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椅子好きが惚れる家【CHAIR MEN'S PLACE】

HAUS

椅子好きの男はなぜへーベルハウスに住みたがるのか?

 毎月新顔の椅子やソファをモデルハウスへ運び、ヘイルメリー流にアレンジさせていただいている。そのたびにヘーベルハウスの「許容力」の高さに感心している。優れた機能をもつ軽量気泡コンクリート「ヘーベル」を用いて建つヘーベルハウスは、レイアウトの可変領域が高く、またどんなタイプの家具を持ち込んでも自然にフィットし、住まう者のスタイルに寄り添った空間を提供してくれる。今回取材した相模原展示場のFREXモデルも例外ではない。1Fから3Fまでアレンジしやすい居住空間が広がっていて、その場所場所で、持ち込んだ椅子たちが存在感を放っていた。

 また、アウトドアリビングはヘーベルハウスの見どころのひとつだが、この半屋外空間にどんな椅子を持ち込もうかと考える作業も楽しい。星空を見上げながら秋の夜長を楽しむためのロッキングチェア、朝のコーヒーを飲みながら屋外の風景を楽しめるちょっと背の高いスツール、屋内外兼用のフォールディングチェア等々、さまざまな物語のなかで椅子を選ぶ楽しみを与えてくれる。「良い椅子を置くと、隣にみすぼらしい家具を置けなくなる。椅子の機能は座るのみにあらず、贅沢な空間づくりの一助にもなる。だから一脚上等な椅子を持ち込んで、自分の在処を家のなかに見つけなさい」とは名建築家、故・宮脇檀さんのお言葉。しかし一度椅子の魔力に取りつかれたら、一脚で満足できるはずがない。かくいう宮脇さんも蒐集癖が止まらなくなり、バルセロナチェア、ワシリーチェア、エッグチェア、スツール60、天童木工のイージーチェア、イームズのラウンジチェア...自宅と事務所は百脚を越える名作椅子たちで溢れかえっていたという。たしかに椅子好きになれば、リビングルームには自分専用のアームチェアがほしくなるし、リモートワーク部屋を確保できれば一生もののオフィスチェアもほしくなる。そのうち「ギター演奏用に折り畳み椅子だったら邪魔にならないだろう」とか「書棚の脇にスツールがあれば読書が捗るだろう」といったようなわがままも出てくる。そしておなじ屋根の下に暮らすパートナーをどうやって説得すればよいかを、大概の椅子好きたちは思案しはじめる。

 ヘーベルハウスが良いのは、都市の限られた敷地に建つ家でありながら、空間演出の自由度が高いゆえ、パートナーの居場所も確保してあげやすいことである。たとえばキッチン奥の小スペースにちょっとしたカウンターを備えてスツールを置くだけで、ダイニングキッチン一帯を彼女の城にショウアップできる。相模原展示場にもそういう空間があるので、オフの日にぜひ奥さんと見学に行って、チェックしてみてほしい。住まう者それぞれが自分の在処を確保しやすく、椅子たちの個性も映える。それでいて家族同士の交流もしやすい、そんな「許容力」の高い居住空間を発見できるだろう。

1stFloor 名作椅子の存在感を際立たせてくれるリビング空間

椅子は実用道具であり、「名作」と呼ばれる椅子になると、たった1脚そこにあるだけで周囲に上質な空気感をもたらすオーナメントにもなる。ただ、椅子の魅力を最大限に引き出せるかは、それを置く空間が大きく左右する。この居室は、相模原展示場FREXモデルの1Fに広がる24.9帖のLDK。柱のない大空間で、大きく広がった天井と壁、そして木目の際立つ無垢のフローリングが、どんなインテリアとも調和する巨大な容れ物となり、個性の強い「オックスチェア」をもたやすく受け入れる。大きな開口から射し込む自然光は、椅子はもちろんインテリアの美しさを引き立てる最高の照明だ。多くのアート作品は要らない。この大空間と愛する椅子があるだけで、心が満たされるからだ。

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中央に見える「r」文字のアルファベットサインライト、オックスチェアの隣に置いたスタンド照明はサンタ&コールの名作「AJROYAL」。(Sonechika)

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Hans Wegner OX Chair
ハンスJ.ウェグナーがデザインした約500に及ぶ椅子の中でも、個人的に最も愛していたと言われる「オックスチェア」。彫刻的なデザインに加え、身体を包み込むような座り心地の良さが特長だ。参考アイテム(Sonechika)

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ミルスペックのベンチをリメイクしたワンオフのテーブル。(re.store)
その上に乗せたアメリカンイーグルのオーナメント。(Sonechika)

1stFloor ウッド製のチェアが映える吹き抜けのダイニングキッチン

吹き抜けの良さを最大限に生かした1Fのダイニングキッチン。この心地よさに、撮影担当のカメラマンもしばし感動していた。吹き抜けの有用性は頭上への広がりによる開放感だけではない。上階部の外壁にも大きな窓を設置すれば、縦パノラマのように外の景色が上下に大きくつながり、室内と室外の境界線がなくなった錯覚さえおぼえる。加えて開口部の分量が多いぶん、室内に光がたっぷりと降り注ぐ。天気のいい日は、上階部の開口を通して青空を仰ぎ見ることもできる。屋外の緑を借景にできるこのDKには、ぬくもりを感じるウッド素材の椅子がよく似合う。きっと奥さんも喜んでくれるにちがいない。

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Handmade Sculptural Chair
オーク材を使用し贅沢に仕上げたハンドメイドのスカルプチュラルチェアをダイニングにアレンジ。4脚とも背もたれのデザインが異なるのが特長。参考アイテム(Sonechika)

1F>>>2F 篭れるモダンな掘り炬燵、そして上階へ

現代の住宅に和室は必要ない、使い道がない、と決めつけてしまうのはもったいない。1Fにある7帖の和室を見て、ひらめいた。①家族と寛ぎの時間を過ごせる。②畳に転がって気持ちのいいうたた寝ができる。③ゲストルームとして活用できる。そして④、掘り炬燵仕様ならばリモートワークだってできる。和室をシンプルかつモダンに仕上げると汎用性が格段に高くなり、同時に他の室内空間との違和感がなくなることもヘーベルハウスは教えてくれる。右写真は、階段を上ってきた2Fの廊下と奥に見えるラウンジを写したものだが、1Fの和室とのデザインの統一性さえ感じる。

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相模原展示場の1Fにレイアウトされた和室。地窓からは緑の借景を楽しみ、掃き出し窓を開けるとそのまま小庭へ出られる。この二つの窓を通じて陽光を上手に採り入れ、明るく居心地のよい空間演出を施している。

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2ndFloor 木製ルーバーを起用した談話スペースの奥には主寝室

1Fから階段を上ると木製ルーバー越しにラウンジが見える。このラウンジにはベンチソファとテーブルが設えてあったが、それでもなお余裕がある。前面の窓を全開にするとさらに開放感が出る。階段との間仕切りに木製ルーバーを採用したことで室内を光と風が気持ちよく通り抜ける。このスペースの奥に続いているのが9.2帖の主寝室だ。開放的なラウンジとは対照的にほどよい篭り感があり、ぐっすり眠れそうな空間だ。

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2Fのラウンジ。木製ルーバーによって階段とこの空間を優しく区切り、風通しの良い談話ルームに仕上げている。テーブルに乗せたダイナソーのフィギュア(Sonechika)

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re.store Remade EMECO Navy Chair
エメコの名作「ネイビーチェア」をバフ研磨による鏡面仕上げでリメイクしたre.storeのワンオフ作品。背もたれ、座面、アーム部には新たにレザーを張っている。この一脚を読書の相棒として主寝室にレイアウト。(re.store)

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2ndFloor 強靭な椅子を招き入れたいリモートワーク空間

リモートワークのために、壁に囲まれた書斎を持つという発想から脱却しよう。ワークデスクとお気に入りの椅子があれば、どこでもワークスペースになる。ここは2Fの主寝室にアプローチするためのいわば動線。広さは5.3帖ほど。ただの通路にしておくのはもったいないと考え、リモートワークできるミニ書斎に仕上げてある。細長い動線という形状を活かし、長いワークデスクとブックシェルフを作りつけているのだ。四方が壁に囲まれていないから閉塞感がなく、しかし洞窟のような篭り感を味わえ、集中力も高まる。この空間には、強靭で男らしい顔をもつエメコのオフィスチェアを持ち込んだ。

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EMECO Contemporary Office Chair
1944年に潜水艦内で従事するネイビーオフィサーのために造られた「ネイビーチェア」。そのオフィスチェアタイプで、中でも将校クラス用に開発された一脚と推測。武骨な後ろ姿と臙脂色の布張りが特徴的だ。(編集長私物)

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趣味のカメラなど愛する小物たちの居場所としてもこの空間は最適。右のフィルムカメラは「Miranda」(レンズ付)、左は元祖高級コンパクトカメラの「Rollei 35」。(GTCAMERA)

3rdFloor ダウンフロアのステップも椅子になるリビング空間

相模原展示場FREXモデルの3Fにレイアウトされたダウンフロアリビング。フロアレベルを下げることで、壁がなくても心地よい篭り感が生まれる。この9.3帖のダウンフロアにはハイルーフユニットを採用しているので、天井への高さも得られる。ソファに腰かけてシーリングファンを眺めていると、縦への広がりが一層感じられ、同じフロアのダイニングテーブルについているときとは別のフロアにいる錯覚をおぼえた。ダウンフロアの良点はまだある。アウトドアリビングのサイドからフロアへ降りるステップをベンチとして活用できる点。ここに腰かけて読書したり、ギターを弾いたり、子どもたちと対話したり...。ダウンフロアリビングがあるだけで、フロアにメリハリができ、居場所も増えるのである。

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3Fのダウンフロアリビング。ダイニングキッチンとの仕切り棚の上にレコードプレイヤーをセットし、アナログ音源を楽しめる空間にアレンジ。レコード類はスタッフ私物、ソファの上に掛けたブランケットは、BasShu×Sunshine WoolenMillsによる肌触り満点のウールブランケット。(カーキ×ネイビー)(BasShu)

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BLACKSMITH Co. FOLDING CHAIR
1920年頃にフランスBIENAISE社が世界で初めて製作した工業用折りたたみ椅子(後の折りたたみ式パイプ椅子のルーツ)をベースにBLACKSMITH Co.がオリジナルのディテールを用いて再構築した一脚。(BLACKSMITH Co.)

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明工舎の古い時計工具セット。これを使いこなして自分でオーバーホールできればいいのだが、飾りとして置いておくだけでも棚が華やぐ。専門用語で「スタッキングツールボックス」というそうだ。(Sonechika)

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左:マイスペースだからお気に入りのヴィンテージプロダクツも存分にレイアウトできる。インダストリアルデスクランプ、コロニアル型の地球儀。
右:困ったときの相談相手はベートーベン。その胸像と向き合いながら在宅ワークに励むのである。(いずれもSonechika)

3rdFloor 奥さんのベース基地だって自在に作れるというメリット

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上の写真は、3FのLDKをキッチンサイドから写したものだ。仕切り棚の奥にハイルーフユニットのダウンフロアリビングがあり、LDKの両サイドにはアウトドアリビングがレイアウトされている。窓を開けっぱなしにしてパーティーを催したくなる空間で、手前に広がるダイニングキッチンも広々としている(29.1帖)。さらにキッチンの裏には、ランドリーを備えた家事室が設えてある。2Fのリモートワークスペース同様、篭り感抜群の狭小空間で、奥さんのベース基地として機能してくれる。このようなユーティリティースペースを自分なりにアレンジできるのもヘーベルハウスの魅力であり、椅子好きにとってもこの上ない悦びにつながるのである。

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BLACKSMITH Co. BRASS SPRING STOOL
13本のスプリングからなるインダストリアルデザインのスツールをギター演奏用に起用した。1920年代にアメリカで使用されていたスプリング・ドラフティングスツールをサンプリングし、元来の鉄製ベースを真鍮ベースに変更してBLACKSMITHCo.が製作したスツールだ。(BLACKSMITHCo.)
フェンダーのシルバーフェイス最初期のデラックス・リバーブ(1968年製)は参考アイテム。(THE AMP SHOP西田製作所)

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3Fダウンフロアリビングにレイアウトしたアイアンフレーム。(中身のポスターは非売品/Sonechika)

お気に入りの椅子と一緒に自然の恵みをいただく贅沢

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Unknown Vintage High Stool
背もたれのあるヴィンテージのハイスツール。見た目以上に頑丈なので、読書やギター演奏用にテラスに出しっぱなしにしておいて、錆も一緒に楽しみたくなる。(re.store)

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堅牢な重鉄構造が生み出す縦横の開放感を実現するFREXの二世帯仕様3F建てモデル。1Fは親世帯スペース、2・3Fは子世帯スペースを想定している。最大の見どころは1Fと3Fに趣の異なるLDKを取り入れている点。1Fは庭とつながる室内リビング、3Fには「そらのま」やベランダとつながる室内リビングを設けていて、違ったタイプのデザインや居心地を体感できる。各フロアともシンプルかつモダンな内装が施されていて、和洋いずれの家具もアートも調和する。もちろんこだわりの名作椅子を持ち込んでもよく似合う。またアウトドアリビングとして活用できる半屋外空間が随所に設けられており、豊かな居住空間をつくるためには半屋外のアウトドアリビングをあえて広くする方法もあるというヒントも与えてくれる。暮らし方のビジョンと夢が広がるモデルハウスだ。

ヘーベルハウス相模原展示場 FREXモデル
住所:神奈川県相模原市中央区向陽町1-17 相模原住宅公園内
tel.042-786-8510 (10:00-17:00 火・水定休)
※写真の設えと実物は一部異なります

取材協力:
Sonechika
re.store
GT CAMERA
BLACKSMITH Co.
BasShu
西田製作所

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HailMaryこちらのコラムはHailMary12月号に掲載されています。

※屋上で火気使用する際は、屋上防水シートへの飛び火対策のため耐炎性のある焚火シートなどを敷いてご利用ください。

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