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新居の切り札は、タテ空間だ!

HAUS

タテ空間は、こころを豊かにする

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2010年12月14日、ニューヨーク・カーネギーホールでサイトウ・キネン・オーケストラが奏でるブラームスを指揮する小澤征爾さん(当時74歳)の雄姿だ。
食道がんと重い腰痛を克服し、復帰してまもなくタクトを振ったこのコンサートは計3日にわたって開かれ、アメリカでは「マエストロ・カムバック」とトップニュースになるほど話題になった。
以来毎年、仕事納めが済んだ冬休みの一夜は『奇蹟のニューヨーク・ライヴ』と名打たれたこのコンサートを収録した3枚組CDと、1970年代にボストンで撮られたドキュメンタリー映画『OZAWA』のDVDをセットで楽しむことにしている。
一年で唯一クラシック音楽を味わう夜だ。

『奇蹟のニューヨーク・ライヴ』の1枚目は、初日に演奏されたブラームスの「交響曲第1番」。
まずこれに感動し、小澤さんの十八番と言われる2枚目の「幻想交響曲」(ベルリオーズ)で覚醒し、3枚目の超大作「戦争レクイエム」(ブリテン)の90分にわたる演奏で感涙にむせぶ。
この3枚組CDはウィーンの辛口評論家に「神の領域」と言わせしめたほどすばらしい出来栄えだそうで、クラシック音痴の筆者でさえ、小澤さんが垣根を取っ払って音楽を楽しませてくれる人だと実感できる作品だ。
最近、YouTubeを通じてこのコンサートの映像があることを知った。
そこに映し出されていたのは、力を振り絞って指揮する小澤さんの後ろ姿と、一糸乱れぬオーケストラの音色を包みこむカーネギーホールの大空間であった。

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カーネギーホールは、演奏が見やすいよう客席が蹄の形状をした「馬蹄型」ホールの代表建築と言われる。
歴史的建造物となっている欧米の歌劇場には、この「馬蹄型」以外に、間口が狭く長方形をした「シューボックス型」と、客席が段々になった葡萄畑のように分かれる「ヴィンヤード型」が多く見られる。
調べていて面白かったのは、いずれの型においても古の建築家たちが優先したのは、舞台と聴衆との一体感を得るために必要な音の「ボリューム」、「残響」、「広がり」の三つの効果を上げる空間づくりであること、そしてなかでも聴衆の感動に直結する効果として音の「広がり」が最重要視されていたという点だ。
ホールの天高を贅沢に取るのは、包みこむような音の「広がり」を聴衆に感じさせるためであり、最上階に最上級のゲストを招くのは、その場所がもっとも音の「広がり」を感じられるから、なのだそうだ。
 過日、近所にあるリノベーション会社の代表と雑談している折に、「最近は吹き抜けをマストの条件にする顧客が増えている」という話になった。
氏によれば、ウェブデザイナーをはじめ、事務所兼自宅として住居を構えたい人たちに吹き抜け空間を欲しがる傾向が強いそうで、それは「仕事するうえで自由な発想が生まれやすく、リラックス効果も高いから」だという。
氏曰く、「アメリカではすでに心理学の見地から天井の高い部屋の効果が証明されているんですよ。
ニューヨークあたりにはそういう専門誌の記事を証明材料にして、吹き抜けのある中古物件の価値を上げているディーラーがたくさんいます」。

 氏に借りた環境心理学の専門誌に目を通してみると、たしかに「天井高の部屋」に関するいくつかの研究事例が掲載されていた。
なかでもユニークだったのが、カナダのスカボロー大学で心理学を教えるオシン・バルタニアン氏が行った実験で、それは無作為に選んだ参加者に200枚の部屋の画像(いずれも開放的、閉塞的な2種類)
を見てもらい、脳スキャナーを通じて「美しい」か「美しくない」か、判断してもらうというテストだった。
バルタニアン氏の研究班が参加者の脳内活動を観察したところ、「天井が高い部屋ほど、人間の脳は『美しい』と感じやすいという結論に達した」という。
照明、配色、湾曲したデザインなどは、「美しい」と感じる明確な要因にはならず、それは空間の高さにはっきり表れたという結論だ。
バルタニアン氏は記事のなかでこう締めくくっている。
「天井の高い部屋は視覚空間の探検を促進すると同時に、より人々が自由な発想を生み出す手助けを行っています。
これは、肯定的な感情を誘発するための、かなり強力な要因になる可能性があります」。

 アメリカのマーケティング学者、ジョアン・M・レヴィ氏とリュイ・シュー氏の実験もユニークだ。
二人は、10フィート(約3メートル)の天井をもつ部屋と、8フィート(約2メートル半)の天井をもつ部屋へ参加者を招き、アナグラム(単語の順序を変えてまったく別の言葉に置き換える遊び)を行わせた。
その結果、「単語の制限なく自由にアナグラムを作ってよい」という問題では、10フィート高の部屋に入った参加者のほうが8フィート高の部屋にいる参加者よりもはるかに速く言葉を作ることができた。
これに対し、制限された単語で作るアナグラムは、8フィート高の部屋にいる参加者のほうが速く完成させた。
この実験では、「高い空間に身を置くほうが心理的自由度は高く、低い空間にいるほうが制限適応力は高まることが証明された」と結論づけている。
贅沢な吹き抜けのあるリビングと狭い篭り部屋の二つが自宅にあれば、マルチクリエイターへの道が拓ける...というのは早計か。

 そういう興味もあって、今回は、贅沢なタテ空間をもつヘーベルハウスのモデルハウスを取材することにした。
訪ねたのは、2019年9月に品川シーサイドの住宅展示場にオープンした4F建てのFREXモデルだ。

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この写真は、3Fの窓から真下にある1Fのアウトドアリビングを見下ろした様子。
外壁のヘーベルウォールを上手に利用し、タテに伸びるリラックス空間を演出している。
強靭な躯体構造によって生まれたヘーベルハウスには、室内外でタテの「広がり」を自在に創り出すことができるメリットがある。
画一的ではなく、空間設計の自由度が高いから、このように新しい「広がり」を発見することもできるのだ。
今月はそんな贅沢なタテ空間をヴィジュアルメッセージにしてみた。
 この家が新居ならば毎夜、小澤征爾を聴くだろう。



CASE1:
HEBEL HAUS FREX SHINAGAWA SEASIDE MODEL
ヘーベルハウス FREX 品川シーサイドモデル

吹き抜けのあるリアルサイズのリビング空間

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品川シーサイドの住宅展示場に建つヘーベルハウスのFREXモデルだ。
1F~4Fまでフロアごとにインテリアのコンセンプトを変え、多彩なライフスタイルにフィットする住まいの提案を行っている。
なかでもとくに我々取材班の琴線をくすぐったのが、4Fに広がるLDK空間だ。
光と風を取り込む「そらのま」と、屋上へ結ぶ階段を活かした吹き抜けにより、タテ空間をもののみごとに演出している。



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このフロアの床面積は82.54㎡。
リアルサイズの広さだが、タテ空間の演出によって一層の開放感を味わえるのだ。
ヨコ軸の確保が難しい都市型住宅の特性を鑑みるならば、「タテ軸」の活かし方がより重要になってくる。
FREXは「タテ軸」を活かすのに最適な住宅であり、それを可能にしているのはヘーベルハウスの強靭な躯体構造によって生まれる「無柱空間」である。
頭上から降り注ぐ光と、心地よく流れる風を室内で感じられる家。
クラシック音楽を一日中聴いていたい、大人の空間が広がる─。



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4Fのリビングからひとつながりになっている「そらのま」。
無限に広がる空が見え、心地よい風が室内に流れ込んでくる。
このスペースにMUTEのイトウ ケンジ氏がデザインした「アカプルコ カフェチェア」の新作2脚を並べてみた。



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屋上へとつながる室内階段から4Fのリビングを見下ろす。
吹き抜けになっていて、屋上の窓が採光窓として機能し、リビングへ明るい光をたっぷり運ぶ。
リビングには読書用に、ケース・ブラークマン氏の名作「pastoe ワイヤーラウンジチェア」(アーム付きチェア)をレイアウトした。



IN & OUT でタテ空間に暮らす楽しさを、ヘーベルハウスが教えてくれた。

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都市の中でも光と風をたっぷり取り込める、品川シーサイドFREXモデルのLDK 空間。
4F のLDKに接続する「そらのま」(左サイド)、そして屋上へと広がる吹き抜け(右サイド)。
半屋外と室内で同時にタテ空間を演出した間取りが、数字以上の広さを感じさせる。
奥に見えるのは重厚なデザインを施したダイニング・キッチンだ。



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品川シーサイドFREXモデルの1Fには、篭り感を味わえるダウンフロアリビングがダイニング・キッチンとつながっている。
さらに窓の向こうにはLDKと一体になるアウトドアリビングが配置され、空間の中に心地よいリズムを生み出している。
このアウトドアリビングもタテ空間を上手に活かしたデザイン。



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2019年9月にオープンした品川シーサイド住宅展示場のFREX4F建てモデル。都市型住宅にふさわしい、二世帯&賃貸併用モデルとして完成している。
自由度の高い空間演出を活かしたインテリアのレイアウトも勉強になる。
ぜひ足を運んでみてください!

品川シーサイド住宅展示場
(電車の場合はりんかい線「品川シーサイド駅」徒歩4分、京急本線「青物横丁駅」徒歩7分)
住所:東京都品川区東品川4-4-7
tel. 03・5843・4206(10:00-17:00)



CASE2:
HEBEL HAUS "terra craft"
ヘーベルハウス "テラクラフト"

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へ―ベルハウスのFREXモデルのなかでも弊誌がもっともユニークな空間演出とリコメンドする「テラクラフト」の室内空間。
1Fのフロアには床を下げた土間キッチンをもうけ、その周囲に多彩な段差をつけることで、リビング空間に変化とリズムを与えている。
1Fから上階に向かって漆喰の白壁が設けられ、その壁伝いに吹抜けが広がる。
開放的でダイナミックなスペース演出を施しながら、同時に篭り感も演出している。
よく考えられている家だ。



浮島のようなクロスフロアを生かしたタテ空間

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ヘーベルハウスの「terra craft」(テラクラフト)」は、建物全体に多彩な広がりを実現した玉手箱のような家だ。
限られた敷地に家を建てなければならない都市型住宅の、ひとつの理想形として弊誌はたびたび紹介している(が、何度取材しても飽きない)。
天井や床の高さを少しシフトするだけでフロアの位置を上下にずらしたり、高い空間と低い空間を巧みに分けたりする、そんなアイデアがあちこちに見られる。
タテ空間を生かしながら多層に部屋を組み合わせ、「ひろがる・つながる・たのしい」都市生活を独創的に演出しているのだ。
とくに弊誌が気に入っているのは、吹き抜けに面した2Fの床の一部を下げて作った浮遊するようなクロスフロア。
床の高さを下げた場所は、必然的に天井が高くなる。だから一層タテ空間のありがたみを感じられる。
クロスフロアは家族とのコミュニケーションにも役立つ。
1Fにいる奥さんとの会話も自然に行えるし、3Fにいる子どもたちの様子も自然に感じ取れるのだ。

terra craftに関する詳細は、「ヘーベルハウス テラクラフト」で検索。



結論:ヘーベルハウスは縦横無尽である。

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HailMaryこちらのコラムはHailMary2月号に掲載されています。

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