基本的な考え方
変化する社会のなかで健全な事業運営を継続するためには、企業全体でのコンプライアンスの徹底が重要です。旭化成グループでは、リスク管理と「リスクコンプライアンス委員会」を始めとした推進体制などの基本的な事項や有事における初動や緊急事態体制などを「グループ リスク管理・コンプライアンス基本規程」で定めています。旭化成ホームズグループでは、グループ行動規範や内部通報制度、リスクコンプライアンス委員会の設置により把握したリスクの周知・浸透を継続的に行い、事業運営の基盤強化に努めています。
旭化成グループ行動規範
旭化成グループは、2022年4月に開始した「中期経営計画2024~Be a Trailblazer~」において、グループ全体で取り組むテーマの一つに「リスクマネジメント・責任ある事業活動」を掲げています。リスク管理と安全操業に共通するのはコンプライアンスの徹底です。
「旭化成グループ行動規範」は、社員一人ひとりが旭化成グループの一員として正しく判断・行動できるように制定しています。これは、コンプライアンスを踏まえて事業を遂行するための判断基準を具体的に示したもので、社員にとっては日々の基本行動の拠り所となります。行動規範の徹底のために、対話型コンプライアンス研修の実施やeラーニングの活用など全社員への定期的な教育や実践的な活動を継続しています。2023年度には、「旭化成グループ行動規範」内のトップメッセージの更新と併せてコンプライアンスホットラインの情報を充実させる改訂を行いました。社会の要請、情勢の変化などを踏まえ、その有効性を保てるように、継続的な行動規範の見直しにより、社員全員の「誠実な行動」を徹底します。
旭化成グループ行動規範の概要
1. “いのち”と“くらし”に貢献するために安全・環境・高品質を確保する
2. 私たちを取り巻く様々な関係者の皆さまとの“誠実”な関係を維持する
3. 経営資源を適正・有効に活用する
旭化成ホームズグループのリスクマネジメント体制
旭化成ホームズのリスク・コンプライアンス担当責任者/管理者(役員)は、社長の指示のもとリスクマネジメント全体を把握し、各部門におけるリスク対応について各部門長に指示・支援を行います。また、同役員のもとに統括部場を設置し、社内各部門の活動をモニタリングし、具体的なリスク対策を支援します。そして、経営会議で、リスクマネジメントに関する重要事項の審議や重要リスクのモニタリングを実施しています。
コンプライアンスに対するリテラシーの向上および適切な管理に対する取り組み
旭化成ホームズでは、「コンプライアンス推進会議」を担当役員指導のもとで月1回開催しています。旭化成ホームズグループの事業に関わる法令等を把握したうえで、速やかにコンプライアンス上必要となる対応を決定することで、コンプライアンスを徹底しています。また、従業員のリテラシー向上の目的で、毎年「対話型コンプライアンス研修」「eラーニング」をそれぞれ実施しています。「対話型コンプライアンス研修」では、日常業務で起こり得るさまざまなコンプライアンス問題について、社内で作成した事例と解説を使用して、各部署単位で意見交換を行うことで理解を深めています。2023年度は、「ハラスメント」「贈収賄の防止」等をテーマに3回にわたり開催しました。当研修は、旭化成ホームズグループの国内全部署(一部の海外子会社を含む)で行っており、実施率はほぼ100%でした。「eラーニング」では、「個人情報関連」「品質コンプライアンス」に関する知識を学ぶカリキュラムを開講し、2023年度の「品質コンプライアンス」の受講率は97.5%と高い数値でした。
内部通報制度(コンプライアンスホットライン)
旭化成グループは、社内におけるコンプライアンスに抵触する可能性のある状況を早期に把握し対策を講じることで、重大なコンプライアンス違反の発生を回避するために、「コンプライアンスホットライン」という内部通報制度を運用しています。当制度は、海外の関係会社を含む旭化成グループで働くすべての人が利用可能で、グループ内窓口への通報はメール、電話、書面等が選択でき、実名・匿名いずれでも受け付け可能です。通報者のプライバシーは厳守し、通報したことによる不利益を受けることがないよう徹底しています。また、グループ外窓口として、弁護士事務所への通報も可能としています。通報された内容については、担当役員が指名した事務局および調査・対応チームが調査を行います。調査・対応の結果、違法行為等が認められた場合、違法行為等を直ちに中止するように命ずる他、重大な違反やそのリスクが今後も考えられる可能性があるものなどは、リスクコンプライアンス委員会において詳細を共有し、類似事項が発生しないような活動につなげていきます。
また、より相談しやすい環境づくりのため、コンプライアンスホットラインに加え、旭化成ホームズの各グループ会社が独自に運営する相談窓口も設けています。2023年度のコンプライアンスホットラインおよび各グループ会社の相談窓口への通報件数は、合計で94件でした。各通報には適切な対応を行い、結果として事業遂行に影響を及ぼす重大な案件はありませんでした。
化審法・安衛法・毒劇法への対応
旭化成ホームズでは、半期ごとに開催する「化学物質確認会議」を通じて化審法・安衛法・毒劇法の改正情報を共有するなど、商品開発や体制整備、マニュアル制定時の化学物質安全評価に漏れがないよう努めています。2023年度は厚生労働省による労働安全衛生法の改正により、化学物質の管理が強化されました。旭化成ホームズはパートナー企業とともに、新規に定められた「化学物質管理者」「保護具着用管理責任者」の施工現場への配置を確実に行うとともに、建設業に関連する法改正内容を関係者に確実に伝えるため、管理職の教育や新規入場者教育も徹底して行っています。
啓発活動(環境安全・品質保証大会)
旭化成グループでは、環境安全・品質保全に関する啓発活動として「環境安全・品質保証大会」を年1回開催しており、旭化成ホームズも毎年参加しています。2023年度は、12月8日に延岡の野口遵記念館にて開催されました。今回のテーマは化学プラントにおける安全マネジメントなどが主でした。住宅事業とは異なる分野ですが、さまざまな事業分野の事例発表や専門家による講話などから、住宅事業でも生かせる環境・安全・品質に関する管理業務改善のヒントを多く得られました。自社工場を所有する旭化成ホームズグループにとって、さまざまな事業分野からの知見を得ることは非常に重要であり、今後も引き続き大会への参加を通じて、旭化成ホームズグループの環境安全・品質保全に対する質の向上を図ります。