「サステナビリティレポート2025」に対する第三者意見報告書
旭化成ホームズ株式会社
代表取締役社長 大和久 裕二 様

理事長 橋本 公博
1.レビューの概要と観点
「サステナビリティレポート2025」において特集として取りまとめられている貴社の「人財・組織への取り組み」及びサステナビリティに対する重要度が高いマテリアリティ(重要課題)の4つのテーマ(「With Customers」、「With Environment」、「With Employees」、「Our Integrity」)に関する取り組みについて、記載情報が事実に相違ないことを前提としてレビューを実施しました※。このレビューに当たっては、資源循環を考慮した建築生産システム等について長年研究されてきた角田誠氏(東京都立大学名誉教授)に、建築・環境技術面からのアドバイスを頂戴しています。
2.意見(レビュー結果)
「サステナビリティレポート2025」(特集「人財・組織への取り組み」、サステナビリティに対する重要度が高いマテリアリティ(重要課題)の4つのテーマ「With Customers」、「With Environment」、「With Employees」、「Our Integrity」)について、意見を述べます。
(1)特集「人財・組織への取り組み」
・世の中の変化に合わせて柔軟に対応できる持続的な経営体制を築くため、多様な人財が多様なフィールドで、より成長・活躍できる環境づくりに積極的に取り組まれていることを評価します。
・以下の個別施策により、現場の社員をチームや組織が支え、それを本社や経営が支えるという、現場を起点とした個の成長と強いチーム力を備えた組織づくりを評価します。
・2024年より導入されたタレントマネジメントシステム「キャリアマネジメントプレイス(通称:CaMP)」や上司との新しいコミュニケーションの機会「Vision対話」等により、社員が自らのキャリアを主体的に考える機会を促進させる「個の自律・挑戦促進」
・2025年度から全支店長を対象として導入予定の「対話力向上プログラム」により、個の強みや挑戦力を引き出す「マネジメント力強化」
・2024年から導入された組織の範囲を超えて協働しお互いの強みを活かす「共創制度」の活用により、高度化・多様化する顧客ニーズに高いレベルで対応していく「チーム力強化」
・女性活躍や育児休業の取得を定めるだけでなく、誰もが尊重され、活躍できる環境をつくるための社内の理解浸透活動を担う「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進」
(2)With Customers
・スマートロックを用いて認証された配達員が共用エントランスのオートロックを開錠できる「スマート置き配」の導入により、セキュリティーに配慮しながら居住者の利便性の向上が実現し、再配達の削減という物流業界が抱える問題の解決に積極的かつ持続的に貢献されていることを評価します。
・2025年1月より貴社で販売された「FREX asgard(フレックス アスガルド)」では、外壁ヘーベル内側の断熱材であるネオマフォームの厚みを増強し、開口部に熱伝導率の低いガラス面積を拡大させた「ロングライフ次世代複合サッシ」を採用することで、地震・水害などから居住者を守るシェルターとしての性能を維持しつつ、ZEH水準を上回る断熱等級6の標準仕様化を実現されたことは高く評価できます。
・築30年以上の住宅における長期定期点検の実施率が2023年度の60.1%から2024年度では67.6%になり、また築40年以上の外装メンテナンスの実施率も2023年度の62.6%から2024年度では67.0%になるなど、長期的なメンテナンスサポートの成果は着実に向上しており、その継続的な運営体制は高く評価します。
(3)With Environment
・ヘーベルハウスのZEH普及率が、2023年度の88%から2024年度では91%に向上し続けていることを高く評価します。さらなる着実な取り組みの継続により、ZEH普及率の維持・向上がなされることを期待します。
・2024年10月より開始された、ヘーベル電気のサプライヤー向けに再生可能エネルギー電力を供給するサービスにより、サプライチェーン全体で脱炭素化を推進されていることを評価します。
・電気需要がひっ迫する時間帯に節電を喚起する「節電トライアル」や、再生可能エネルギーが豊富な時間帯の電力使用を奨励する「昼電トライアル」により、社会全体の電力供給バランスの安定化に高く貢献されています。
(4)With Employees
・管理職に占める女性の人数(2021年度比)が2023年度の28.5%から2024年度では45.7%に増加し、また新卒採用者に占める女性の割合においても2023年度の46.6%から2024年度では51.0%と同様に増加しています。2025年度目標(40%)も既に達成されており、女性社員活躍の体制構築に加え、広くダイバーシティ推進に取り組まれることを期待します。
・育児休業について、社員の理解浸透を目的としたトップメッセージの発信や、子どもが生まれた社員への個別フォローや制度説明会等により、育児休業を取得しやすい環境づくりがなされていることを評価します。また、育児休業から早期復帰した社員に対する早期復帰支援金の支給や、男性社員の出生時育休制度では育児休業中でも一定条件のもとでの就業を可能としていることなど、育児と仕事の両立を支援されていることを評価します。
・全国の拠点に外部固定式で遠隔操作が可能な「現場カメラ」が導入されたことにより、現場における正確な工程の進捗状況の把握や、危険行動時のタイムリーな安全指導などが可能となり、安全・品質・生産性の向上、施工管理の業務効率化が推進されていることは極めて高く評価できます。
・2024年度より導入された「キャリアマネジメントプレイス(通称:CaMP)」と「Vision対話」の活用により、中長期的なキャリアビジョンの実現に向けた上司との対話を深める場が作られ、社員一人ひとりの成長や躍進をフォローする仕組みが形成されていることは評価できます。
(5)Our Integrity
・2016年以降、施工現場では「凛とした現場づくり」をスローガンとされていましたが、2024年度は現場の細部や工事中の敷地内管理にも目を向けることにより工事完了まで維持することをテーマとして活動されており、「安全経路の確保」や「外部資材の整理整頓」を重点とした監査や結果のフィードバック、好事例の展開などにより、現場の品質向上につながる活動をされていることを評価します。
3.今回のサステナビリティレポートの総合評価と今後への期待
特集「人財・組織への取り組み」や「With Employees」で取り上げられているように、社内システム・政策が充実されており、多種多様な人財が個別多様なフィールドでより成長・活躍できる環境づくりが推進されていることを評価します。「With Customers」では物流業界の「2024年問題」やZEH水準を上回る戸建て住宅の標準仕様化の実現などにより、社会ニーズや社会課題の解決に対応したライフスタイルの提案が積極的になされていることも評価できます。「With Environment」ではZEH普及率の向上やサプライチェーン全体で脱炭素化を推進されていることを高く評価するとともに、今後の継続的・持続的な活動を望みます。「Our Integrity」では、マテリアリティ毎に、KPI、2023年度実績、2024年度目標、2024年度実績、2025年度目標、関連する取り組みなどが一覧表にまとめられ、それぞれが着実に推進されていることを評価するとともに、今後中長期での活動方針策定を強く望みます。
今後もマテリアリティの4分野への取り組みがバランスよく着実に進められ、貴社のサステナビリティが一層充実することを期待します。
※本報告書は、環境省の「環境報告ガイドライン」における第三者保証や、GSSBによる「GRIスタンダード」における外部保証を行ったものではありません。
一般財団法人
日本建築センター 理事長

東京都立大学 都市環境学部
建築学科教授

第三者意見を受けて
旭化成ホームズ株式会社
サステナビリティ企画推進部長
渡辺 直哉

橋本様、角田様には貴重なご意見をいただき、心より御礼申し上げます。
当社グループは創業当初よりさまざまな社会課題の解決にLONGLIFEを軸とした取り組みで臨んでまいりました。本年は2030年に目指す姿として「VISION for 2030」を策定し、お客様・従業員・環境とともに未来につながる価値を共創する中核にLONGLIFEを据えました。今回特集で取り上げた「人財・組織への取り組み」は世の中の変化に柔軟に対応し、LONGLIFEを軸として持続的に企業成長してゆくうえで特に重視していることですが、この点を評価いただき誠にありがとうございます。本年度「DE&I推進部」を創設し、今後とも、多種多様な社員が現場起点でいきいきとやりがいを持って働き成長できる風土・環境に一層磨きをかけ、社内システム・政策の増々の充実を図ってゆく所存でございます。
また、物流業界の「2024年問題」への対応、ZEH水準を上回る戸建て住宅の標準化、サプライヤー向けのヘーベル電気再生可能エネルギー電力供給などの活動を通した社会課題解決への取り組みを高く評価いただき光栄なことと感じております。
今後も、アドバイスをいただいたように、マテリアリティの4分野で真摯に着実に取り組み成長してゆく所存です。ご指導よろしくお願いいたします。私たちは、事業を通じて「人びとに必要とされ、感謝され、愛され続ける企業」を目指していきます。