基本的な考え方
私たちは、オフィスだけではなく施工現場や工場などさまざまな場所で事業活動を行っています。あらゆる事業活動において、社員が最大限能力を発揮できるよう、安全で快適な職場環境の整備と心身の健康保持増進へ積極的に取り組みます。
ライフセービング・アクション(LSA)
ライフセービング・アクション(LSA)とは、旭化成グループで働くすべて人の「命を守る(Life Saving)」ことを最優先に考え、グループ全体における安全文化の構築を目指した取り組みです。建設業では、重大災害の多くが高所作業における転落災害であることから、旭化成ホームズグループでは「安全帯なしでの高所作業は禁止」と定めています。2023年度は各エリアが行う通常の安全パトロールに加えて、本社による安全監査を強化し、積極的な指導と啓発活動を実施しました。また、事業を展開している北米と豪州においても、SafetySummit(安全大会)を通じて、墜転落事故撲滅を重点目標としてLSAを推進しています。今後も繰り返しの教育を通して、国内外における現場安全の徹底を図ります。
新規入場者教育の徹底
施工現場で発生する労働災害の中では、経験の浅い作業者の割合が高く、一般的にその理由は、慣れない仕事や環境が、不安全行動につながるためと言われています。このため、施工現場に入る前の安全教育「新規入場者教育」が非常に重要です。旭化成ホームズでは、作業員に教育を実施する工事店に対し、①講師資格の「インストラクターの育成」、②「安全教育資料の整備」、③安全教育実施後に現場入場資格を許可する等「実施ルールの規定」の3点の支援を行っています。さらに2023年度は、経験1年未満の作業者を対象にフォロー教育資料を作成して再教育を実施し、安全知識のアップデートおよび意識の強化に努めました。今後も安全教育の環境整備に努め、災害のない安全で安心な施工現場を目指します。
化学物質リスクアセスメント
化学物質リスクアセスメントとは化学物質を含む材料の持つ危険性や有害性を特定し、それによる労働者(作業者)への危険または健康障害を生じるおそれの程度を見積もり、リスクの低減対策を検討し、それらを作業者へ周知することをいいます。旭化成ホームズでは施工現場で使用する化学物質を含む材料についてリスクを評価し、その結果を周知しています。
また、施工現場では作業者が作業前に実施するKY(危険予知)活動の中で、使用する材料についてのリスク評価結果や取扱説明書のほか、部材梱包に表記されているラベルを元に危険性や有毒性を確認することで、危険性や健康障害リスクの低減活動の定着に努めています。
製造現場における安全活動のDX化
旭化成住工では、製造現場のさらなる安全の強化を目的として、製造業DX化の取り組みを活用しています。設備にはPLC(プログラマブルロジックコントローラ)が設置され、日々貴重なデータが蓄積されています。データを作業者に可視化することで製造過程の透明性を高め、安全活動に役立てようとPinch Point Trackerの開発を進めています。これは、危険個所(ピンチポイント)に対して安全機装置の反応回数を数値化し見える化することで危険個所への接近を減少させることを目的としています。作業者が気づきにくい危険個所まで意識できるようにすることで、リスク回避策の根本的な改善にもつながることを期待しています。この取り組みを第一歩として、製造プロセスの革新を推し進めスマート工場の実現を目指します。
北米事業における安全活動
北米事業の関係会社Austin社、Brewer社では、従業員の安全意識を高め、優れた安全文化を醸成するため、「Austin Companies’ Safety Raffle Program」、「Brewer Safety + Chip Program」と呼ばれる活動を行っています。安全監査の合格、安全研修への参加、防護具の着用、危険箇所の報告や是正、社外から安全意識の高い行動を表彰されるなど、安全に関するさまざまな成果をポイントやチップに変換し、それを獲得した社員が豪華景品の抽選に利用できる仕組みです。
安全はすべての人が担う責務であり、すべての負傷事故は回避可能と考えています。包括的な取り組み、透明性の高い選考方法、魅力的な報酬を通じ、これらの活動は安全に対する企業の姿勢と従業員のwell-beingを尊重するコミットメントの証となっています。
健康経営に対する考え方
私たちは、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値を向上させていくためには、「人財」がすべてであるという考えに基づき、従業員が心身ともに健康で活躍できる環境づくりを進めています。2020年には旭化成グループで「健康経営宣言」が発表されたことを受け、旭化成ホームズグループでも従業員の健康に関する取り組みを全社的な経営課題と位置づけた「健康経営」を展開しています。
※「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。
旭化成ホームズグループの健康経営
旭化成ホームズグループでは、健康経営推進のために健康管理室と人事部が一体となってさまざまな施策を推進しています。「健康増進PJ」「メンタルPJ」「健康情報活用PJ」の活動を通じて、健康経営KPI改善のためのヘルスアッププログラムの実施や禁煙の推進などを行います。2023年度は新たな施策として、産業医、保健師、人事担当者が連携し部署長と共にストレスチェックの組織診断結果と職場環境の実態のすり合わせを行い、改善に向けたアクションプランの策定と実行をしました。これには3部署が取り組み、うち1部署では短期での改善がみられました。この取り組みは今後も継続予定です。このような活動の成果として、ストレスチェックは全国平均(100)に対して2割程度低く推移しています。
※「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。
健康経営KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)
目標項目 | 業績値 | 目標値(旭化成G) | ||
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2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
1.メンタル休業率 | 1.16% | 1.38% | 1.25% | 1.00% |
2.生活習慣病重症化率 | 10.7% | 10.8% | 10.2% | 8.9% |
3.メタボ該当者率 | 10.9% | 10.9% | 11.4% | 8.9% |
4.休業日数/がん1件 | 69.2日 | 120.5日 | 89.8日 | 67.3% |
5.喫煙率 | 25.2% | 24.8% | 24.2% | 18.5% |
6.睡眠 | 30.6% | 29.8% | 30.5% | 24.2% |
健康診断と健康管理システム導入
旭化成ホームズでは社員の健康増進を図るため、健康診断に法定項目以外の検査も含めています。また人間ドックやがん検診、胃カメラ検査等を任意で受けた場合の費用についても助成を行っています。2023年度には、個人のスマホからも健診結果や産業医からのコメントなどを確認できる健康管理システム「Growbase」を導入しました。産業医が要受診と判断した場合は二次健診の要否および受診結果の入力を依頼する通知が届く等、DX化により利便性を向上し、社員の健康増進に取り組んでいます。
システムイメージ図
ヘルスアッププログラム(特定保健指導)
ヘルスアッププログラムは、腹囲やBMIに加え、血糖、脂質、血圧の判定値に該当し、生活習慣病の発症リスクが高い社員を対象としています。食事・運動をはじめとした生活習慣を早期の段階から見直すことで生活習慣病を予防し、将来にわたってより健康で充実した状態を維持していくことを目的とした保健指導プログラムです。旭化成ホームズグループでは、これを「原則受診」とし、社員の生活習慣病予防および健康増進に取り組んでいます。2021年度からの3カ年計画で982名が参加し、平均で体重2kg減少や腹囲2cm減少などの効果が認められました。
マイヘルスウェブ
旭化成ホームズグループでは、旭化成健康保険組合による個人向け健康ポータルサイト マイヘルスウェブを活用しています。マイヘルスウェブでは、医療費や給付金情報、健康診断結果をいつでもどこでもチェックすることができます。また、体重・血圧・歩数などのバイタルデータを記録して健康状態を把握し活用することができます。利用に応じたポイントでアイテムがゲットでき、社員が楽しみながら健康増進に取り組むことができるシステムです。今後も社員の主体的な健康増進を支援していきます。