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リビング新時代【THE LIVING】ARRANGED BY HM MAG.

HAUS

リビングの常識を覆すこの空間が与えてくれるもの。

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 インターネットを活用したマーケティングリサーチの大手、クロス・マーケティング社が2020年3月から定期的に行っている「新型コロナウイルス生活影響度調査」の最新データによれば、「おうち時間」の増加にともなって、①「家庭内感染を防ぐための」加湿空気清浄機、②「在宅勤務や学校・塾のオンラインに適した」パソコンや周辺機器、③「日々の健康管理のため」のパルスオキシメーターや非接触型体温計、④「時間ができたので家族や友人と楽しむ」ためのゲームソフト、⑤「肩こり、腰痛防止」のマッサージ器やゲーミングチェア、といった製品の売れ行きが良好だという。また都内の大型家電専門店に足を運べば、AV機器をはじめとした黒モノ家電のコーナーに加え、自宅用トレーニングマシン類のコーナーも充実していて、販売員に聞くと小型のエアロバイクや折りたたみバイクなどが売れているという。このような流れのなかで、より広いリビング環境をもとめ、都心を離れ、地価が比較的安い郊外に一軒家を建てる人たちが増えている。首都圏で言えば、鎌倉・逗子に代表される湘南エリアの再活況はその典型だろう。

 しかしながら、単純に広いリビング空間を作ってしまえばそれでよいのか、生活はより楽しく豊かになるのか、といえば必ずしもそうではない。一人暮らしのケースは別として、家族全員の「おうち時間」が増えていくと、それぞれがほどよい距離感を取りながら、自分のテリトリーを確保しつつ、仲良く暮らしたいと思いはじめる。かといって、それぞれの自室(個室)を充実すればよいかというと、それだけでは十分とは言えない。個室重視でリビングやダイニングの空間づくりがおろそかになると、結果的に家族との交流が薄まるおそれがあるからだ。結論から言えば、家族が集うリビング空間(いわゆるLDK)に、いくつかのゾーンが欲しい。ゾーンとゾーンの間には仕切りはなく、あくまで開放的で、半屋外への気持ちいい抜け感(いつだって換気できるメリットもある)があれば、この上ない。そんなリビングこそが理想なのだと思い、いろいろ探っている最中に、ヘーベルハウスから一通の知らせが届いた。「THE LIVING -Sky Villa-」というコンセプトで、重鉄の邸宅における至高のリビング空間を提案しはじめた、というのだ。

 そこで、そのモデルケースのひとつになっている神戸東展示場に建つ「FREX AXiii」(フレックスアクシー)をヘイルメリー流に室内アレンジし、撮影させていただくことになった。「FREX AXiii」はヘーベルハウスを代表する重鉄・システムラーメン構造の都市型住宅FREXのタイプで、マイクロストライプという細い目地と、トバモライトホワイトというヘーベルの原点ともいえるトバモライト石の色を再現した外壁によって建つ、美しいレジデンスである。さっそく室内に足を踏み入れると、そこには堅牢な建物構造ゆえに叶う巧みな空間演出によって完成した、新しい時代のリビング空間が広がっていた。

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高さ3.6メートルのダウンフロアリビング

ヘーベルハウス神戸東展示場の3Fにレイアウトされたダウンフロアリビング。12.4帖の面積だが、ハイルーフによって天高が3.6メートルも取られていて、空間全体に一層のゆとりを感じられる。また、床の高さを下げることによって落ち着きのある篭りゾーンを創出している点も特長。好きな映画鑑賞に集中したり、ギターの腕を披露するのにちょっとしたミニライブを開いたりもできそう。一方で、2Fから上がってくる階段部との間仕切りにはガラスを使用して開放感を与え、同時に屋外からの光をほどよくリビング内に採り入れている。このダウンフロアリビングにはマリリン・モンローのポスターと、ネイティブ柄のブランケットやオブジェを持ち込み、大人っぽいアメリカンテイストでアレンジしてみた。

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SQUAREオリジナルの2022年度版カレンダー。(B4サイズ/ウッドフレーム)(SQUARE)
ナバホの精霊を象ったオブジェとインディアンチーフを模したラグアート。(参考アイテム)

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SQUAREの名作「GRID SOFA」(一人掛け)。写真のチェアは、キャメル色のレザーにウォールナット製フレームを使用したタイプ。(SQUARE)

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左:SQUAREオリジナルのボックス型Bluetoothスピーカー。約W670×D360×H150mm(個体差あり)(SQUARE)
右:1990年代にペンドルトンが復刻した、オールドタイプのネイティブ柄ブランケット。(ERECTORS)

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この写真は、1Fから3Fへ伸びた階段部の吹き抜けを写したもの。白いカーテンを通じてウィンドウから光が柔らかく室内に差し込み、それが美しいウォールアートのようにも見える。階段の手すりはスチール製。ガラスを巧みに利用し、スケルトン効果を生んでいる。

ハイルーフが心地よさをもたらすダイニング空間

3Fのもうひとつの見どころがダイニング・キッチン。大理石のフローリングにハイルーフの設えが、高級感と開放感をもたらしている。前頁で紹介したダウンフロアリビングから移動すると、横への広がりとともに、連続する伸びやかな縦への広がりによって、このゾーンも大きなゆとりを感じることができる。ダイニングテーブルの奥に大理石のカウンターバーが配され、さらにその奥にはアイランドキッチンがデンと構える。ダークグレーの壁には、趣味の骨董やウィスキーなどをディスプレイできる棚が備え付けられていて、デザイン的にも機能的にもすぐれたコーナーを創出している。しばらくダイニングテーブルに座って部屋全体を眺めていると、アウトドアリビング「そらのま」から心地よい風が入り込んできた。

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左:キッチン脇には、自然光を上手に取り入れるウォールディバイダ(スリット窓)を採用。飽きの来ない洗練されたデザインも見どころ。
中:室内の風景を遮らない、ワイヤーを用いて作った幾何学ペンダントライト。すっきりしたデザインが印象的だ。
右:室内にアクセントをもたらす鹿角ハンティングトロフィー。職人の手によってオーク材にホースヘアを貼ったフレームにセットアップされている。W390×D380×H540mm。(HOMEWARD)

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こちらは3FのLDKから4Fの屋上へ向かう階段。1Fから3Fまでのスケルトンの階段とはちがい、このまま座って読書したくなるような、木の温もりを感じられるゾーン。ちょっとした工夫で居場所は作れるという好例だ。

開放感を決定づける半屋外リビング「そらのま」

天井を"ひらく"発想で、空とつながる半屋外空間を実現したアウトドアリビング「そらのま」。一般的なベランダは細長で、リビング的に使おうとすればかなり苦労するが、「そらのま」は強靭なヘーベルハウスの躯体構造を生かし、そこで家族とBBQを楽しんだり、テントまで張れたりできる空間を実現している。また、自然の恵みを取り込みながらも、スカイウォールによって外部からの視線を遮ることができ、プライベートを確保できる点もうれしい。この空間には、実際にキャンプでも使用できるアウトドアギアやヴィンテージのローバーチェアなどを持ち込んでアレンジを施した。室内とつながる大開口の窓を開ける。するとそこには、屋内の安心感と屋外の開放感が共存する「大リビング空間」が現れた。

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丸テーブルにかけたチマヨラグ(Sonechika)、折り畳み椅子はヴィンテージのローバーチェア、そのチェアにかけたコールマンのデザートウォーターバッグは当時のノベルティアイテム 。(いずれもERECTORS)

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オレンジが映える80s製ウールリッチのマウンテンパーカ。同色の60~70s製ランタンはデイツの「リトルウィザード」という型で、シアトル・エンジニアリングの企業カラーに色付けした稀少品。グリズウォールドの頑強なアルミケトル。50~60s製コールマンのピクニックストーブ(シルバーのツーバーナー)。同じくコールマンの70s製スチールベルトクーラーボックス(グリーン)。右下に見えるのは冬に活躍するコールマンの60s製キャタリティックヒーター。(いずれもERECTORS)

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右:ランタン(グリーン)は50s製コールマン228Eで、右のランタンはケーラーというブランドが探鉱作業用に作ったもの。(参考アイテム)以上すべてのアウトドアギアは現役バリバリで稼働する。

書斎と応接を兼ねたホームオフィス

ヘーベルハウス神戸東展示場の1F。エントランス脇にレイアウトされた9.3帖のワークスペースを、ヘイルメリー流にアレンジ。比較的重量の軽いテーブルと椅子を持ち込んだのは、リモートワークに集中するとき、仲間を呼んで会話を楽しむとき、また気分転換したいときなど、状況に応じてかんたんに配置換えできるようにするためだ。写真左手に見える大開口の窓と(撮影しているカメラの後方にある)ガラスの仕切り窓を通して、二方向から光を採り入れているので、ごらんのように冬の朝でも室内が明るい。また写真右手の壁面は収納スペースなので、部屋をすっきり見せることができる。季節の移り変わりを伝えてくれる木々を眺めながらここで過ごす時間は格別にちがいない。

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左:すっきりしたインダストリアルデザインのワークデスク、同じくスチール製の脚がスマートなチェア。
(座面がレザー製のタイプ/いずれもSQUARE)
右:モンブランのボールペン4種と懐中時計。(参考アイテム/Sonechika)

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左:ゼロハリバートンのスーツケース三種。一番手前はカメラケース。(いずれも参考アイテム/大:Sonechika、中小:GT CAMERA)
右:ジープランのクワドリール・ネストテーブル。「クワドリール(Quadrille)」とはフランス語で4組の男女で踊るスクエアダンスの意味を持ち、その名の通り特徴的な脚のデザインになっている。(HOMEWARD)

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再燃したフィルムカメラ人気。今回は系譜がわかる3機をピックアップ。
右:1952年に登場した国産初の35㎜一眼レフカメラ「アサヒフレックス」IA型。
中:57年に登場し、レンズマウント径を42㎜とした「アサヒペンタックス」(AP)。
左:64年に登場し、スポットマチックの量産型となった「アサヒペンタックスSP」(ブラック)。
(いずれもレンズ付き/GT CAMERA)

ガレージ奥にある秘密のワークアウトベース

建物の1Fには、クルマ1台+バイク1台が余裕で収まるビルトインガレージがある。そのガレージの奥には、一段上がったところにホームジムがレイアウトされていた。ホームジムとガレージはガラスによって仕切られているので、開放感を与えながらもそれぞれがひとつのゾーンとして独立している。ハイルーフを採用した3Fとは逆に、この空間はさほど高さを必要とせず、むしろその「低さ」が、ガレージワークやトレーニングというストイックに打ち込める行為に適しているという印象を受けた。下階の天高を低くすることによって、上階の天高を高くできる。この自由自在な縦空間設計も、強靭な重鉄・システムラーメン構造によって建てられるヘーベルハウスの強みなのだ。

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ガレージに持ち込んだのは、映画『イージー★ライダー』のポスター(スタッフ私物)のほか、チェスターフィールドの一人掛けソファとフランス製のインダストリアルラン。(HOMEWARD)

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ガレージ奥に設えてあった7帖のホームジム空間。1Fのワークルーム同様、ここにも窓が付いていて、ほどよい光が差し込んでくる。窓外を覗いてみると、神戸らしく、建物の周囲がレンガ塀で覆われていることがわかった。赤レンガは、トバモライトホワイトのヘーベルウォールとの相性がよかった。

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「Axiii」の語源は「axis(軸)」。ヘーベルハウス独自の黄金比からなる立体罫線を基準寸法とし、平面で描かれた設計図を「軸×軸×軸」で立体化した邸宅だ。そのファサードは、無駄を削ぎ落としたモダニズム建築の機能美を写し出している。ウォールディバイダと呼ばれるスリット窓を採用している点も特長。3F建てで、1Fはガレージとワークルーム、2Fはベッドルームや子供部屋、そして3Fには今回お目当ての「THE LIVING」のコンセプトである開放的かつ機能的なリビング空間が広がっている。

ヘーベルハウス神戸東展示場FREX AXiiiモデル
住所:兵庫県神戸市東灘区本庄町3-2-14 ハウジングコレクション神戸東内
tel.078-386-2005(10:00-17:00 火・水定休)
※写真の設えと実物は一部異なります

取材協力:
SQUARE
ERECTORS
HOMEWARD
Sonechika
GT CAMERA

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HailMaryこちらのコラムはHailMary1号に掲載されています。

※屋上で火気使用する際は、屋上防水シートへの飛び火対策のため耐炎性のある焚火シートなどを敷いてご利用ください。

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