組みを行っています。
品質と企業風土
旭化成ホームズでは、お客様に満足していただける安全・安心な製品・サービスを提供することが社会的な使命であると考え、「品質方針」を定めて品質の確保と向上に取り組んでいます。旭化成ホームズが考える「品質」とは、建物の出来栄えだけではなく、接客マナーや約束の確実な履行、コンプライアンス、ご要望を叶える設計内容、安全で確実な施工、万全のアフターサービスなどのすべてが含まれています。
2024年11月に開催された第65回「品質月間※」では、「原点回帰!品質と信頼で築く豊かな社会」をテーマに、社長メッセージの発信と各部門の品質目標設定を通じて、品質意識の向上と、品質管理の取り組みを広めることを目指しました。これからも、良い品質の商品・サービスをすべてのお客様にお届けし続けることで、人びとに必要とされ、感謝され、愛され続ける企業を目指していきます。
※2024年11月は品質月間委員会、日本科学技術連盟、日本規格協会、日本商工会議所主催
製品・技術開発における品質管理
高品質な製品を安定して提供するための商品・技術開発においては、建築基準法、品確法などの関連法令への適合に加え、設計、部材製造、現場施工などそれぞれの段階で品質管理がしやすいこと(運用しやすいこと)が重要となります。また、「ロングライフ住宅の実現」に向けて、製品自体の耐久性が高いことだけでなく、部品交換など維持管理がしやすいことも必要です。
私たちは商品開発のプロセスにおいてISO9001(品質マネジメントシステム:QMS)を取得し、その規格に従って、設計、購買、施工、アフターサービスなど各部署とレビューを行い、商品・技術開発を進めています。今後もISO規格を軸とし、認定・認証の運用を含めたコンプライアンス確保だけでなく、お客様、社員、メーカー、工事店など全員が幸せになれる、全体最適の商品開発に取り組みます。
工場における品質管理
旭化成住工は2024年度に新たに立ち上げた基礎鉄筋の出荷工程において、目視と手作業による数量検査を行ってきました。しかし、これらの方法では人為的な誤カウントや検査結果のバラつきなどの問題が生じるため、現在、画像解析+AIを活用した数量検査の自動化について、導入課題も含め検討を進めています。自動化を実現できれば、自動的に数量判定・記録ができ、人為的な誤カウントの排除、検査時間の短縮につながります。今後は、数量検査における自動化の導入課題を解消するとともに、画像解析を工程の異常検出、測定検査の自動化などにも活用することで、品質向上および業務の効率化の取り組みを進めていきます。

購買先の品質管理
旭化成ホームズの生産技術室では、HEBEL HAUSに供給される部材の品質向上活動を購買先であるメーカーと協働で行っています。年度ごとに目標と活動計画を立て、生産現場の確認と進捗状況の把握、工場監査による確認指導を行っています。2022年度より継続している「確信の品質(自分たちが確信できる品質で現場に製品をお届けする)」活動により、2024年度は総不適合数を対前年で38%削減できました(2022年度比で約半減)。また、2024年度も円安や地政学的リスクの高まり、異常気象など、社会環境が大きく変化し、部材調達と製造体制の安定化が課題となりました。代替メーカーの検討や部材の汎用化などBCP対応に取り組むとともに、将来の体制維持のために自動化技術検討など、品質と生産性を高めることを前提に技術力の蓄積を進めました。今後も品質管理業務の精度を高めつつ、生産技術開発領域にも積極的にチャレンジし、生産技術室が一丸となって安定供給と品質確保に努めていきます。

旭化成ホームズ建設技術教育センター
旭化成ホームズ建設技術教育センター(茨城県つくば市)は、建設技能者の継続的な確保と育成を目的に2021年3月に開設した研修施設です。木工事や設備工事の技能実習ができる6棟のヘーベルハウスの実棟、基礎配筋や鉄骨建方などの施工研修ができる4棟分のスペースを配置した実習ゾーン、約100名が座学で学べる研修室を備えた、知識と実技双方の教育を行える施設です。施工管理を行う工事担当者向けの年次研修や、品質検査のスキルアップを目的とした社員研修、グループ内施工関連会社の研修をはじめ、プレハブ建築内装工事の認定職業訓練を実施しています。これにより、旭化成ホームズグループの社員だけでなく、協力会社も含めた人財育成を支援しています。2022年度より外国人労働者への教育もスタートし、今年度はベトナムからの新たな人財に対する初期技能教育や職長教育を実施しました。こうした取り組みを通じて、2024年度には延べ4,285名が本施設を活用しました。
また、施設内のスタジオから全国へ向けてオンライン講習を実施しており、2024年度には職長関連教育や特別教育などの安全衛生講習を1,449名の方が受講しました。これからも高品質な住まいを提供するために建設技能者の育成に注力していきます。




施工現場での品質管理:LLQCS
へーベルハウス・ヘーベルメゾンの施工品質管理は、ロングライフ住宅品質管理規定であるLLQCS(Long Life Quality Control System)に従って各エリアすべての施工現場で実施されています。
LLQCSでは現場の品質管理に携わる全ての人の役割と職務を明確にし、検査工程ごとに必要な検査員の資格や、品質管理の具体的な方法を定めています。各邸における検査は、ロングライフ住宅の品質を担保する観点で工程ごとに定められたチェックシートを基に実施されます。また、邸毎の検査のみでなく、重要構造部である基礎や躯体について、本社による定期的な現場監査や各事業本部での合同監査を通じて、検査員や施工者の技量維持と品質向上を組織的に行っています。厳格な品質管理規定を実行することで、安全・安心・快適にお住まいいただけるヘーベルハウス・ヘーベルメゾンをお客様にお届けしています。

活動成果発表会
施工本部とオーナーサービス推進本部では、合同で半期に一度「活動成果発表会」を開催し、技術革新の成果を含め、密な情報交換を行っています。この発表会は、技術者による改善活動を活性化させるとともに、社員エンゲージメントを向上させることを目的としており、全体発表とポスター展示発表の2部構成で行っています。また、優れた活動は全国標準化を視野に入れた展開が進められており、工業化住宅における施工技術や現場改善活動を通じて生まれた新技術の知的財産化も積極的に推進しています。これらの取り組みを通じて、高品質で安全性の高いヘーベルハウス・へーベルメゾンの提供を実現し、顧客満足度の向上にも貢献しています。

