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アートしやすい家 HAUS MUSEUM vol.1

HAUS

CASE1 HEBEL HAUS CUBIC OTA MODEL

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リモートワークが増え、在宅時間が長くなると、部屋のあちこちにちょっとした刺激を与えたくなる。大規模なリノベも楽しいが、それは十数年に一度の話。そうではなく、スモールチェンジによって室内のイメージを変えたいという話だ。街の美術館が春夏秋冬それぞれテーマをもって展示品をレイアウトしていくように、インパクトのある絵画や写真やオブジェを飾り、シーズン単位で室内の模様替えを行ってみたい。
今月我々が向かったのは、群馬県太田市の住宅展示場に建つヘーベルハウスのCUBICモデル。メインターゲットになる部屋は、2Fに広がるリアルサイズのリビングルーム。この部屋が実際のサイズ以上に開放的に感じられるのは、吹き抜けによって縦の広がりを、さらにアウトドアリビングと直結することで横の広がりも持たせているからだろう。事前に送っていただいた写真資料を見たとき、この開放的なリビングの中に「ハウスミュージアム」をアレンジしてみたくなったのだ。
天候は快晴。開放的な吹き抜けを通じ、予想以上の明るさをともなって太陽光がリビングの壁に注ぎ込んできた。

Living Room, 2nd Floor

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壁にセットしたジャンニ・B・ガルディン撮影の"Gran Bretagna,1977"ポスター、TV横にセットしたヴィンテージのサインボード"FOR SALE"(Sonechika)

ヘーベルハウス太田展示場のCUBICモデルは、シンプルな立方体(キューブ)で構成された都市型二世帯住宅。1Fは親世帯を想定し、和室を擁した床面積142.45㎡の住空間。そして2Fは子世帯居室を想定し、アウトドアリビング「そらのま」を擁する床面積135.20㎡の住空間が広がる。今回は、この2Fにあるリアルサイズ(28帖)のリビングを中心に、ヘイルメリー流のアレンジを施した。テーマは「ハウスミュージアム」。自宅でのリモートワーク時間が増えている今こそ、我が家に刺激と心の充足をもたらすべく、住空間を小さな美術館のような場所へアップデートしようという試みだ。まずはこのリビングの壁面に、アメリカンイーグルを象ったオーナメント、ワイヤーアートのバッファローヘッド、そして写真家ジャンニ・ベレンゴ・ガルディンの名作"Gran Bretagna,1977"の大型ポスターをセット。それらのアートが、上階から差し込む光によって生まれる室内灯の影と折り重なり、飛び出す壁画のような被写体に変わった。

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小川学氏の手によるワイヤーアートのバッファローヘッド(編集部スタッフ私物)

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プロペラのオブジェ(Sonechika)

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アンティークパイン材のドアを起用したテーブル(Sonechika)

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アメリカンイーグルのオーナメント(Sonechika)



Steps to Rooftop Garden

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躯体の強さだけでなく、その構造によって室内空間を最大限に広く、そして自由に活用できる点でもヘーベルハウスは優れた住宅である。吹き抜けなど縦空間の広がりを持たせる自在さも魅力のひとつだ。今回我々が試みたのは、その吹き抜けを通じて光や風を呼び込む開放的空間に、比較的サイズの大きなアートピースを持ち込み、室内全体にインパクトを与えることだった。リビングの上階には、迫力満点のエレファントヘッドのオブジェを飾った。

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約80cm幅のエレファントヘッドのオブジェ(Sonechika)



Living and Dining Kitchen, 2nd Floor

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毎月アレンジするうちにわかったことだが、ヘーベルハウスの室内には、少々手を抜いても絵になりやすい場所が多い。上の一枚は、今回訪ねたCUBICモデルの2F・LDK(写真右手がダイニングキッチン)への入り口を写したもの。撮影の直前、室内建具の向こうに見える階段の腰壁から「ここに何か置いてみたら?」と声がかかったような気がした。そこで、予備として持参した映画『タクシー・ドライバー』のポスターを立てかけてみた。手抜きできる場所が多いほど、アレンジは楽しい。

Outdoor Living, 2nd Floor

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「そらのま」をはじめとするアウトドアリビングの提案によって、ヘーベルハウスは「自宅にいながらアウトドアを楽しむ」という新しいライフスタイルを創造した。同時に、このオープンエアの空間演出は、室内をより開放的に感じさせるという効果も生みだし、住まう人に物理的余裕だけでなく、心の余裕を提供することにも成功した。余裕ある豊かな空間ゆえ、アーティスティックなインテリアが映えるのだ。

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NYの街にあるような消火栓を象ったカフェテーブル(Sonechika)

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アメリカの国立公園のパークレンジャーたちに配られたワッペンのアートフレーム(参考商品/ERECTORS)



Bed Room, 2nd Floor

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ミッキー・マントルの肖像画(油絵)、ベッドに掛けたチマヨラグ、ヴィンテージトランク 大・小(Sonechika)

太田展示場の2Fにある12帖の主寝室。NYヤンキースのレジェンド、ミッキー・マントルの肖像画と、同時代に作られたヴィンテージの旅行用トランクを持ち込み、ヘイルメリー流にアレンジを加えた。この寝室には面白い仕掛けがあり、マントルの肖像画を飾ったパーティションウォールの裏側には小さな書斎スペースが隠されている。就寝するまで読書に耽るもよし、趣味の時間を楽しむもよし。少年の心を呼び戻してくれる秘密基地のような空間だ。

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アートブックやレコードジャケットは編集部スタッフ私物



Terrace, 1st Floor

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2Fの寝室を撮影したあと、我々は1Fに降り、親世帯を想定して設計された居住空間をチェックした。広々としたLDKはダウンフロアリビングを含む25.1帖の空間。そこには、リビングと直結して日当たりの良いテラスが設えてあった。暖かい春の光を浴びながら休憩するには絶好の場所なので、そこでサボっていると、2Fの撮影で使われず仕舞われそうになっていた大型犬のオブジェが、「俺もそこへ行きたい」と吠えてきた。

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Exercising Area, 1st Floor

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ダウンフロアリビングからダイニングキッチンへつながったスペースに、クラシカルなフォルムをしたエクササイクルを置き、その脇にモハメド・アリのポスターをセットしてみた。三日坊主になりがちなフィジカルトレーニングも、まずは形から入ってみようという狙いだ。マシーンをひとつのアートとして飾ることができれば、リアリストの家人から「もったいない」「邪魔」などと咎められることもないだろう。



J-Style Room, 1st Floor

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この日最後に撮影したのは、1FのLDKに接続する小上がりになった7.2畳の和室だ。安らぎと寛ぎの時間は、ぜひこんな和空間で過ごしたい。写真のように和室の引き戸を全開放すれば、LDKと連なる開放感を味わえ、引き戸を完全に閉じれば静謐な空間が現出する。オリエンタルモダンな雰囲気も感じさせるこのエリアには、洗練されたアートピースをさり気なく飾りたい。センスと遊び心の見せどころだ。

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和室前の仕切塀に立てかけた額入りの風呂敷は芹沢銈介の「喜の字文」(METROCS Tokyo)※額は別売

ヘーベルハウス 太田展示場
住所:群馬県太田市飯塚町600-1
tel.0276-30-0766(10:00-17:00 火・水定休日)
※写真の設えと実物は一部異なります

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HailMaryこちらのコラムはHailMary4月号に掲載されています。

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