基本的な考え方
近年、異常気象等により、従来経験したことがないような大規模災害リスクが顕在化しています。大規模災害が発生した際にお客様の暮らしを支援するだけでなく、お客様を支える事業を継続するためにリスク管理としての防災対策も重要と考えています。
防災セミナーと防犯セミナー
近年、多発する自然災害や命を脅かす犯罪により、安心して暮らすための備えがこれまで以上に求められています。このような状況を受け、旭化成ホームズグループでは生活者の安心を実現するために防災・防犯セミナーを実施しています。2024年度は、防災面では、賃貸住宅へーベルメゾンでの居住者同士の見守りや共助を目的とした防災イベントや、分譲マンションATLASでの地域防災強化に向けたデジタルを併用した防災訓練を実施しました。防犯面では、メディア出演などによる安全な家づくりの啓発活動※に加え、闇バイト強盗対策をテーマにしたヘーベルハウス居住者向けのセミナーを開催しました。これらの活動を通じて、安全な住まいのご提供だけでなく、安心して暮らせる環境づくりにも貢献しています。今後はデジタルツールも活用し、より多くのお客様に防災・防犯対策や関連サービスを提供していきます。


※啓発活動の一例
「LONGLIFE AEDGiS (ロングライフイージス)」
災害時コミュニケーションサービス運用開始
近年激甚化・頻発化する自然災害からの被害を最小限に抑えるためには、被害状況を的確に把握し、迅速に対応することが重要です。
LONGLIFE AEDGiSは、2024年9月に従来の建物被害推定システムに加え、既存の「災害BoT」を改良し、お客様と旭化成ホームズが相互に情報をやり取りできる「災害時コミュニケーションサービス」を追加しました。
このサービスにより、お客様はご自宅の自己点検が可能となり、点検結果に基づき設備復旧の方法などの情報を取得できます。また、点検結果やその他の不安な箇所を旭化成ホームズへ共有することもできます。
さらに、旭化成ホームズは、お客様から共有いただいた被害情報を基に、効率的な災害対応を行い、早期の復旧につなげます。発災後、不安を感じるお客様に「つながる安心」を提供し、迅速な支援で被害を最小限に抑えることに貢献します。

共助を実現する「GOKINJO」がフェーズフリーアワード2024事業部門で入選
旭化成グループの社内ベンチャー企業である「株式会社コネプラ」が企画・開発・運営をするコミュニティサービス「GOKINJO」は、一般社団法人フェーズフリー協会が主催する「PHASEFREE AWARD(フェーズフリーアワード)2024」の事業部門において入選しました。「フェーズフリー」とは、普段身の回りにあるモノやサービスを「日常時」と「非常時」というフェーズ(社会の状態)からフリーにして、いつもともしもに関わらず生活の質を向上させ、私たちの生活や命を守ってくれるものにしようという新しい考え方です。GOKINJOは、日常的に使うスマホアプリを用いて、いざと言う時には住人同士が共助しあえる基盤を築くサービスです。日常的には、情報交換やモノのシェアリングなどをベースに住人同士のコミュニティを醸成し、非常時には住人同士で情報交換が行えることに加え、安否確認機能を備えています。2025年2月には、アトラスシティ世田谷船橋で従来のリアルな防災訓練に加え、デジタル技術を活用した安否確認訓練等を実施しました。こうした防災のデジタル化によって、管理組合等の作業負担軽減と共に、住民同士が状況を把握し合うことで、マンションの防災力向上を目指します。

レジリエンス・アワード最優秀賞受賞「LONGLIFE AEDGiS」
旭化成ホームズの、防災情報システム「LONGLIFE AEDGiS」が「ジャパン・レジリエンス・アワード 最優秀賞」を受賞しました。独自のシステムにより、地震や水害が発生した際、機器によるセンシング機能を活用することですべてのへーベルハウス・ヘーベルメゾンの被害状況を即時に把握します。また、オンラインによるコミュニケーション機能で、被災されたお客様から被害情報を旭化成ホームズが受け取り、それに対応した被災時に役立つ情報を返すことで、安心を提供していきます。 取得した情報をもとに建物の被害状況に応じた優先順位を決めることで、災害対応の効率化、復旧工事の早期開始などへつなげ、発災後のお客様の暮らしを支援していきます。


第10回ジャパン・レジリエンス・アワード2024年最優秀賞受賞
旭化成不動産レジデンスは、多くのマンションの建替えを支援する中で社会全体が、高経年マンションの再生にかかわる知見が不足していることを痛感し、業界に先駆けて2011年に「マンション建替え研究所」を設立しました。マンション建替え研究所では、マンションの建替えに関するシンクタンクとして、情報を収集・分析し発信しています。多くの実績の中で蓄積した経験を活かして、マンション建替え実践講座を定期開催(これまでで延べ約970組2,200名の管理組合・管理会社が参加)するとともに、建替えの相談対応など、さまざまなケースの建替えをサポートしています。建替えの実現数は全国でわずか282件ですが※、旭化成不動産レジデンスはこれまで48件の建替えに参画し(2024年4月末時点)、その実現に寄与しています。
「マンション建替え研究所」は、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会主催の「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2024」において「最優秀賞」を受賞しました。
※出典:国土交通省 マンションに関する統計・データ等(2023年3月時点)

(ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2021 「最優秀賞」受賞)
災害訓練(全社)
自然災害の発生時には、被災したお客様の生活の復旧・復興に貢献し、1日でも早く快適な生活をお届けすることが、旭化成ホームズグループの重要な責務です。この責務を果たすため、大規模災害を想定した年次の災害模擬訓練や災害対応マニュアルの更新を継続的に実施しています。2024年度は初めて南海トラフ地震を想定した訓練を実施し、甚大な被害が予測されている地域の拠点と本社、関係会社各社が参加しました。訓練では、いかに迅速に情報収集と意思決定を行うか等をテーマとしてそれぞれの役割や連携を確認するとともに、津波というこれまで旭化成ホームズグループが経験したことのない災害に対しての備えの必要性を確認することで、さらなるレジリエンス強化のための気付きや課題を得ることができました。
防災訓練(旭化成住工)
旭化成住⼯滋賀⼯場は、ヘーベルハウス・ヘーベルメゾンの主要部材の⽣産拠点です。お客様に⼯期通りに建物を引き渡すために、安定した製品の供給が求められています。そのため、災害が発⽣した場合に、被害を最⼩化するための初期対応を迅速に⾏えるよう、定期的な防災訓練を実施しています。特に火災発生時の初期消火については、その大切さを浸透させ、万一の場合には消防署への通報や確実な初期消火が実行できるよう、毎年、全従業員を対象に消火器訓練を実施しています。愛知消防署(東近江市)が開催する「初期消火大会」にも毎年参加し、2024年9月の大会では、地域の企業や団体20チームが参加する中、男子消火器操法の部で3位入賞を果たしました。今後もさまざまな訓練を実施することで、引き続き安定した生産活動につなげていきます。

中野区初の防災街区整備事業で組合を設立
旭化成ホームズは、「中野区弥生町二丁目19番地区」にて、防災街区整備事業組合を設立するとともに、事業協力者として本事業の推進をサポートしています。この地区は東京都の重点整備地域および不燃化特区に指定されており、防災上の課題が多い地域です。本事業では主に、防災性能を備えた建物の整備、大通りと公園をつなぐ貫通通路の整備、老朽化した擁壁の改修などを行います。貫通通路を設けることにより、公園へアクセスしやすくなり、災害時の避難、消火、救援活動に貢献します。また、建物の不燃化や隣地との離隔確保を行うことで、延焼リスクの軽減も図ります。
こうした取り組みにより、中野区の行う「燃えない・燃え広がらないまち」の形成に寄与するとともに、密集市街地の防災機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を実現します。
