雨の季節でも快適に過ごせるロングライフ全館空調の家。
新型コロナウイルスが5類になり、マスクのない暮らしに戻っても、休日のおうち時間はあまり減っていない。旅行といえる旅行は、GW最後の土日にワン公と藤野の里山へソロキャンプに出かけたきり。残りの週末はあいかわらず自宅で下手なギター練習や料理の手習いなど、趣味の世界にどっぷり浸っている。近頃LINEでつながった学生時代の旧友も同じようなことをつぶやいていた。「外食は減り、食べるお米だけじゃなく炊飯釜にも凝ってしまった今日この頃。来月久々に遠出するが、その目的は稲敷にある親戚の田んぼに自分名義のコシヒカリの苗を植えること...」。コロナ禍を機に高まりをみせた都市生活者の「おうち需要」は、そのまま定着しているのかもしれない。
今回訪ねた横浜町田インター近くにある住宅展示場には、「レジデンスサイト」という冠がついている。大手住宅メーカーが最新技術の粋を集め、贅を凝らした邸宅のフラッグシップモデルが連なっている住宅展示場なのだ。なかでもひと際モダンな出で立ちで存在感を放っていたのが、ヘーベルハウスの重鉄モデル「FREX2」。春夏秋冬どんな時も心地よく暮らすことができるという「ロングライフ全館空調」を取り入れた最新モデルで、エントランスから上階の洗面所まで室内のすみずみにわたって冷暖房と循環型の換気システムが行き届いている。家じゅうどこでもいつでも適温を保ち、きれいな空気を循環させることによって、年中快適に暮らせる家を創造している。まさにおうち時間を楽しむわれわれに打ってつけの家といえるが、このシステムは単純に心地よさを味わえるだけでなく、体温調節を助けてくれたり、湿度調節機能も優れているため、さまざまな健康リスクを軽減できたり、不快感を取り除く効果ももたらしてくれるそうだ。事実、撮影当日はジメジメした雨天のなか、部屋を閉め切って作業する時間帯も多かったが、終了までずっと爽やかな気分で過ごせた。よくありがちなエアコンの冷風が直接当たって体が冷えすぎるといったようなこともなく、ほどよい温度の空気がまんべんなく回っている、そんな居心地を実感できた。
メリットはそれだけではないこともわかった。「ロングライフ全館空調」は部屋ごとのエアコン設置を必要としないので、インテリアをノイズレスにデザインでき、室内に美観をもたらすというヴィジュアル面でのメリットもある。このメリットを最大限に生かすため、VILLA STYLE(ヴィラスタイル)のインテリアを採用、木々の上質な空間に包み込まれる別荘(ヴィラ)のような雰囲気を創りあげていた。リビングの吹き抜けやキッチンを彩る木貼り天井、絶妙な明かりをともす間接照明、一流家具として映える食器棚、可動式ルーバーを取り付けた木製引戸など、ディテールの見どころも満載。モデルとして連れて行った我が家のワン公もたいそうご満悦の様子だった。梅雨の時期にあえて訪ねてみるのもいいかもしれない。
ENTRANCE HALL
ウッディなインテリアと漆喰の塗り壁が印象的なエントランス。幅広の挽板フローリング(ウォールナット)が視覚的広がりをもたらし、漆喰の壁とあいまってぬくもり溢れるナチュラルな空間を生み出している。
UNDER STAIRS
1Fと2Fをつなぐスケルトン階段の下は、光が通り抜ける設計を有効利用し、ダウンフロアにしている。ほどよい篭り感とほどよい開放感のバランスがよい不思議な空間だ。読書をしたり、好きな音楽を聴いたり、ひとり時間を愉しむための隠れ家にしたくなる。
大判の写真集はウィリアム・クラクストンの『JAZZ』。息づかいが伝わるような臨場感でアーティストたちの人間性を描写している。右のネストテーブルに乗せたLPジャケットは『JAZZ』にも登場する伝説のトランぺッター、チェット・ベーカーの『The Trumpet Artistry of ChetBaker』。もう一枚のLPジャケットは「ニューヨークのため息」と称される女性ジャズボーカルの至宝、ヘレン・メリルの名盤『helen merril』。篭り空間で聴く「YOU'D BE SO NICE TOCOME HOME TO」は格別だ(いずれもディスクユニオン下北沢店)
1F LIVING
1Fのリビングとダイニングは計33.2帖。リビングの頭上は吹き抜け。天井までの高さは6メートル強におよび、圧倒的な開放感を味わえる。このリビングの壁の側面と天井を木貼りにしたデザインに息を飲む。ウォールナットの木味を存分に活かしたVILLA STYLEの誂えは、漆喰壁との相性もよい。上階の大窓からは自然光が降り注ぎ、リビングを明るく見せる。この空間にモルティーニの白いソファが映えている。必要以上に飾り立てるインテリアではないが、とてもリッチで上品な印象を受けるリビングだ。
ヘーベルハウスの新システム「ロングライフ全館空調」とは?
ロングライフな住宅を提案するヘーベルハウスに、新たなシステムが導入された。それが「ロングライフ全館空調」。従来のエアコンは居室ごとに設置するのが基本だが、ロングライフ全館空調は1フロアに1つのエアコンを設け、フロア全体を快適な温度に保つ。家族全員がどの部屋にいても、いつでも心地よい状態で過ごせる。そんな快適空間を実現する空調システムだ。常に快適な温度を保つことでヒートショックのリスクを減らし、とくにシニア層にとっては体温調節のサポートにもつながるなど、住居者の健康促進にも寄与してくれる。居室単位の細やかな温度調整が可能で、吹き出しユニットの内側に設けたファンで風量調節ができるそうだ。また、キレイな空気を循環させることで、花粉をカットするなどアレルギー予防にもつながる。さらに、換気と同時に湿度も調節するため、多湿によるカビの繁殖を抑制したり、逆に乾燥肌を防いだりする効果も期待できる。気になるのはランニングコストだが、結論からいえば電気代を軽減できる。一般的にエアコンは運転開始から設定温度になるまでの間に最も電力を消費する。しかしロングライフ全館空調は連続運転で室温を一定に保つため、ON・OFFを繰り返すより効率がいいのだ。キレイな空気と心地よい室温を実現するこのシステムは、ペットを飼っている家庭にもぜひおすすめしたい。
ダイニングキッチン側から見たリビング。リビングが吹き抜けの木貼り天井に対し、ダイニングは漆喰を塗った白い天井。この真上に主寝室がある。
リビング側から見たダイニングキッチンの景色。木貼りの壁と漆喰の壁のコントラストが美しい。
職人の息づかいが聞こえてきそうな漆喰の壁。
1F DINING KITCHEN
ダイニング空間は6人掛けのテーブルをゆったりと置ける広さ。吹き抜けのリビングとの一体感も心地いい。大きなFIX窓によって屋外とのつながりも感じられる。窓の外には外構の壁を設けているため外部からの視線を気にせずに過ごせる。隣家や道路との距離が近い都市部でも安心できる設計だ。
ダイニングとキッチンを仕切る引戸には可動式ルーバーが付く。ルーバーの角度によって光や風の量を調整することができ、断熱性、遮光性、自然換気、プライバシーの確保などに役立つほか、和モダンなインテリアとしてキッチンの美観も演出してくれる。日本の住まいには、四季折々の気候に合わせ快適に暮らせるよう木製の格子戸、蔀戸、簾などが使われてきたが、この引戸はそんな古来からの知恵を継承した美しい建具だ。
1F KITCHEN
キッチンは18.7帖。床はタイルだが床暖房を完備しているため冬場でも足元から暖かい。重厚感漂う雰囲気に一役買っているのがドイツの老舗キッチンメーカー、シーマティック社のキッチンセット。ワインセラーも完備し、キッチンカウンターと一体になったウッドテーブルはバーを彷彿とさせ、男心をくすぐる。ここで飲むお酒はきっと格別にちがいない。木貼り天井には段差をつけて間接照明を配置。空間にリズムが生まれている。
PANTRY
キッチンカウンターのパーティションの裏側は、動線も兼ねているパントリースペース。食器や食材など、使用頻度が高くて普段は隠しておきたいものを収納するのに便利。収納力も抜群で、パントリー奥の一角には、愛犬用のフードボウルなどゲストの視線から隠しておきたいものを置ける場所もある。
キッチン脇には、ワインセラーとともにコーヒーメーカーやカクテルセットなどを収納するシェルフを設置。両開きのスライドイン扉を採用しているので、全開すると印象ががらりと変わる。
2F SUB-LIVING & OUTDOOR LIVING
2Fのサブリビングは12.0帖とコンパクトだが、フォールディングウインドウを開けてアウトトドアリビングとひと続きにすれば開放感のある趣味空間に様変わりする。リビングの床は、調湿性があり足触りのよいサイザルカーペットを採用。グリップ力がよいのでモデル犬のリズはとても気に入っていた。この空間にソロキャンプ用テント、ツーバーナー、ヴィンテージランタンなどのアウトドアギアを持ちこみ、ヘイルメリー流アレンジを施した。青×白のペイントチェア(Sonechika)、その他のキャンプギア類はスタッフ私物