基本的な考え方
私たちは、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備の導入推進や、ZEHや防災力の高い住宅の提案を行うことで、事業活動全体での温室効果ガスの排出量削減や、異常気象による自然災害に強い住まいの提供に取り組んでいます。これらの取り組みを通して、社会全体が目指す「2050年のカーボンニュートラル」に貢献します。
国際イニシアチブへの加盟
気候危機に対しての取り組みは企業にとって大きな課題となっています。旭化成ホームズグループは環境貢献のリーディングカンパニーを目指し、2019年に「RE100イニシアチブ」に加盟し、2023年に「SBT(Science Based Targets)」の認定を取得しました。現在、SBT取得またはそれに相当する目標の公表や削減活動などに取り組む主要サプライヤーは48.2%となり、サプライチェーン全体での脱炭素化を進めています。私たちは、お客様やサプライヤーと共に、目標を達成し、持続可能な社会の実現に貢献します。
ヘーベルハウス・ヘーベルメゾンのZEH・ZEH-M
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて国から「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方に関するロードマップ」が発表されました。このロードマップによりZEHの目標が更新され、それぞれ「断熱」「省エネ」「創エネ」の3つの基準が引き上げられました。また、2022年には、住宅性能表示制度においてZEH水準以上の断熱等性能等級や一次エネルギー消費量等級が設定されたほか、2024年度も環境省が支援するZEH関連の各制度が拡大されています。さらに、国交省でも、2024年度子育てエコホーム支援事業において、子育て世代のZEH購入の支援を行っているなど、国全体でZEH化促進に向けた取り組みが進んでいます。
旭化成ホームズでもこれらに対応した仕様の開発やお客様への普及活動を行い、毎年実績を順調に伸ばしています。例えば、高性能断熱材(ネオマフォーム)を標準使用することにより住まいの断熱性を上げ、冷暖房などのエネルギー消費量の削減に貢献しています。また、太陽光発電システム搭載の標準化により、2023年度のZEH率は大きく向上しました。2024年度は太陽光発電システムの搭載をさらに推進し、ZEH率のさらなる向上を目指します。集合住宅においてもヘーベルハウスで培った技術を展開し、ZEH基準の賃貸住宅の普及を継続しておりマンションのZEHである「ZEH-M」の建築実績も伸びています。
また、近年⾃然災害の発⽣頻度が上がり、規模や被害が極⼤化する中、「レジリエントな健康・快適住宅の普及」を⽬指し、災害後の⽣活を維持するためのトータルレジリエンス(総合防災⼒)を備えた住宅の普及活動も⾏っています。
ヘーベルハウスのZEH普及の実績
ZEHの考え方
ATLASのZEH-M
旭化成不動産レジデンスは経済産業省が策定したZEHロードマップに基づき、年間で消費する住宅のエネルギー量が正味(ネット)で概ねゼロ以下となるZEH-M(ゼッチ・マンション)の普及に取り組んでおり、「ZEHデベロッパー」に登録されています。旭化成不動産レジデンスが分譲する新築マンションにおいては「ZEH-M Oriented」以上を標準(JV等一部の物件は除く)とすることを決定しています。ZEH-M化物件の棟数は、2023年度では累計1棟、2024年度では累計4棟、2025年度では累計7棟を見込んでいます。
※「ZEHデベロッパー」とはZEH-M普及の役割を担うマンションデベロッパーや建設会社等を指します。
分譲マンションにおける今後の目標
省エネ大賞受賞 自家消費型ZEH-M「Ecoレジグリッド」
旭化成ホームズでは、都市部の住宅の屋根を活用し、自然環境を破壊することなく太陽光発電設備と蓄電池を設置できる独自の自家消費型 ZEHへーベルメゾン「Ecoレジグリッド」を提供しています。Ecoレジグリッドから創出される再生可能エネルギーを含む電力は、入居者様への供給と旭化成ホームズグループの事業活動に活用しています。この度、蓄電池のアグリゲート制御※による自家消費率の向上への取り組みと入居者売電型と自家消費型の両輪でZEH-M普及を推進している点が評価され、省エネ大賞を受賞しました。2023年度のへーベルメゾン受注のうちZEH-M率は75%と高い水準に達しています。これからも建築主様、入居者様と共に環境貢献に取り組んでいきます。
※アグリゲート制御:太陽光や蓄電池機器を束ねて調整(制御)を行うこと
東京エコビルダーズアワード受賞
旭化成ホームズは、環境性能の高い建築物の普及に取り組む意欲的な事業者を表彰する令和5年度東京エコビルダーズアワードで「リーディングカンパニー賞」「ハイスタンダード賞」をダブル受賞しました。入居者売電型ZEH-M(ZEH基準を満たした集合住宅)と蓄電池を搭載したオリジナルの自家消費型ZEH-M「Ecoレジグリッド」の推進が評価されました。今後もヘーベルハウス・ヘーベルメゾンでは今後さらなるZEH化の推進、自家消費率の向上、およびレジリエンス性を高めた住宅の提供を通じ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。
ENEX2024「地球環境とエネルギーの調和展」出展
2024年1月31日から3日間、ENEX2024「地球環境とエネルギーの調和展」(主催:一般財団法人省エネルギーセンター)に参加しました。この展示会は、国内唯一の総合省エネルギー展であり、48回目の開催という歴史あるイベントです。旭化成ホームズは「2023年度省エネ大賞」受賞者アワードコーナーへの出展に加えて、住宅メーカー唯一となる通常展示への単独出展を行いました。ZEH-M、Ecoレジグリッドを中心に、ヘーベルメゾンの環境貢献、省・創エネルギーにおける進んだ取り組みを広く発表し、3日間で官公庁および民間から約250名の方が来展されました。これからもさまざまな場を通じて、ヘーベルメゾンの環境取り組みを積極的に発信していきます。
賃貸住宅「Ecoレジグリッド」でのJ-クレジット制度の活用
旭化成ホームズの賃貸住宅「Ecoレジグリッド」は、太陽光発電設備を搭載したZEH-Mに蓄電池を設置し、入居者が太陽光発電の再生可能エネルギーを利用すること(自家消費)を促進するオリジナル商品です。2024年1月に、自家消費の効果を見える化するための「J-クレジット制度※1」の登録を取得しました。Ecoレジグリッド1棟あたりのCO₂削減効果は約5.4t/年※2の見込みで、2024年度中の「J-クレジット」の獲得を予定しています。獲得した「J-クレジット」は、旭化成ホームズグループあるいはサプライヤーの脱炭素化を推進するための販売等に使用します。この販売等で得られる利益は環境・社会貢献活動に充当し、サステナブルな社会の実現に向けた多角的な活動を推進していきます。
※1 J-クレジットプロジェクト計画書(プログラム型排出削減プロジェクト用)ver. 4.0の算定方法に基づき算出
※2 J-クレジット制度事務局 サイトより
ARIOS 邸別住環境シミュレーションシステム
旭化成ホームズでは、日照や採光、通風、日射、室温、暖冷房を科学的に検証できるヘーベルハウス独自の邸別住環境シミュレーションシステム「ARIOS」※を活用し、室内環境を設計段階で可視化することで省エネ対策に活用しています。ARIOS暖冷房シミュレーションを活用することにより、35坪程度のZEH住宅において、お客様の生活スタイルによっては、年間を通してエアコン2台で快適に過ごすことが可能となります。また、シミュレーションでは快適な室温を実現するために最適なエアコンの容量や台数を、イニシャルコスト・ランニングコストを算出することで選定できます。快適な住環境を実現するために、自然の光や風を効果的に取り入れ、適切なエアコン計画を行うことで、冷暖房や照明などのエネルギー削減にもつながります。
※ARIOS:Asahikasei Real Integrated Organization and Simulation
「ARIOS(アリオス)」によるシミュレーション
旭化成住工(栃木製造部)
旭化成ホームズ初の自家消費型PPA(Power Purchase Agreement)モデル実証として、旭化成住工の新工場(栃木製造部)屋根上に太陽光パネル211.2kWを設置しました。これにより、事務所部(旭化成住工 栃木製造部 工場部以外)に使用される電力量の100%を賄える想定です。今冬の稼働開始を予定しており、再生可能エネルギーの導入拡大を通じて環境負荷を低減しながら、持続可能な製造プロセスの確立を目指します。
既存住宅への太陽光発電設備の設置
旭化成ホームズグループでは、建築・入居後のお客様に提供しているサービスの一つとして、太陽光発電設備の設置から将来にわたる余剰電力の買い取りまですべてを完結できる体制を整備しています。23年度既存住宅太陽光の総搭載量は3,420kWでした。既存住宅への太陽光発電設備の設置は、昨今の異常気象や地震に対応できるレジリエンス性を確保できるだけでなく、再生可能エネルギーの普及にもつながり、社会の脱炭素化にも貢献します。60年の長期間にわたり安全・安心にお住まいいただくため、グループ力を活かした太陽光発電設備の設置を今後も強化していきます。
リフォームで脱炭素社会の実現を推進
旭化成リフォームは「永く住み続けることができるヘーベルハウス」をより快適でサステナブルな住まいとするために、高経年建物への「断熱化」「太陽光発電システム・蓄電池の設置」をお客様とともに進めています。「断熱化」は「ユニットバスの更新時」、「1階ワンフロアや住まい全体をリフォームする際」に標準とし、断熱化による住まい手の健康増進と、省エネによる脱炭素社会の実現を目指します。
築30年前後の建物の防水シートの張替え時には、従来の太陽光発電システム設置に加え「初期費用0円太陽光」のサービスを開始しました。万が一の停電時の際も専用コンセントから電気を取り出すことができ、復旧までのライフラインとして活用ができます。災害に強い高経年住宅を増やすことで住まい手のくらしの安心を守り、街のレジリエンス強化を進めています。
「初期費用0円太陽光」全体概要
施工現場使用電力の再生可能エネルギーへの切り替え
旭化成ホームズは、国際的イニシアチブRE100の取り組みの一つとして、東京電力の供給エリア※1で着工するHEBEL HAUSの施工現場で使用する電力を、2023年11月から「ヘーベル電気」の実質再生可能エネルギー※2に切り替えました。へーベル電気では、ヘーベルハウス・ヘーベルメゾンの屋根に搭載している太陽光発電電力の余剰分を買い取り、実質再生可能エネルギーとして活用しています。今回、この再生可能エネルギー電力を新築工事に利用することで、「ヘーベルハウス・ヘーベルメゾンを建築されたお客様」から「これから住まいを建築されるお客様」へとカーボンニュートラルの活動の輪が広がっていきます。2024年8月に全国のHEBEL HAUSの施工現場で同様の切り替えを予定しています。
※1 群馬県、栃木県、埼玉県、茨城県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、および静岡県の一部
※2 卒FIT等の太陽光発電から得られる非化石証明書を使用した実質的な再生可能エネルギー
再生可能エネルギーで住まいを建てる | HEBEL HAUS
長距離輸送の脱炭素化
旭化成ホームズでは、長距離輸送の脱炭素化を図るため、「輸送の効率化」および「車輌の大型化」を進めています。具体的には、トレーラーの活用(ダブル連結トラック含)の推進を行っています。車輌1台で2台分の荷物を運べる「ダブル連結トラック」の活用により、CO₂排出量を3割程度削減することができます。この取り組みは、ドライバーの拘束時間の削減等の負荷軽減にも効果があります。今後もトレーラーをうまく活用し、脱炭素化への貢献とドライバー不足および労働環境の改善につなげていきます。
社有車の電動化
旭化成ホームズグループは、事業活動の脱炭素化の取り組みの一環として、事業で使用する車両の電動化を2021年7月より計画的に進めています。2023年度末時点でリースカーのハイブリッド化率は約70%となっており、当初の計画(2025年度70%目標)を上回るペースで切り替えを実施しています。今後も車両の電動化を進めつつ、交通機関の利用にも平行して取り組みます。一方で移動時間が従業員の負担にならないよう、従業員の働き方と環境へ配慮した移動方法の両立も目指し環境へ配慮した移動方法の在り方も模索し、事業活動の脱炭素化を推進していきます。