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第三者意見

「サステナビリティレポート2024」に対する第三者意見報告書

旭化成ホームズ株式会社
代表取締役社長 川畑 文俊 様

一般財団法人日本建築センター

理事長 橋本 公博

1.レビューの概要と観点

「サステナビリティレポート2024」において特集として取りまとめられている貴社の「RE100の取り組み」及びサステナビリティに対する重要度が高いマテリアリティ(重要課題)の4つのテーマ(「With Customer」、「With Environment」、「With Employee」、「Our Integrity」)に関する取り組みについて、記載情報が事実に相違ないことを前提としてレビューを実施しました。このレビューに当たっては、資源循環を考慮した建築生産システム等について長年研究されてきた角田誠氏(東京都立大学教授)に、建築・環境技術面からのアドバイスを頂戴しています。

2.意見(レビュー結果)

「サステナビリティレポート2024」では、特集として取りまとめられた「RE100の取り組み」とサステナビリティに対する重要度が高いマテリアリティ(重要課題)の4つのテーマ(「With Customer」、「With Environment」、「With Employee」、「Our Integrity」)について、整理されている貴社の取り組みについて、意見を述べます。

(1)特集「RE100の取り組み」

・貴社は、カーボンニュートラルの実現へ貢献する一つの手段として2019年9月より「RE100」に参加され、旭化成ホームズの「へーベル電気」で国のFIT制度の期間を満了した「卒FIT」の余剰電力を買い取り、「RE100」の達成に向けて活用されてきました。昨年度は、「へーベル電気」による余剰電力買取量が、事業活動で使用した電力量を超え、「RE100」を達成されました。2019年参加時点での達成目標2038年を大幅に前倒して「RE100」の目標を達成されましたことを高く評価します。

(2)With Customer

・静岡県富士市の貴社分譲地内においてZEHへーベルハウス3戸と貴社社宅をコミュニティ単位とし、災害発生時には旭化成リフォームの所有するEV(電気自動車)がZEHへーベルハウスから発生する太陽光発電等の余剰電力を回収し地域住民に提供する、レジリエンス強化の方策「コミュニティZEH」は高く評価できます。

・情報交換アプリ「GOKINJO」により、日常的にマンションや自治会における住民間のコミュニケーションを構築することに加え、災害時には情報共有ツールとして、より積極的に「共助」を実践可能とする取り組みを評価します。今後、安否確認機能などの開発を進め災害時の利便性を高められることを期待します。

・「ヘーベル電気」の利用者に対し、節電トライアルとして3,875邸の参加のもと、電力需要の高まる時間におけるタイムリーな節電要請を行い、節電行動を促すデマンドレスポンスの実証に取り組んだことを評価します。

(3)With Environment

・ヘーベルハウスのZEH普及率が、2022年度の81%から2023年度では88%に向上し続けていることを評価します。着実な取り組みの継続により、更なるZEH普及率が向上されることを期待します。

・太陽光発電と蓄電池を設置した自家消費型ZEHヘーベルメゾン「Ecoレジグリッド」により発電される電力を、入居者への供給と貴社の事業活動に活用しており、ZEH-Mの普及率が75%と高い水準であることを評価します。

・既に新築現場での産業廃棄物は全量再資源化され、ゼロエミッション達成を継続していることを評価します。また、リフォームの防水・吹付のリプレイス工事や賃貸物件の入退出工事から発生する維持管理による廃棄物削減に取り組まれている点は、非常に高く評価できます。今後はさらに長期利用に資する改修工事においても、ゼロエミッション化に取り組まれることを期待します。

(4)With Employee

・勤務地配慮申告制度、コース転換制度、育児短時間勤務やシッター・ヘルパー補助、出生時育休制度などのライフワークバランスを支援する制度が設けられており、職員の様々な状況に合わせて働き方を選択し、キャリアの継続ができるように支援されていることを評価します。

・キャリア採用の強化として2023年8月に「リファラル採用(社員紹介)」を導入し、65歳までの「定年延長」の導入によるシニア社員の活躍の推進、女性管理職数を2021年度比40%増のための目標達成の教育施策、旭化成住工ベトナムにおけるベトナム人スタッフと日本人スタッフとのグローバルな人材交流などにより、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進されていることを評価します。

・「A-Smart」や「A-Skai工事報告書システム」の活用により施工管理のDX化が推進され、労務管理が効率化されていることを評価します。

(5)Our Integrity

・環境的側面(エネルギー使用や気候変動、生物多様性の保全等)や社会的側面(差別禁止や機会均等、過度の労働時間の削減等)に対し、持続可能なサプライチェーンにより取り組むことでCSR調達を推進できていることを評価します。

3.今回のサステナビリティレポートの総合評価と今後への期待

特集で取り上げられているように、達成目標の時期を大幅に前倒して「RE100」を達成されましたことを高く評価します。また、「With Customer」では「節電トライアル」による電力の削減について、社会が特に企業に求める重要課題である「With Environment」ではZEH普及率の向上やゼロエミッション達成の継続について成果を上げられており、特筆して評価できます。今後もさらに持続可能な社会のための意欲的な取り組みをされることを期待します。

「With Employee」 と「Our Integrity」では、マテリアリティ毎に、KPI、2023年度実績、2024年度目標、2025年度目標、関連する取り組みなどが一覧表にまとめられ、それぞれが着実に推進されていることを評価するとともに、今後の継続的な活動を望みます。

今後もマテリアリティの4分野への取り組みがバランスよく着実に進められ、貴社のサステナビリティが一層充実することを期待します。

※本報告書は、環境省の「環境報告ガイドライン」における第三者保証や、GSSBによる「GRIスタンダード」における外部保証を行ったものではありません。

一般財団法人 
日本建築センター 理事長

橋本 公博

*

東京都立大学 都市環境学部
建築学科教授

角田 誠

*

第三者意見を受けて

旭化成ホームズ株式会社
執行役員 サステナビリティ企画推進部長
サステナブル推進担当
武藤 一巳

*

橋本様、角田様には貴重なご意見をいただき、心より御礼申し上げます。

まずは、お客様のご協力をもとに進めてきたRE100への取り組みが2023年度に目標達成できたことを高く評価いただき、たいへんうれしく思っています。お客様に深く感謝するとともに、達成に向けて尽力した社員・関係者を労いたいと思います。今後も再エネ電力の獲得に努め、それを有効に活用できるよう研鑽を続けていきます。

また、気候災害のみでなく近年幾度となく起きる大きな地震等、さまざまな災害に対するレジリエンス強化も、当社グループの大きな使命と考えています。トータルレジリエンス(総合防災力)のほかに取り組んでいる非常時の地域支援の仕組みやツール提供について、期待を含めて評価いただいたことも大きな意義のあることと受け止めています。

社員がやりがいを持って業務に臨み成長を続けること、サプライチェーン全体で価値創造していくことが、企業としてのサステナブルな社会実現への貢献であると信じています。アドバイスいただいたようにマテリアリティの4つのテーマすべてに真摯に取り組み成長していく所存です。これからもご指導よろしくお願いいたします。

私たちは、事業を通じて「人びとに必要とされ、感謝され、愛され続ける企業」を目指していきます。

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